第二編まとめ
俺は六法を閉じて、彼女に向いた。
「さて、これで第二編物権もおしまい」
「長かったような、短かったような」
彼女がそう言っているが、俺的にはけっこう長いところだと思っている。
条文としては、第175条から第398条の22までの間となる。
250条前後の条数になるだろう。
「ま、どんなことが物権となるのかっていうことは、分かった?」
「物権は法律に書かれていないと成立しないとか、物権は同じ物に対して同じ物権を設定することができないとか、物権と債権だと、一般的には物権が優先されるとか。いろいろね」
「何か心配だけど、授業とかで先生とかに聞いていったら、大丈夫だから。今教えているのは必要最低限って言うことも、覚えておくように」
「はーい」
彼女はそう返事をした。
その時、インターホンが鳴って、誰かが来たことを知らせてくれた。
ドアを開けると、彼女の母親が立っていた。
「ねえ、あの子来てる」
「岩子のことなら、ちょうど家に帰そうとしてたところだ。まあ、あがっていくか?」
俺は中に招き入れるように一歩引いた。
「また今度ね。岩子、帰るわよ」
「わかった、じゃあまた明日かな」
「そうだな。いつごろがいい。明日なら、午前中からでもいけるぞ」
「じゃあ、午前10時ぐらいからがいいかも」
「なら、10時に。ここでいい?」
「せっかくだから、うちに来れば?」
彼女の母親は、あっさりといった。
「あ、だけど、私の夫がいるけど」
「構わないさ」
俺は家庭教師とかいう理由であがらせてもらうことになった。