第二百一条 占有の訴えの提起期間
第二百一条 占有保持の訴えは、妨害の存する間又はその消滅した後一年以内に提起しなければならない。ただし、工事により占有物に損害を生じた場合において、その工事に着手した時から一年を経過し、又はその工事が完成したときは、これを提起することができない。
2 占有保全の訴えは、妨害の危険の存する間は、提起することができる。この場合において、工事により占有物に損害を生ずるおそれがあるときは、前項ただし書の規定を準用する。
3 占有回収の訴えは、占有を奪われた時から一年以内に提起しなければならない。
占有保持の訴えは、妨害が存在している間か妨害が消滅した後1年以内に提起しなければならない。ただし、工事によって占有物に損害が発生した場合は、その工事に着手した時から1年を経過した時か、その工事が完成した時には、提起することができない。
占有保全の訴えは、妨害の危険が存在している間は、提起することができる。この場合は、工事によって占有物に損害が生まれる恐れがある時は、前項但し書きの規定を準用する。
占有回収の訴えは、占有を奪われた時から1年以内に提起しなければならない。
この条文は、さっきまで見てきたそれぞれの訴えの形式、それを占有訴権というんだけど、占有訴権の時効について定めた条文が、これになるんだ。
まず、占有保持の訴えについては、妨害が存在している間か、妨害が消滅してから1年がたつ間に提起することになっているんだ。これは、妨害が消えてから1年以内に訴訟を起こすということだね。ただし、工事によって損害が発生した場合は、工事が始まってから1年以内じゃないと訴訟を起こせないという意味になるよ。
例えば、占有者であるAさんとAさんが持っている土地甲、Aさんの甲の占有権を妨害しているBさんがいるとするよね。Aさんが占有保持の訴えをする場合は、Bさんが妨害をしている間か、妨害をやめてから1年以内ということになるんだ。ただし、Bさんが工事によって甲に損害を与えた場合は、工事を始めてから1年以内か工事が終わってから1年以内じゃないと訴訟は起こせないんだ。
次に、占有保全の訴えについては、危険がある時はいつでも提起できるんだ。
例えば、占有者であるAさんとAさんが持っている土地甲、Aさんの隣に住んでいるBさんとBさんが持っている甲に隣接している土地乙があるとするよ。乙には大きな木があるんだけど、それが立ち枯れてしまって、いつ甲に倒れてくるかわからない状況になってしまった。そんな時にAさんはBさんがその木を撤去したりして甲に影響が無い状況にしない限りは、占有保全の訴えができるんだ。乙で工事があって、それが甲に影響を及ぼすような場合は、工事が始まってから1年以内に訴えを提起するという決まりになっているよ。
最後に、占有回収の訴えは、1年以内に提起をしないとダメということだね。
例えば、AさんとAさんが持っているパソコン甲があって、甲が常々欲しいと思っていたBさんは、あるとき、Aさんから甲を強奪した。この場合、Aさんは1年以内にBさんに甲を返すように訴えをしないと、占有回収の訴えはできないんだ。