タルタルソースと檸檬
13時半になり、先に昼休憩を取っていたスタッフが帰ってきたので、ランチに出ることにした。
今日はうっかりスヌーズを止めてしまってギリギリまで寝ていたので、おにぎりを作る時間がなかったのだ。
私はロッカーから財布を取り出してショッピングモールの2階へと向かう。フードコートは一階にあるのだが、あそこは家族連れや学生たちでいつも混み合っていて、行く気がしない。
私は婦人服のお店や百円ショップが集まる一角にある洋食屋に入る。ここは味の割にわかりにくい場所にあるせいかいつも空いている。
メニューをざっと眺めて、エビフライ定食を注文する。
一つ離れたテーブル席に祖母と孫?の組み合わせの客が座っている。孫は4〜5歳くらいの男の子で、嬉しそうにおばあちゃんの手を触っている。
何をしているのかよくわからないが、手の甲を引っ張ったり指で押さえたりしているところを見ると、もしかしてシワを伸ばしているのか?
私はなんとなく自分の手の甲を見る。
もう若いとは言えないけれど、流石にシワはできていない。でも確かに手の水分量は減った気がする……。
そう言えば年齢は意外と顔よりも手や膝、首に出やすいと聞いたことがある。ストッキング越しではスカートを持ち上げて見ても自分の膝がどれだけ歳を取ったかはわからなかった。ただ心にこれからもストッキングは必須だと誓う。
ご飯を食べたら下でちょっといいハンドクリームを探そうと考えているとエビフライ定食が運ばれて来た。
大きなエビフライが三本乗ったプレート。いつからだろうか、タルタルソースよりもレモン果汁をかけてフライを食べるようになったのは。
付け合わせの千切りキャベツを口に含みながら定食を食べていく。
私は昔からエビのしっぽ部分も香ばしくて好きだが、人によっては貧乏くさいとか上品じゃないとか言われることもある。私ももう若く無いのだから、しっぽくらい残した方がいいだろうか。
たった三本のエビフライを食べるのに、意外と時間がかかった。若い頃は三本くらいぺろりだったのに、今はもう三本目は油に負けてちょっといらないかもと思いながら食べた。
ここ2年ほどで油物を食べる量はわかりやすく減った。自分では若いつもりでも、体というのは案外正直らしい。
頭の中は高校生の頃から、あまり変わっていない気がするのに。
体の方だけが、先にどこかへ行ってしまうみたいだ。
老いという言葉に一瞬ゾッとして、わたしは残ったお冷を一気に飲み干した。
そしてレジで「ごちそうさまでした」と言った声はなんだかいつもより明るく響いた。




