第二話 ヒーローな宝石たちは略してツキジェム
やあ、こんにちは。僕はイエローダイヤモンド。
瘴気の駆除にも、すっかり慣れたこの頃さ。
あれから仲間も増えて、今は五人でツキモリジェムズの活動をしてるんだ。
そしてここは、お月様が創り出した亜空間。僕たちツキモリジェムズ―略してツキジェム―は、この亜空間を拠点に現場に向かったりする。偶然瘴気に遭遇することもあるけれど、大抵は連絡を受けて駆けつけるからね。そしてツキジェムなら念じるだけで亜空間の扉が出現し、自由に出入りできるんだよ。
「ダイヤくん。俺、はちみつレモンティーって初めて飲んだけど美味しいね」
亜空間に設けられた室内で、ゆったりとソファに寛ぐ一人がこちらを向いて柔らかく微笑んだ。
彼は希少宝石、ジェレメジェバイト。サラサラの長い銀髪をポニーテールに結い、澄んだ青い瞳を持つツキジェムだ。ちょっとたれ目な所と羽織っているパーカーの水色が、彼の穏やかな性格をよく表している。
「それは良かった。飲みやすいように甘さ控えめに調整してみたんだ」
ジェレメジェバイトことジェレに応える僕の姿は、薄い茶色のごく一般的な短髪にオレンジがかった黄色の瞳。茶色のライダースジャケットにデニムパンツを履いた出で立ちだ。ヒーローっぽい見た目で気に入っている。
「喉によい影響を与える飲み物だ。お前は気配り上手だな」
照れも嫌味もなく褒めてくれるのは、寡黙な緑色の瞳を持つジェダイト。いわゆる翡翠(硬玉)だ。黒い短めの髪で、アウトドアに向きそうな服装をしている。眼差しは少々鋭いが、本質の優しさは垣間見えているツキジェムだ。
「そんなことないさ。でも喜んで貰えたなら嬉しいよ」
静かにリラックスしてくれている様子の彼に、僕は微笑んで応えた。
「まあ、庶民にしてはよくやった及第点という所か」
「あはは。ダイヤさんにそんなことを言えるのは、レッドさんくらいですねえ」
続いて口を開いた仲間は、レッドベリルとハックマナイト。
レッドベリルは非常に希少性の高い宝石で、ツキジェムの彼もまた、本体と同じ赤色の瞳をしている。金色のやや長めの髪は動きがあるスタイルで、カジュアルジャケットを着こなすスマートな佇まいだ。
そして朗らかに和ませてくれるハックマナイトは、紫色の瞳を持っている。彼だけは青年というより少年っぽい容姿で、跳ね気味の茶髪が陽気な性格によく似合っていた。
「僕はダイヤを上回るレアストーンだからな。誰も僕には追いつけない」
「…希少性の頂点は『小豆』だ」
レッドベリルことレッドがいつものように自負していると、ジェダイトがぼそりと呟く。
「まあまあ、ジェダイトくん」
「………」
しかし言葉の意味を察したジェレに宥められ、ジェダイトはまた静かに押し黙った。ジェレのこうした気遣いは、僕も見習いたいといつも思っている。
因みに小豆は、日本において『赤いダイヤ』の異名を持つ植物なんだ。つまりジェダイトは、最も希少な宝石はレッドダイヤモンドだと抗議したということ。
僕はダイヤモンドだけどイエローだし、宝石はみんな素敵だと思うから気にしてないけども。ジェダイトとレッドは、ちょっとだけ性格が合わないようだ。
「ふふ。私はレッドさんの自信家な所も、ジェダイトさんの日本文化に堪能な所も好きですよ」
「うん。僕もだ、ハックマン」
幸か不幸かジェダイトの声が届かなかったレッドが、ハックマナイトことハックマンの言葉と、それに同意する僕に小さく首を傾げる。しかし彼は特に追及してこなかったので、僕らは再びのんびりしたティータイムに戻った。
今日もツキモリジェムズは、平和な世界を守る為に存在するのである。
―第二話 おわり―




