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只人の『召喚魔法』運用法  作者: 上昇線


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3

その後も見つけたゴブリンは瞬殺だった。

魔法で焼き払い、時には黒馬を向かわせて肉弾戦で蹂躙した。


魔物の体内には魔石がある。

それが探索者の唯一の収入源であり、己を強化する糧でもある。

魔石を手に持ち、念じれば光の粒子となって体内に吸収される。それを繰り返すことで「器」を満たし、階位を上げていく。


試しに一つ使用してみたが、手応えは皆無だった。

感覚的に、第二階位への昇格は遥か彼方だ。コップの水滴一滴分も溜まっていない気がする。

やはり、「遺物」を吸収しないと効率が悪いし、そもそもゴブリン程度の魔石では含有量が少なすぎるのだ。


初日の戦果。

ゴブリンを40匹殺し、魔石を3つ摂取。残りをダンジョン管理所で換金した。

買取価格は一つ50円。37個売って、計1,850円。

命を懸けた対価がこれだ。

だが文句は言えない。今の俺には貯金がないのだから。


その日のうちに家に帰り、俺はPCや金になりそうな家財を全て売り払った。

第一階位の探索者に儲けなどない。

悠長に構えている時間も金もない俺は、黒馬の強さが想定外だった事を受けて、当初の予定を前倒しすることにした。


ターゲットは「東山ダンジョン」。

第二階位以上が推奨される、険しい山岳タイプのダンジョンだ。


翌朝。

缶詰や簡素なナイフを詰めた背嚢を背負い、登山服で管理所へ向かった。


「当ダンジョンは第二階位からを推奨しています。」

受付でしつこく警告されたが、俺は構わずゲートを潜った。

俺だって安全圏でゆっくり強くなりたかった。だが、金がない。明日食う飯のために、リスクを背負うしかない。


ダンジョン内は足場が悪く、雲とも霧ともつかない薄いモヤが視界を遮っている。

どこか遠くで、ガーガーと耳障りな魔物の鳴き声が響いていた。


これが第一層。ここから頂上を目指して登っていく。

黒馬を召喚し、その巨体に隠れるように慎重に進む。

時刻は午前9時。

どうやら今日の入場者は俺一人だけのようだ。管理所の規模からも察していたが、完全な過疎ダンジョンらしい。


俺は調べ物は好きだ。

探索者になるのが夢だった。有名な探索者や魔物、ダンジョンの特性や豆知識のストックなら、そこらのプロよりあるつもりだ。


この東山ダンジョン一層の出現魔物は主に3種類。

猛毒を持つ大蛇、クロコブラ。

火魔法を操る猿、火火猿(ひひざる)

そしてハゲタカのような怪鳥、ガマグドリ。


警戒すべきは火火猿だ。

知能が高く、徒党を組むこともある。今の俺の身体能力では遭遇したが最後、逃げ切ることは不可能だ。

クロコブラは速度がない。ガマグドリは好戦的ではない。

だが、火火猿だけは詰む可能性がある。


それでも来たのは、勝算があるからだ。

俺の身体能力では無理でも、第三階位相当の黒馬なら殺せる。


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