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只人の『召喚魔法』運用法  作者: 上昇線


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29

食事を終えた翡翠達とミルはそのまま洞窟で休眠を取った後に俺は彼等に合流して第二層へと向かう事にした。


本来彼ら第四階位のパーティーは「紅蓮人」の攻略速度に追随するため移動速度を底上げする遺物を所持していたらしい。

だがそれらの有用な装備は所持者を紅蓮人に殺害された際に消失あるいは破壊され燃え尽きてしまったという。

俺たちは地道に徒歩で進むしかない。


このダンジョンはレンによれば全三階層。

現在地である一階層は魔物が出現しなくなっているが二階層からは通常通りの湧きに戻っているそうだ。


広大な原生林のような一階層を進むにつれ周囲の植生に明確な変化が訪れた。

踏みしめる土の色が黒土から粘り気のある濃い赤土へと変わり視界を遮る樹々の緑が一層深く黒ずんでいく。

明確なゲートや階段が存在せず景色がグラデーションのように変異していく「解放型」と呼ばれるタイプのダンジョンだ。


赤土の匂いに混じり獣臭さが鼻をつく。

ようやく魔物がちらほらと姿を見せ始め俺は警戒と共に奇妙な安堵を覚えた。

魔物がいる。それが「正常」だ。


「――来たぞ」

レンが声を出す。

茂みを踏み砕き現れたのは第三階位の爆発牛。

 

彼は長剣を真正面から振り抜いた。

衝突の瞬間轟音と爆炎が巻き起こる。

しかし煙の中から無傷で現れたのはレンだった。


――第四階位。

その身体能力は想像を絶する。

物理法則を無視したかのような膂力と耐久力。

爆発の衝撃そのものを剣圧で押し返し牛の巨体を爆風ごと両断してのけたのだ。

レンは血振るいをして爽やかに笑う。


俺は左右から回り込んできたオークの群れに杖を向ける。

ゴアデビルが即座に反応し火槍を放つ。

紅蓮の槍がオークの胸板を貫き内側から炭化させて絶命させた。

俺自身は後方で指揮を執り森林狼を遊撃に出して接近を許さない。


戦闘終了後レンが感心したように声をかけてきた。

「第三階位と聞いていたがその召喚獣は中々強いじゃないか。良い遺物を持っているな」

「……運が良かっただけですよ」

俺は謙遜しつつ視線だけでパーティーの配置を確認する。


魔物は積極的にレンが殺す。

ルカは震えるようにレンを盾にし一切の戦闘行動を行わない。

そしてミルは身構えてはいるものの俺とルカを交互に見比べるばかりで積極的に動こうとしない。


「三層目からは第四階位の魔物が出現しだす。そこからは俺に任せてくれ」

戦闘の大半を担っていたにも関わらずレンは疲れも見せずに自信満々に言い放つ。

頼もしい言葉だ。


赤土の森を歩き続けることおよそ5時間。

風景が唐突に途切れた。


鬱蒼とした木々の合間に人工的な石材が乱立している。

苔むした柱、崩れかけた壁、そして異様な圧迫感。

第三階層、遺跡の入り口だった。


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