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只人の『召喚魔法』運用法  作者: 上昇線


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まず、俺自身の状況を説明しておこう。

俺の夢は探索者になること。そして様々なダンジョンを見て回ること。それは昔から今も変わっているつもりはない。


転機は18歳。

初めてダンジョンに入った時の感動は忘れられない。そして、その直後に突き落とされた落胆も。


初めてダンジョンに入ると、人は変容する。

身体能力が一段階ほど上昇し、ただの凡人がアスリート並みの身体能力を手にするのだ。

世間ではこれを「レベルアップ」などと呼ぶが、専門的には「第1階位への昇格」と呼ばれる。

その後、ダンジョンの攻略次第で「第2階位」まで上がれば、その力はダンジョン出現以前のトップアスリートに匹敵する記録を出せるほどになる。

ただの凡人が、一生涯を捧げたプロと並ぶ力を得るのだ。


俺が初めてダンジョンへ入った時も例外はなく、第1階位へ上がった。

それは確実だし、自覚がある。


加えて、初めての階位上昇時のみ、人それぞれに「特性」が付与される。

世間ではこれを「才能」と呼んで崇める者もいれば、不公平の象徴として揶揄する者もいる。

俺の問題は、この特性だった。

特性の効果は自分で直感的に理解できる。

――俺に与えられたのは『階位上昇による身体能力上昇が0。召喚生物の階位を1つ昇格』というものだった。


第3階位を越えれば人の枠組みを超えると言われる探索者において、身体能力の上昇がゼロ。

死が隣り合わせのダンジョンで、この特性はあまりに致命的だ。命綱無しで綱渡りを強要されるに等しい。


――だから諦めた……と、思っていた。

けれど、諦めきれないからこそ、俺は会社を辞めたのだ。


目の前には、届いたばかりの長く大きな段ボールがある。

開梱すると、とても自分では持ち運べる気がしない、巨大な大剣が姿を現した。

遺物のオークションサイトにて、97万円で落札した代物だ。

なけなしの貯金は、これでほぼ底をついた。


これが俺の夢の始まり。

重さが30キロ以上はあるその大剣に手を当て、深呼吸をする。

念じると、大剣は光の粒子となって消え、自分の中へと吸収されていった。

人生で初めて行った、「スロット」への装備だ。


第1階位では一つ、第2階位では二つといったように、階位が上がるごとに人には「スロット」が付与される。

そのスロットには、ダンジョンで得た「遺物」の効果のみを抽出して装備できるのだ。


今回、俺が探しに探して購入したこの大剣。

付与されている効果は、召喚魔法。

黒いポニーのようなサイズの、馬型の魔物を召喚するというものだ。

商品説明の動画では、簡単な雷魔法を纏って走り回る黒いポニーが映っていた。大きさは成人男性の胸ほどだろうか。


魔法が使えるタイプの召喚生物は貴重だが、この遺物は「大剣」という媒体がハズレだった。

これほど巨大な剣を実戦で振り回すには、第3階位以上の身体能力が必須となる。

だが、そこまで到達した人間が、わざわざこの程度の召喚魔法を使うメリットはない。

俺がオークションで競った相手も、同業者ではなくコレクターの一般人だったのだろう。


とにかく、効果に対して媒体が合っておらず、破格の安値で買えたわけだ。


準備は整った。

俺はその日のうちに、近所のダンジョンへ出かけた。


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