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只人の『召喚魔法』運用法  作者: 上昇線


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第三階位からは、ダンジョン管理証の色が「黒」に変わる。

漆黒のカードに、白い文字で『第三階位』と刻印されており、嫌でもよく目立つ。


俺は以前に行った栄の「ダンジョンコレクターズビル」へ向かった。

入り口で黒い管理証を提示し、4階へ足を踏み入れる。


金がある状態で見て回るウィンドウショッピングは、そりゃもう楽しくて仕方が無かった。

目移りしながらも、今回俺が購入したのは――価格7000万円の遺物だ。


【媒体:杖】

効果:「ゴアデビル」の召喚


ゴアデビルの厄介さは、身をもって体感したばかりだ。

だからこそ、今度は俺の忠実な魔物になってもらう。

杖は大きく、取り回しが良いとは決して言えないが、基本騎乗スタイルの俺にはそれほど苦にはならない。


管理証と口座は紐付けられているため、7000万という高額の支払いもキャッシュレスでスムーズに完了した。


その日は、東山ダンジョンの近くの高級ホテルに泊まり、豪遊して英気を養った。


翌日。俺はそのまま東山ダンジョンへ向かった。

ダンジョン管理所の事務員に黒の管理証を渡すと、彼女は驚いた顔で俺を見上げてきた。

「……先日、なりましてね」

「そうですか。まだ1週間ほどしか経ってないのに、凄いですね」


……気分が良い。

俺はそのままゲートを潜った。


新調した鞍を黒馬につけて乗り込み、一気に2階層へと向かう。

以前は徒歩で時間がかかった道のりも、黒馬の脚力なら風のように過ぎ去った。


道中、杖を掲げて「ゴアデビル」を召喚する。

現れたのは、以前戦った細身の悪魔ではない。

全身が黒く、極端な猫背で背骨が湾曲した、異形の悪魔だった。

体長に比べて腕が異常に長く、拳が巨大だ。

不気味さと威圧感が段違い。

これが、第三階位のゴアデビルが俺の特性で強化され、「第四階位相当」に至った姿だ。


「何が出来る?」

問いかけと同時に、視界に入った爆発牛へ手を突き出すデビル。

手のひらに収束する魔法の煌めき。

瞬間、龍を模ったような炎の渦が、岩肌を削りながら爆発牛を飲み込んだ。

――これは、以前デラボネアが売っていた火魔法、「龍光」だ。


その他、基本魔法の「火槍」も使用可能。

近接戦闘も、その長い腕と剛腕でそこらのゴーレムには殴り勝てるスペックだ。

非常に強力な召喚生物が手に入った。


これなら、東山ダンジョンの完全攻略が可能だ。

ゴアデビルは背の翼で飛翔する事が可能で、黒馬のスピードにも遅れることなく追随してくる。


そのまま俺は、ダンジョンの最奥を目指して駆け抜けた。

黒馬の雷撃とデビルの火槍で魔物を殲滅し、岩肌を駆け上がる。


山の頂上。

第5階層に到達した所に、ボスがいた。

最奥の守護者。


毒山蛙のボス個体。

「獄山蛙」と呼ばれる、巨大な蛙である。


第四階位相当と言われるボスで、その毒はさらに強力だ。

何の対策もせずに近接攻撃を仕掛ければ、その体液を浴びて即死するだろう。


俺は腕を掲げる。

――黒石の巨人、黒兵士を召喚。

どちらも無機物とアンデット。毒は効かない。


獄山蛙の体長はおおよそ4メートル。

黒石の巨人とほぼ同サイズ。巨体同士が正面からぶつかり合う。


轟音を立てて巨人の拳が獄山蛙にヒットする。

ボスは口から大量の体液を撒き散らしながらひっくり返った。

だがタダでは終わらない。転がりながら周囲に「氷岩」の魔法を展開し、黒石の巨人に反撃を行う。


しかし、そこに黒兵士達が遠方から弓矢を撃ち込み続ける。


――ハメ殺し。

これが一番いいのだ。卑怯? いや、戦術だ。


怪獣同士の戦いの余波は凄まじく、地面が揺れ、地震のような錯覚に陥る。

横からゴアデビルが隙をついて「龍光」をぶち込む。ボスはよろめくが、流石にタフで一撃では沈まない。

伊達に守護者を名乗っていない。


だが、数の利は圧倒的だ。

開戦からおよそ4分後、あっけなく決着がついた。


倒れ伏した獄山蛙の脳天に、巨人がトドメの拳を叩き下ろす。

獄山蛙は痙攣し、動かなくなった。

死んだのを確認した後、毒の影響を受けない黒兵士に解体を命じ、魔石を取り出させる。

出てきたのは、拳大ほどの大きな魔石だった。


毒が怖いのでゴブリンに運ばせ、俺は指一本触れずに回収を終えた。

これを持って管理所へ帰れば、俺の名前でダンジョンの踏破記録が更新される。



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