表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
只人の『召喚魔法』運用法  作者: 上昇線


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/29

12

「全力で殺せ!」

これまで「全力」の戦闘など無かった。

俺は黒馬に跨がり、戦場を見据える。

召喚生物に疲労はない。出し惜しみは不要だ。

背後の扉が、重い音を立てて閉められた。


バチバチと帯電する黒馬から、無数の紫電が飛び交う。

雷撃がスケルトンに着弾し、骨屑となって吹き飛ぶ。

――やはり強い。

ゴブリン達も我先にとスケルトンに向けて突撃する。

だが、敵陣へ到達する直前、一筋の「火槍」がゴブリンの脇腹を抉り、即死させた。


召喚生物に完全な死は無い。殺されても時間が経てば再召喚は可能だ(およそ1日かかると言われている)。

俺は咄嗟に生き残ったゴブリンを「回収」する。

長剣とバックラーをその場に残し、ゴブリンは光の粒子となって俺の元へ戻ってきた。


何かが、スケルトン軍団の中に混じっている。

それも、強力な魔法を使う個体が。

おそらくボス格だ。


初めて召喚生物が殺された衝撃は大きかった。まるで俺自身の命に手を掛けられたような悪寒が走る。


向こうの魔法射程はおよそ20メートル。

対してこちらの黒馬の射程は何倍も長い。

絶え間ない雷撃によりスケルトンは大きく数を減らしているが、白い海のように押し寄せる軍団は、死骸を踏み越えて前進を続けていた。


その時、スケルトンと俺たちの中間地点、左右の壁が大きな衝撃と共に崩れた。


――ゴーレム、2体。

体長およそ6メートルはある大型の岩人形が参戦したのだ。


俺は、半魚人「デラボネア」と取引をした腕輪に目を向ける。

『黒石の巨人ブラックゴーレム』の召喚。

敵のゴーレムは岩石製だ。恐らく魔法耐性が高く、黒馬の雷撃は効きにくいだろう。

なら、別の召喚魔法で対応するしかない。


敵ゴーレムまではおよそ50メートル。

この腕輪の召喚範囲はおよそ3メートル。近づかなければならない。

移動の遅い巨人をこの場で召喚し、歩かせて向かわせる選択は、時間制限のある遺物では悪手だ。


「走れ!」

俺は黒馬を駆り、全速力で敵ゴーレムへ接近する。

距離を一気に詰め、ぶっつけ本番で腕輪を掲げた。


「来い!」


光の中から現れたのは、黒い薔薇のレリーフが肩や腕に施された、漆黒のゴーレムだった。

大きさは4メートルほど。敵の6メートル級と比べると一回り小さい。

だが、黒石の巨人が敵ゴーレムの胴体へ振りかぶった拳の一撃は、轟音と共に巨体を揺るがし、相手の体勢を崩した。

――力負けしていない。むしろ個の強さは優っている!


よし。

すぐに戦場から離脱すべく黒馬を反転させようとした瞬間、凄まじい衝撃で吹き飛ばされた。

ゴロゴロと地面を転がる。擦り傷の痛みを無視して立ち上がる。


黒馬の鞍には固定ベルトが付いていた。

俺は衝撃で吹き飛ばされた瞬間、咄嗟に黒馬を「回収」していた。そうしなければ、倒れる黒馬の巨体に俺が押し潰されていたからだ。


腰にぶら下がったままの鞍のベルトを外す。

今の衝撃は、敵の魔法を黒馬が雷撃で相殺した際に起きた爆発だ。火火猿との戦闘で何度も見ていた現象だから瞬時に理解できた。

しかし、これほど接近されていたとは。


およそ20m先、黒い悪魔が立っていた。

実物を見るのは初めてだ。

「ゴアデビル」。第三階位の魔物。


金山ダンジョンは全4階層、第二階位までの魔物しか出現しないはずだ。

だが目の前にいるのは、人の枠組みを超えた「第三階位」。

超人が命懸けで戦う怪物が、俺の目の前にいる。


さっきゴブリンを殺した魔法「火槍」の射程圏内に、俺は生身で立っている。


デビルが、醜悪な顔を歪ませて笑みを深めた。

その背後で、黒石の巨人が一体目の敵ゴーレムを殴り倒したのが見えた。

その瞬間、デビルが動いた。


魔法「火槍」。

俺に回避できるような身体能力はない。

だが――

光の中から現れたゴブリンの胸が、大きく抉られた。


俺は咄嗟に、さっき回収したゴブリンを前方に再召喚し、「肉の壁」にしたのだ。

その一瞬の隙に、本命の黒馬を再召喚する。

デビルの放った二撃目の火槍は、黒馬の雷撃が相殺した。


「おい、調子のるなよ……!」

黒馬の陰から、俺は突っ立っているデビルに雷撃を放つよう指示する。

奴は俺達がしたように、火槍で相殺してくる。

小爆発が起き、黒煙が舞う。


「バカが!」

気分が高揚して、自然と口が悪くなる。

デビルは気づいていない。

一体目を処理した黒石の巨人が、背後から音もなく迫っていたことに。


巨人が大きく振りかぶった拳が、デビルを背後から直撃した。

デビルはボールのように側面の壁へ吹き飛んでいく。

だがその直後、残っていたもう一体の敵ゴーレムの拳が、黒石の巨人を横殴りに殴り倒した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ