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爆買いの翌日。
俺は「金山ダンジョン」と呼ばれる、東海エリアでも屈指の人気ダンジョンに来ていた。
全4階層。
一層はゴブリン程度しか出ない、広大な草原タイプだ。
ここを選んだのは、黒馬の騎乗練習に丁度良いと思ったからだ。
金山ダンジョンの一層は、とにかく広い。
昨日の東山とは違い、とんでもない数の探索者が出入りしているが、フィールドが広大すぎて中でごった返す事はないそうだ。
ダンジョン管理所も相応に大きく、広い。
飲食店も連なっており、一つの商業施設のような活気がある。
「入場希望です」
受付でそう言って、ダンジョン管理証を見せる。
係員は、俺の背嚢から柄が飛び出ている「二対の長剣とバックラー」をちらりと確認したが、特に何も言わずに入場許可を出した。
あっけなくダンジョンに侵入した俺は、入り口の人混みから離れた場所へ移動し、黒馬を召喚する。
背嚢から、昨日買った「鞍」を取り出し、黒馬の背に装着する。
腹帯を締め、しっかり固定されている事を確認して、黒馬を伏せさせる。
この鞍には、騎乗者が落ちないための固定ベルトも付いている。俺はそれに体を預け、しっかりと装着した。
続けてゴブリンも2体召喚し、それぞれにバックラーと長剣を装備させる。
準備が整うと、黒馬がゆっくりと起き上がった。
視線が高くなる。だが、俺の重心は意外な程安定していた。
昨日購入した「騎乗時に補正がかかる長槍」の遺物は、現在スロットに抽出して装備済みだ。
【現状確認】
春花 アキ
・第二階位
・スロット数:2
① 黒馬の召喚魔法
② 騎乗状態への補正(長槍の遺物)
【召喚生物】
・黒馬(第三階位相当)
装備:鞍
・ゴブリン ×2(第二階位相当)
装備:鋼鉄の長剣、バックラー
これが今の現状、俺の戦力だ。
黒馬をゆっくり進ませる。
――いける。
ベルトで固定されているのもあるが、そもそも乗っているのが俺の意思を汲む召喚生物だ。騎乗者に最大限配慮して動いているのがわかる。
これなら、当分の間「移動時の隙」という弱点は緩和されるだろう。
試しに、騎乗したまま雷魔法を撃ってもらった。
バチバチと帯電した黒馬に触れていても、主である俺にはダメージがない。感電対策も問題なしだ。
召喚生物に疲労はない。ゴブリン達は徒歩で走らせているが、黒馬は人を乗せてもまだ「歩き」とも言えるような余裕を感じさせる。
現状の速度で俺の全力疾走よりもよっぽど速い。
視界に入るゴブリンは蹴散らし、奥へ奥へと進んで行く。
やがて、空間を仕切る半透明の膜が見えてきた。
二階層への入り口だ。
ここまでの所要時間は約2時間。
乗馬というのは本来疲れるものだと聞いていたが、遺物の補正効果のおかげか、疲労感は皆無だった。
迷いなく、膜をくぐる。
金山ダンジョン第二層。
ここではゴブリンの集団に魔法使いや弓矢使いなどが混じり、さらにオークなどの人型魔物が出現するようになる。
一層の草原とは違い、フィールドは鬱蒼とした森。
足場は悪く、木の根が隆起しているが、馬上の俺には関係ない。
最初に出会ったのは、オークの集団だった。




