第6話 (12月 6日のおはなし)
ひとり、岩だらけの過酷な荒地を旅していたティーゼルが、この連れに出会ったのはまったくの偶然だった。
夜通し歩き、夜明けが近付いたため、今回のように陽射しを避けられる岩陰を探していると、幾つもの死体に遭遇したのだ。
いずれも汚れた質素な身なりをしており、武器を手にしたまま斃れている。
どちらかというと、襲われる側というより襲う側の人種に見えたが、どれも剣で斬られた形跡があった。獲物と思って襲いかかり、だが相手の力量を見誤っていて反撃された――そんな想像が浮かぶ。
経緯が何であれ、死体そのものは珍しくもない地である。物騒なことだ、とさしたる感慨もなく内心で呟きながら視線を先に遣ったところ、前方に立ちはだかる大岩の根元で倒れている人影が目に入ったのだった。
夜明けを待つばかりの空は少しずつ色と光を取り戻しており、そのお陰で多少の距離があっても辛うじて相手の様子が窺える。
その人影は岩壁に背を預け、両足を投げ出していた。上半身がわずかに左側に傾いでおり、左手は地面につき、右手で左脇腹を押さえている。時折その顔が苦悶に歪むが、目を閉じたままであるところを見ると、意識は無いのかもしれない。
彼が纏う外套は遠目にさほど傷んでいる様子もなく、この土地に踏み入れてまだ日が浅いのだろうと思われた。整った身なりと、腰に提げた手入れの行き届いた長剣からして明らかに、他に行き場を失い、この地に逃げてきたといった無法者の類ではない。
つまりは先ほど見た死体の群れの仲間とは思われないのだった。
(あいつがやったのか? ひとりで?)
周囲には、ほかの人間の気配もない。
歳の頃は十代半ばといったところか。自分より歳若い遭難者が珍しく、ほとんど気紛れで、ティーゼルは彼に近付いた。




