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マネー

「五か月というか期間は、遊んで暮らすには長いわね」


3か月を予定していた行程を、たったの一日でショートカットした我々。

おかげで、学園の入学まで五か月もある。

遊んで暮らせばいいのに。

金なら、あ、ないのか。

ズンダ金貨は、学費分しかなかったわ。


「お金を稼ぎたいのじゃ」

「俺も。学園は、ものすごくお金がかかるんだろ?」


働きたくないぜー。

でも、これを乗り越えれば、9年間も小学生だ!

ちょっとは、やる気が出るってもんよ。


どうやって稼ぐか。

お団子屋で、作戦会議だ。


「まず、セリカに確認するけど。今、いくら持っているのかしら?」


クリームちゃんが議事進行してくれる。

縦ロールはリーダーの証。

悪役令嬢とか、古くはテニス部所属の生徒会副会長とか。


前世で、プロジェクトリーダーをやらされた時に、地獄を見たわし。

絶賛炎上中のプロジェクトなのに、前任者失踪で、引き継ぎも無し、とか。

あんなん、もういいわー。

この世界では、女生徒Bくらいのポジションで行きたい。


でだ。

セリカ先輩は、いくら足りないの?

学費は、庶民の平均的な生涯賃金くらいだぞ。


「360円」

「さんびゃくろくじゅうえん?」


え、何が?手持ちの残金が?

椅子にふんぞり返り、足まで組んで、堂々と答えるセリカ。

すげえな、ここの支払いも無理じゃないか?


セリカ先輩は、6000万円足りない。


・入学までの生活費 100万円

・入学金 2000万円

・9年間の学費と寮費 4000万円


入学までの五か月間の生活費は、100万円なので、わしの目標はこれ。

セリカ先輩は、6000万円。100万円が誤差だよ。


しかし、この国の庶民の平均的な生涯賃金は、6000万円しかないのか。

年収100万円とかですかね。

ひどい。


あれ?五か月で100万円も必要ないのでは?

学園の寮のレベルで試算した?そういうことか。


「どうやって、五か月間で、6000万円稼ぐのか。意見を出し合いましょう。実現可否は問わずに、自由な発想をするように」


ブレーンストーミング形式で案を募った結果。


・住み込みで月収1,200万円のバイトをする

・マグロ漁船に乗る

・相場で儲ける

・博打で大当たり

・何か商売をする

・ドラゴンを退治する

・埋蔵金を発掘する


期間や元手が不足しているものは消していく。

結果、残ったのが。


・ドラゴン退治

・埋蔵金発掘


最も無理そうなのが残ってしまった。

だがしかし、無理そうな課題でも、2つ以上組み合わせてみると、不思議と解決の可能性が見えてくるもの。

結果、次のようになった。


・埋蔵金を掘りながら、ドラゴンを退治する


ドラゴンというのは黄金などのキラキラしたものが大好き。

埋蔵金を掘っていれば寄ってくる。寄ってきたところを仕留める。

もしくは、ドラゴンの巣から、ドラゴンが集めた黄金類を強奪する。

ドラゴンの生死は問わない。


この世界のドラゴンとは「今でも、居ないとは言い切れない」というのが一般的な見解だとか。


他に案もないので、埋蔵金を掘りながらドラゴン退治で検討を進める。

ドラゴンの尻尾ステーキを食べたいし。

まあ、最悪、ズンダ財宝を闇に流せば良くない?

結局は、レジャーですよ。アドベンチャーですよ。

遊びだな。


「埋蔵金を掘るとして、どこに行くかよね」


各自が聞いたことのある埋蔵金伝承のある場所を集める。

片道一か月程度で行ける場所に絞った結果、四か所が残った。


・ターマ山

・オタマ川

・カナマナ平原

・ナマタ村


決め手が無いか。

多数決で決めるか、あみだくじでもやるか。

あ、そうだ。


「おみくじじゃ!神社に行っておみくじを引くのじゃ!」


おみくじは因果律がどうだかと、セリカが言ってた。

他に頼るものもなし、神社へと行くよ。


エタナル教の神社は、団子屋の数より多い。

すぐに見つかった。


おみくじは、セリカ先輩がひいた。

残金240円。

おしるこ代は、縦ロールリーダーが払ってくれた。

縦ロールリーダーの財布は、幼女の食べ物に対しては緩いようだ。


大吉

方角:東

探し物:見つかる

敵:けもの

食べ物:お肉よりお魚

ラッキーアイテム:十字架


これは、具体的と言っても良いのでは?


「ターマ山というわけね」


しかし、だ。


「危険過ぎじゃないかしら?」

「あそこの熊は、くさいんだよなあ」

「来た道戻るのいやなんじゃけど」

「麓までは、電車と馬車で行けるでしょうけど。山中を進む手段が問題ですね」

「あそこは、ターマとオタマの境界ですよ?軍事侵攻するのはまずいです」


全員、積極的に行く気にならない。

このくじはずれじゃね?

いっそ、セリカを放り出すか?

なんかもうめんどうになってきたわー。


「貴様ら、ターマ山に行くのか?」


そこへ声をかけてきた不審者が。

全身黒い服装に、なにかをこじらせてそうな、目つきの悪い顔つき。こいつ、どっかで会ったな?


「なんだ。うんこ悪魔か。今忙しいんだ、あっち行け」

そうだ、悪魔だ、こいつ。

悪魔が神社の境内に居る。

神的な聖なる力で死んだりしないの?


「随分とえらそうじゃないか。200年前に会ったときは、うんこ漏らして泣いておったくせに。」

なんだよ、うんこは女神の方かよ。

女神の品位を貶めないでいただきたい。


「我が用があるのは貴様ではない。生まれたての女神の方だ。」

「え?わし?」

「我の名はポチ。これでも上位悪魔だ。人間の階級で言えば、課長だ。」

そんなに上位でもなくない?


「で、その課長さんが、わしに何の用なのじゃ?」

「上に言われてな。生まれたての脆弱な女神の面倒を見てやれ、と。」

悪魔の世界が社畜くさいぞ。


「ターマ山まで行きたいんじゃけど。240円以内で」

課長に頼んでみるよ。


「分かった。鳥居前で、しばし待たれよ」

と言い残すと、いずこかへ走り去って行った。

何かあてがあるようだね。

さほど期待はせずに、みんなで鳥居前で待つことしばし。


痛車が、やってきた。

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