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11人しかいない!

何かが、おかしい。


さっきまで、乗客は13人居た。

今は、11人しか居ない。


まさか。


乗客は徐々に減り続け、ついに幼女3人と、メイド2人だけになった。

正確には、幼女1人と、女神2体だな。

セリカも女神だった。

わしより先に生まれたらしいから先輩だ。

セリカ先輩だ。


ともかく。

恐ろしいことに、この乗り合い馬車、ほとんど進んでない気がする。

あの、団子屋はさっきも見た。


「なあ、これってバス旅ルールなん?」

答えを聞きたくないが、確認せねば。


「ばすたび?何の事か分からないけど。乗り合い馬車は、こんなものよ。狭い地域を回るから。ワワンサキまで、三か月間こんな感じよ」


まじか。路線バスしか乗れないルールだと?


「なんだ?ニャンブー線に乗ればいいだろ?」

「え?あれは貨物専用でしょ?」

「ちゃんと方法があるから、オタマ駅で降りようぜ」

「それが本当なら、明日にはワワンサキに着けるのかしら」


なんか知らんけど、セリカ先輩がワープ手段を知っているようだ。

なんだ、使えるじゃんこいつ。


「あっ!うんこ悪魔が居ない!」

なんだよ、やっぱうるさいよ、こいつ。

うんことかおしっことか、幼女なら言っても許されると思ってるな?

許すけども。

わしの中の、50過ぎのおっさんが、生暖かい目で、うんこ幼女を見ている。


おっさんの精神が、じわじわ消えていって、幼女の精神に染まりつつあるけど。


「アレは、こちらで始末しておきました」

うちのメイドさん、何したんだろうか。

ゴミは捨てておきました、くらいののりで何か言っているけど。


「悪魔ってなに?」

放っておけばよいのに、クリームが追求を始めた。

まあ、わしも気にはなるけども。


「あれを地上で見るのは200年振りなんで、後をつけてたんだよ。それで、この馬車に乗ったら、もっと珍しいのが居たから、すっかり忘れてた」

200年振りの悪魔よりも、女神の方が希少生物ということか。


「女神って、そんなに珍しいの?」

「地上には俺以外居ないと思ってたなあ。悪魔の方は、何体か会った事があるよ。今のところ2勝3敗かな。」

「悪魔は、女神の敵なのね?」

「そういうわけではない。女神と悪魔が対立しているわけじゃなくて、派閥で対立してるんだ。俺は無所属だからな。勧誘するか抹殺するか、派閥によって対応はいろいろだな。」


よく分からんな。

セリカ先輩が、見た目は幼女、中身は200歳、ってことだけ分かった。


乗り合い馬車が、オタマ駅に着いた時には、もう日が暮れていた。


「ちょっと、そこの団子屋で待ってろ。手配してくるから」

そう言い残すと、だだだーっと走り去って行くセリカ。


指示された通りに、お団子屋さんで待つ。

ずっと気になっていたのだ。もちもちおもっち。


おしるこうまい。


この世界の食文化は、日本と変わらんね。

温泉といい、おしることいい、異世界感ないわー。

この世界で、200年以上、幼女のままのんびり暮らすかー。

いいね。


「お。うまそうだなそれ。おれも食う!」

おしるこを食べきらないうちに、セリカ先輩がやって来た。

手配は完了したのか?


セリカ先輩が、おしるこを、おいしそうに食べ始めたので、みんなで待つ。

もの食べる幼女を、急かしてはいかんな。


「よし行くぞ。今夜の最終便に乗れることになった」

それは先に言えよ。


団子屋を後にし、オタマ駅に来た我々。

ニャンブー線は、貨物専用線だが、荷物扱いで良ければ人も乗れるんだと。

斬新な裏技だな。

旅客安全管理規程という概念が無いのか。

やっと異世界感がきたわー。


やがて最終便が、ホームにやって来た。

蒸気機関でもないし、電車でも、ディーゼルでも無い。

まさかの、リニアモーター。

といっても時速500キロとか出るやつではない。

リニア誘導モーターがどうとか、なんかそんなの。

異世界の科学レベルが、分からん。

もしかして、現代日本から転生者が来て、発明無双してる?


便利ならそれでいいわ。


最後尾が狙い目だとセリカ先輩が言うので最後尾の車両に乗り込んだ。


なるほど。最後尾だと後ろのデッキに出て移動する景色を楽しめるわけか。

もう日が暮れてるから何も見えないけどな。


仕方ないので、車両内で寝ることにする。

周りには、米の詰まった袋だとか、梨の入った木箱だとかが、山積み。

これ崩れたら死んじゃうんじゃないの?


まあ、メイドさんが居れば大丈夫だろう。

メイドさんの膝に抱かれて、すこーっと寝る。

セリカとクリームは遅くまで起きて会話していたようだけど。元気だな、こいつら。

我が身は、貧相な幼女なので夜更かしは無理。


目が覚めると、夜は明けきっており、もうワワンサキに着いていた。


最後尾からの景色、見逃したぜ。

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