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第廿話 龍という存在

________________________



 ここは、大日本帝国第一王朝異能学園の御要人が収容……失礼、暮らしている寮であり、華恋たちとの寮とは少し離れている場所に位置している。

 そこで、ティータイムを優雅に過ごしていたさるお方であったが、異変に気がつくことができる。

 そう、違和感。自身に耐えがたい、そんな違和感が自分を襲ってくる。この(ぬぐ)(がた)い何者かの気配は一体なんなのか……これがわからない。そう言った様子だ。

 そして、この違和感と気配は、自身に悪いことではないと知ることができる。なんなら、幸せなものが待っているかもしれないということに。

 そんな違和感・気配を感じ取った龍公国の姫君である、セントレア・マグナロード・フォン・ドラグレアは立ち上がり、急に訳のわからないことを言い出す。


「華恋様が、私に求婚をしたような気配を感じ取りましたわ!!一大事ですわ!ゼーゼス!私求婚されちゃいましたのっ!すごいですわ!すごいですわ!」


「………………お嬢、前の戦いからやけにおかしくなっちまったと思ったら、とうとう行くところまで行っちまったかぁー?あんたは誰にも喋りかけられてねぇぞ。多分幻聴だから落ち着けよ」


 冷静に返すのは、彼女の父の代から龍公国の王宮の侍従長を務める、ゼーゼス・フォン・パルダメル。

 彼はこんなのが国の姫君だと思うと、嘆き悲しみ涙が出るということを非公式の場で言っていたが、本当に悲しくて涙が出ようとしていることは、目の前の姫君は喜び過ぎて気がついていない。

 まじでこの仕事辞めてやろうかと真剣に悩むほどには、この男の忠義というのは逆に厚いものだろうと、臣下たちは語る。

 あの時の戦いからおかしくなってしまった主君を、どうしようかと悩み続けるゼーゼスであるが、分かりきったことだった。あの(華恋)を抹殺するほかないと。原因を作った(華恋)のことを許さないと心に誓っているゼーゼスは、果たして報われる時が来るのだろうか……!?


「んはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!何方(どなた)か存じませんが、求婚を申し出るに足る要因を作ってくださった何方か!本当にありがとうございまひゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅううう!!」


「本当に悪夢だ…………あの死神、まじでどうやって殺してくれよう」


 この調子では、ゼーゼスの胃は一週間のうちにぶっ壊れるであろうことは想像できることだろう。穴が空いて塞がらなくなる状態になるのには、もう少し精神的ダメージを負わないといけないが、それもこの生活を続けていたら、常にストレスがマッハだ。

 なんとも苦労多き人物であるということは、この光景を見て想像に難くない……なんとも哀れであるので、合唱してやりたい気分になるのは、気のせいだろうか。気のせいではないだろう。



________________________



 早速、ブレスの攻撃が飛んでくるのを、必死で避ける俺。

 あのクッサい吐息に当たったら、それこそ丸焦げ。華恋の串焼きが一気に完成してしまう。その状況何としても回避したいし、そんなことになるのはごめん被るので、常に全力である。

 最近全力を要求される敵は少なかったので、とても面白いのだが……丸焦げにされるのは面白くない。

 あの巨体だし、攻撃はウスノロなんじゃないかとも期待していたのだが、そんなことはなくて一安心だよ!(皮肉)

 クソっ!ブレスの次は鍵爪攻撃か!速度もそれなりに速いこともあって回避するのが面倒だ。避けるけど。


 「………………本当に厄介極まりない」


 こちらを射抜くかの様な視線で、常に見続けている龍は、人間に相当の恨みを持っていると言ってもいいだろう。

 何が彼をそうさせたのかは知らんが、完全にここに閉じ込められていたことが起因するだろうな。まず間違いなく、確実に、絶対にそうであるので、俺に対する攻撃は全て八つ当たりと見てよろしいか?

 まぁ、これが八つ当たりじゃなかったらなんだっていうんだって話だけどな。それ以外の何者でもない攻撃を受けるのは、ストレスだ。

 やられっぱなしというのも胸糞悪いので、攻勢に転じていく。

 ナイフを構えながら高速で走ると、その喉元にナイフを突き立ててやろうと最大限にナイフと自身を【強化】していき、硬度の他に跳躍などの各種ステータスの上昇をさせる。

 まずは喉元()(さば)いて、その臭い口から出るブレスを潰してやろうという算段だな!

 跳躍し、喉元に到達した。その立派な鱗にしっかりと指を引っ掛けて(つか)まると、何度もブランコのように前後に体を動かすと、その前後に動かした運動エネルギーを使い、ナイフを突き立てていく。


 「………………どう?ナイフの味は美味しい?」


 流石にこれならば竜の熱い鱗も破壊することができるのではないか?とも思ったが、そう簡単にことが運ばないというのは当然、いつの世も変わらない。

 負傷させるどころか、擦り傷すらつかないとなると、並大抵の硬さではないぞ…………!

 勝てる算段というのは他にもあるが、何分なにぶん難しいことこの上ないんだよなぁ。……これを言っている時点でお前は時代の敗北者じゃけぇ!…………取り消せよ、その言葉ぁ!と、ふざけている場合でもない。

 とりあえず、俺はこの戦いで燃え尽きないことを祈りつつ、この竜の攻略をしていかなければならないことが確定したわけだ…………。

 外皮がこうも硬いと、反撃の余地がないということが今日で分かって本当に良かったよ。これは勉強料を払わないといけないね…………お前の命で。



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