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第伍話 人生二度目の学園生活

 

 そんなこんなでやってきました、大日本帝国何たらかんたら学園に。

 転入ぅ?!なんて思ってましたが、何とかなるもんで、今は自己紹介の真っ只中にいます。

 この学園に通う生徒は、もれなく天皇教なのではないかと戦々恐々としていて、居た堪れない状況となっております。

 俺、信心なんてないですしおすし、周りの目が痛いよぉ!!

 昔ながらの、今では撤廃されている黒板に白棒(チョーク)を使って自分の名前を紡ぎ出す。

『一番合戦式部大輔華恋』……と。このように自分の官位を持っていますよ〜と示すことで、この学園での立ち位置が決まると言ってもいいという、一大イベントなのですた。

 私より上の役職はそこまでいないらしく、なんかびびっておられます。

 こ、怖くないよ〜?全然、とって食おうってお、思ってないよ〜?

 めちゃめちゃ周りから恐れられていて、何だか俺釈然としません。







________________________



 周りは唖然としていた。

 まさか、あの【一番合戦】という名前に戦々恐々としていた。

 あの英雄の一人である者の名前に、恐れ慄いていた。

 それは無理もない。彼ら彼女らは家の者に教え込まれていたからだ。

 最初から異能を持ってきて生まれるものがほとんどの中、この時期の転入というのは物珍しくもあり、奇異の対象となる。

 それが一番合戦という名前であるのならば、尚のこと恐怖と畏怖を持ってして、対処するべきであると体に教え込まれてきているのだ。

 そんな中、恐れ慄いていないものが少なくとも…………何人かいた。

 そのものは奇異の目で見ていても、面白い存在であると断じたり、そのものは興味津々と言った様子で窺っていたりと、彼女という存在に興味を示しているという点では間違いなく一緒だろう。



________________________







 うっわ〜、俺大学デビュー(したことない)失敗したやつみたいになってるじゃん!

 なんか恥ずかしいんだけど、俺の表情筋は動くことを知らないのか、なぜかぴくりともしない。

 笑ったりもしない。

 なぜか無表情なのである。

 自分の目で、鏡で持って確認をしたが、銀髪短髪碧眼ロリであるということがわかった。

 そして、自分の表情筋は死んでいるのだと。

 しかし、それも無理はない。何故ならば、俺はブラック企業勤めのその道のプロであり、表情筋はとうに死んだ!

 のであるならば、俺の表情筋はとっくの昔になくなったと言っても過言ではない。

 過言ではないのだ。文字通り昔に置いてきてしまったモノである。

 はぁ、こんな時に笑うこともできないなんて、疲れるぜ全くよぉ(やれやれ系主人公)

 そんなこんなで、この学園の生徒とのファーストコンタクトは終わった。

 この学園は全寮制であり、将来のためという何とも杜撰な目的のため、異能を強化することに特化した学園である、ということがわかった。

 座学の授業では異能のことについて軽くおさらいしてから、専門的な知識を求められていて、何を言っているのかさっぱりだった。


「ここの場合で使う異能というのは限られてくる。本人の才能と共に開花する異能であるが、何故この場面で異能を使ってはいけないことが解る者はいないか?」


 教官殿がそう問いかけるが、教室はシーンとしている。

 ここで真っ先に目が行くのが俺…………俺ぇ?!

 何で何ですか!専門書に目を通しておいてくださいと言われたが、鐚一文たりとも理解していないぞ、俺!

 いや、嘘だと言ってくれ!中学の時でも当てられるの嫌だったんだよぉ!!

 そんな魂の叫びすら虚しく、俺に白羽の矢が刺さる。


「では、今回転入してきたばかりの……一番合戦式部大輔君分かるかね?」


 ここで分からないなんて事言ったら恥かくでしょーが!

 えっと、そのでふねぇ〜あれがーあーしてこーしてこうだからこうであって、あれ的なアレがあれあれこうしてこうなった……とかじゃダメですよねぇ?

 だめそーな雰囲気だ。

 コレは答えを導き出すまで逃さないという鬼教官の目だ…………面構えが違う。


「……守秘義務」


 よぉしこれだぁ!!

 コレこそがこの問題の意図!

 周りからコソコソとしていなければ異能なんていう異質なものを持っているものからすれば、隠したくなるのも当然!!

 のであるならば!守秘義務が課せられているなんていうことは導き出されて当然だと言える!

 コレは正解引いただろ!

 ………………周りが何故か響めく。

 え、なんか間違ったりしました、俺?

 またなんかやっちゃいましたか、俺?

 なろう系主人公の如く色々とボロを出し始めるのはどうしようもないぞ?

 まじでまずいかも、コレは不正解を引いたっぽい。周りが響めくというのは間違いの証だろ…………先が不安になってきた。


「………………正解、パーフェクトだ」


 あ、なんか合ってたっぽいっすねぇ〜。

 良かった良かった、これで「間違っている!お前はこの学園にいる資格などない!」何でブチ切れられたらどうしようかと思ってましたよぉ〜!安心しました。

 そんなこんなで授業は過ぎ去っていく。

 次の授業は移動教室か。

 科学技術が発展したこの世界において移動教室というのは不要になったとニュースで聞いたことがある。

 中学までしか通ってないから俺あんまり詳しくないけど、どうやらそういうことらしい。

 全て一つの教室で済ませれる、という便利な時代になったらしい。

 全部ニュースでしか見てなかったから知らなかったけど、この学園は旧きに主きを置く。

 そんなことを謳っているからか、そこまでもが前時代的だ。

 そんなところまで旧いものに主だたなくとも、いいじゃない……人間だもの。

 移動してきたのは体育館。

 何故かこの時期になると、体力測定…………謂わば異能測定をするのだという。

 一学期最初の難関だということで、ここでバシッと決めてくださいと、あのイケメン君は言っていた。

 大学デビューを成功に導くためには、身なりからだけでなく言動からも直す必要があるのだ!

 ………………測定器をぶっ壊したらイカれたやつを見る目で馬鹿みたいに注目されました、助けて。


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