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間違いなくVtuber四天王は俺の高校にいる!  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第五章 兎と夏休み

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第85話 夏休みの終わり

「おっと、そろそろお客様が来る時間だね」


「え?」


 呆けている俺に、六道先輩はまるで何も無かったかのように話を進める。


「“え?”――じゃないでしょ。しっかりしてよすばるん! そろそろ21時、メールの差出人が来る時間だよ?」


「あ、はい。そうですね」


 俺と六道先輩は賽銭箱の前に立つ。


「あの、六道先輩、さっきのって……」


「ん? どうしたの?」


「い、いや! なんでもないです……」


 記憶喪失にでもなっているのかと疑いたくなる。

 もしかして六道先輩にとってキスって特別なことではないのでは?

 いやいや、男子より女子の方がこういうのは気にするはず……でも六道先輩だしな……普通の女子と同列で考えるのは良くないか。


――いや、そうじゃない。


 六道先輩、表情こそいつも通りだが耳が真っ赤だ。

 さっきのキスは、悪ふざけや気まぐれじゃない。きっと、ちゃんと考えなきゃいけないことだ。


「来たね」


 石階段からコツ、コツ、と足音が聞こえる。

 階段を上がってきたのは――パーカーを着た女子。


「アレは……」


「やっぱりキミだったか。しずちゃん」


 神社にやってきたのは日比人が所属するeスポーツ部の部長、雨宮だった。

 なぜコイツが……。


「なんで晴楽もいんの? めんどくさっ」


「なになに? ボクが居ると困る話?」


「……別にいいけど。アンタにもいずれ話すことだし」


 どうやら六道先輩と雨宮は知り合いのようだ。あまり接点が見えないけど。


「まず自己紹介するね。あたしは雨宮(しずく)。エグゼドライブ6期生、蛇遠れつの中身だよ」


「は? はあああああああっっ!!?」


 神社中に俺の声が響く。


「お、お前がれっちゃん!? あのツンデレの!?」


「誰がツンデレだ。デレた覚えはないっつーの」


 この言葉遣い、この声――


「……言われてみれば雰囲気ソックリだな」


「しずちゃんは結構まんまだよね~」


「演技とか苦手なんだよ、あたしは」


 ホントに、れっちゃんまんまだな……なんで日比人のやつは気づいてないんだ。


「早速で悪いがサイン貰ってもいいか?」


「やだね」


 残念。


「眠いし、もう本題入らせてもらうよ。トラブルシュータ―の兎神昴さん」


「麗歌から俺のことは聞いてるみたいだな」


「うん。数々のトラブルを解決してきたみたいじゃん。凄い凄い」


「まぁそれほどでもあるが。あ、もしかして、お前も何かトラブル抱えてるのか? 俺に何かしてほしいことが――」


「逆だよ、逆。何もしないでほしい」


 雨宮はキッパリと言い切る。


「あたしの邪魔をしないでほしい」


「?  話が見えないんだが……」


 雨宮は調子を変えることなく――

 とんでもないことを言い出す。



「あたしは、8月末にVチューバーを辞める」



 血の気が引いていく感覚。体が一気に冷えていく。

 驚いているのは俺だけじゃない。

 隣では六道先輩が、見たことも無いほど動揺していた。


「は……? なに言ってるのれっちゃん……?」


「もう、決めたことだから。8月末にライブをやる。そこで引退を発表して辞める。もう会社には話した」


「れっちゃん!!!」


 六道先輩は雨宮の肩を掴む。


「なに言ってるの!? なんで急にそんなこと……!!」


「アンタには、なんとなくわかってるでしょ?」


「!?」


 雨宮に睨まれ、六道先輩は雨宮の肩を手放した。


「とにかくそういうことだから。きっと麗歌はアンタにあたしの引退を撤回させるよう依頼を出す。でもその依頼は無視してね。ライブの準備もあるし、最後のステージ……集中したいから。用件はそれだけ」


 雨宮は背中を向け、石階段の方へ歩き出す。


「待てよ」


 俺は雨宮を呼び止める。


「どうして俺を呼び出したんだ?」


「さっきも言ったでしょ。アンタに邪魔をしないよう忠告するために……」


「そのためにわざわざ? そもそも俺が、お前の言うことを素直に聞くと思っているのか? 麗歌から話を聞いているのなら、俺が諦めの悪い人間だと知っているはずだ」


「……」


「ホントはお前、俺に止めて欲しいんじゃないのか? だから」


 雨宮は俺も睨みつけてくる。


「勝手な憶測で喋るな。さっきの言葉に嘘はない。あたしは最後のライブに集中する、その邪魔は絶対にしないで。余計な雑音をライブに持ち込みたくないの。兎神……アンタは知らないんだ」


 雨宮は去り際に、



「――Vチューバーがどれだけくだらない存在なのかを、アンタは知らない」



 雨宮は階段を下っていく。

 学校が始まるまで後18日。

 だが俺の夏休みは今日、この時に終わった。


 長い戦いが――始まる。

【読者の皆様へ】

第五章 完

カクヨムではいっぱい感想を貰ったものの、なろうでは一切感想がなく、ポイントも増えず終始手応えが無かったです笑 ただPVだけは多かったので良かったです。

残念ながら人気は出なかったので、休載に入ります。また来年の夏辺りに再開するでしょう。あ、でもどこかで1話だけ更新するかもです。


それではまたっ!

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