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間違いなくVtuber四天王は俺の高校にいる!  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第五章 兎と夏休み

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第78話 夏祭り その1

 アオが帰ってすぐのこと。スマホに突然、こんなメールが届いた。


『兎神昴 今日21時、天神(てんしん)神社にて待つ』


 天神神社……マンションから3km地点にある神社で、100段以上の石階段を登った先にある。神社自体は地味というか、特別な物は何もなく、賽銭箱と小さな寺が一軒あるだけ(ベンチもあったかな?)。その賽銭箱だって下手したら空だろう。神社からは街が一望でき、その景色は一見の価値はある。が、それだけ。


 とにかく人気が無く、周囲に民家も無いため喧嘩とか闇討ちにはうってつけの場所ってわけだ。


 知らないアドレス。名前は書かれていない。

 どこぞの不良か、文面からして穏やかではない。行く義理はないな。と考えた時に、もう1通メールが届いた。


『来なければ朝影綺鳴の秘密を明かす』


「なっ!?」


 朝影綺鳴の秘密……と言えば、彼女が月鐘かるなというVチューバーの中の人であること。

 それが明かされるのは非常にまずい。適当に言っている可能性もあるが、無視はできないな。

 麗歌に相談するか? いや、せっかくの祭りの日に水を差したくない。1人で解決できるのなら1人で解決したい。


 仕方ない。時が来たら神社に行くとしよう。



 --- 



 15時20分。

 俺は一足早く家を出発した。理由は待ち合わせ場所の公園に行く前に寄る場所があるからだ。


 例の妙なメールの後、麗歌からメッセージが届いた。『公園に行く前にウチへ寄ってください』とのこと。理由を聞くと、『来てからのお楽しみ』と返された。


「こんにちは」


 朝影家の門の前で麗歌が待っていた。

 麗歌は浴衣を着ている。椿模様の白を基調とした浴衣で、凛とした雰囲気だ。クールな麗歌に良く似合っている。頭につけた花のヘアピンも良い。


「浴衣か。似合ってるぞ」


「お世辞どうもです」


「お世辞じゃなく本心だよ」


 俺が真っすぐな瞳で言うと、麗歌は視線を流し、


「……どうも」


 と小さな声で言った。


「それでお楽しみってのはなんだ。お前の浴衣姿のことか?」


「違います。もう想像はついているんじゃないですか?」


「まぁな」


 ガチャリ、と朝影家の玄関が開く。

 中から出てきたのは当然――


「っ!?」


 誰だ……?

 いや、間違いなく綺鳴だ。あまりにいつもと雰囲気が違い過ぎて、一瞬誰だかわからなかった。

 麗歌と同じく浴衣だ。赤い浴衣。髪はまとめてあって、簪で留めてある。かるなちゃまと同じ和装だからか、綺鳴の影に、かるなちゃまの影を色濃く感じた。


「う、兎神さん……変じゃ、ないですか?」


「へ? ああ、いや、全然……変じゃない……つーか、むしろ……」


 なんだろう。上手く喋れない。

 その白い肌に電灯が反射して、輝いて見える。可愛いというより――美しい。


「綺麗だ……凄く……」


 恥ずかしさは無かった。

 心から溢れた言葉だったから。


「あぁ、うぅっ……!」


 一方で、綺鳴は俺の言葉に対し、恥ずかしそうに顔を背けた。


「ありがとう、ございます……えへへっ」


 不器用に笑ったその笑顔が、俺の心の内側まで光をさし込ませる。

 まるで月のような笑顔だった。


「綺麗ですよね」


 ふと、俺は麗歌の方を見た。

 麗歌は笑っていた。寂しそうな笑顔だった。

 その笑顔を俺は以前にも見たことがある。学校の屋上で、見たことがある……。


「月鐘かるなとどっちが綺麗ですか?」


 綺鳴が俺と麗歌に聞いてくる。俺と麗歌は声を重ね、


「「月鐘かるな」」


 と答えると、綺鳴はその柔らかそうな頬っぺたをパンパンに膨らませた。

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