表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
間違いなくVtuber四天王は俺の高校にいる!  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第三章 兎と友達と風邪と運動会と告白
32/91

第31話 風邪風邪クライシス①

「あっちゃ~、こりゃ駄目だ」


 俺の脇で温めた体温計を手に妹は言う。


「37度7分。おにぃ、平熱36度1分だもんね」


「……お兄ちゃんはお前が平熱を覚えていたことが嬉しいよ」


「うっ……たまたまよ、たまたま覚えてただけ! 学校には私が連絡しておくから、おにぃはジッとしてな。良かったね~、偶然中学が休みで。今日は私が看病してあげるよ」


「頼む……」


 あー、頭がぼーっとする。

 学校には瑞穂が連絡してくれるから、俺は知り合いにだけ連絡しておくか。

 アオと綺鳴、それに麗歌と日比人。あとは今日俺シフト入ってたし、店長にもメッセージを送っておこう。


 メッセージを打ち終えたところで力尽きた。睡魔に身を委ね、眠りにつく。



 ---



「……」


 目が覚めても体のダルさは取れなかった。

 ベッドの側のテーブルには妹が置いたであろうスポドリとエナジードリンク、床にはバケツとタオルがある。

 時計を見ると12時15分だった。

 スマホに手を伸ばす。未読が13件も溜まっていた。


 まずアオからのメッセージを読む。


《大丈夫? 学校終わったらお見舞い行くね!》

《水分補給はしっかりすること! 絶対安静にね!》

《なにか欲しいものがあったら言ってね。買ってくるから》


 心配かけて申し訳ないな。

 とりあえず《大丈夫。ありがとう》と返しておいた。

 次に麗歌のメッセージを読む。


《体調管理ぐらい、しっかりとしてください》


 というメッセージから1時間後、おそらく授業中に、


《すみません、言葉がきつかったです。あの、大丈夫ですか? 本当に辛かったらメッセージください。知り合いの優秀な医者を連れて行きます》


 やれやれ、大げさだな。


《ただの風邪だって。そんなきつくはない》


 とメッセージを打つ。

 正直けっこうきついけど、風邪の中ではキツい方ってだけで、命の危険とかはまったく感じない。


 次は日比人のメッセージだ。


《ごめん! 絶対僕のせいだよね! 濡れた状態で待たせちゃったから……》

《絶対、学校からお見舞い行くよ! あ、でも兎神くん家の住所知らないや……小荒井先生に聞いて行くね!》

《授業の内容もノートにまとめて渡すから! その辺は心配はしなくて大丈夫だよ! 任せて!》


 やっぱり責任を感じちゃうよな。こっちこそ申し訳ない。


《お前のせいじゃないよ。ノートはすげぇ助かる》


 日比人にもメッセージを返し、次は店長だ。


《こっちは気にするな~。林がフルで入ってくれたから問題なし。ちゃんと治せ》


 林さんには今度会った時礼を言っておこう。


《ありがとうございます。迷惑かけてすみません》


 さて、次で最後だ。


《兎神さぁん! 風邪ってホントですか!? 大丈夫ですか! 心配です……》

《学校終わったら行きます!》

《ファイト! ファイト!》


 三つのメッセージの後に、応援団の衣装を着たかるなちゃまのスタンプ。

 綺鳴から送られるかるなちゃまのスタンプは特別嬉しいな……だけど、


《見舞いには絶対に来るな。万が一風邪がうつったらどうするんだよ》

《かるなちゃまには100万人以上のファンが居るんだ。そのファンのためにも、来ちゃダメだ。今日だって配信があるだろ。そっちに集中してくれ》

《気持ちだけ受け取っておく》


 そのメッセージを送ったところで、部屋の扉が開けられた。


「おにぃ、雑炊作ったよ~」


 妹がちっちゃな鍋をトレイに乗せて持ってきた。


「食欲は?」


「ある。けど、体は怠いな……」


「仕方ないなぁもう。ほら口開けな~」


 瑞穂がレンゲに雑炊を乗せて、口元まで運んでくれる。 

 口を開けて、雑炊を迎え入れる。


「うん、おいしい」


「そりゃ良かった」


「ありがと。もう大丈夫、自分で食う」


「はいはい。無理はしないでね」


「……あと、後で客が何人か来ると思う」


「へぇ~。ま、1人はアオ姉だろうね。お菓子用意しておかなくちゃ」


 妹お手製の雑炊を平らげ、体力を使い果たした俺はまた眠りにつく。


 ---


「ん……」


 ドタドタドタ! という足音で、俺は目を覚ました。

 誰かが部屋に入ってきた音がした。

 すぐ側から「はぁ……はぁ……!」と吐息が聞こえる。女の声だ。


 薄っすら瞼を開き、横を向く。


「あっ……おはよう、兎神くん」


 汗だくで顔を真っ赤にさせたアオが立っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ