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第16話 新たな依頼!

 ウチの高校はかなり奇妙な地形の場所にある。

 最寄りのバス停から坂を下り、そこから何百メートルもある畑道を行って、小さな坂を上ると校門だ。


 俺は畑道を、運動部連中と同タイミングで歩いていた。


 理由は早朝からある女に呼ばれたからだ。

 俺は校門をくぐった後、教室には向かわず、旧校舎を改造して作られた今は3号館と呼ばれる建物に入り、その四階に足を運ぶ。そこには絶滅危惧種、視聴覚室があるのだ。でっかいモニターがある部屋な。


 上履きを靴箱に入れ、視聴覚室に入ると、すでに俺を呼び出した少女がいた。


「おはようございます、昴先輩」


「朝っぱらから用件も言わずに、こんなところに呼び出しやがって……」


 カバンを長机に置き、机の上に腰を落ち着ける。


「ちょっと見てほしいモノがありましてね」


「つーか勝手に使っていいのかよ、この部屋」


「副校長に許可は取ってあります」


「部活でも委員会でもないのによく許可がおりたな」


「私の父と副校長は高校の同級生で、副校長は私のお願いなら大抵聞いてくれるのです」


「そんな人脈があったのか……」


 40席はある部屋を2人で貸し切り。

 ちょっと特別感があって悪くない。


「適当に座ってください」


 最前席に座る。

 麗歌はモニターに繋いだPCを操作し、ある動画の再生画面を出した。

 その画面にはエグゼドライブ6期生、天空ハクアが映っている。


「ハクアたんの動画か」


「はい。次の依頼は天空ハクアに関連するものです。まずはこちらをご覧ください」


 麗歌は動画を再生する。

 再生された動画はゲーム実況。Vチューバーの定番ジャンルの1つだ。


 だけど、ハクアたんは……、


『あれ? ジャンプボタンってどれだっけ!? あ、死んじゃった……』


 横スクロールのゲームで、ただトコトコ歩いてくるだけのモンスターに当たり、ゲームの主人公は息絶えた。


 格ゲーをやれば飛び道具を連発するだけの相手に負け、

 コマンドRPGでは魔法使いに物理攻撃を指示し、

 育成ゲームでは可愛いだけの雑魚を育てて詰む。


 そう、ハクアたんは絶望的にゲームが下手なのだ。


「……このように、天空ハクアはゲームがド下手です。ちょっと下手ぐらいならむしろ良い味を出します。でも彼女の場合は……」


「度を越して下手だな。せめてノーマル難易度のRPGぐらい、何も見ずにクリアできるぐらいじゃないと」


「歌も踊りも上手で喋りもできる。エグゼドライブ全体で見ても抜群の司会能力を持つのに、ゲームだけが致命的に下手。ゲーム企画の多いエグゼドライブにおいて、致命的な弱点と言えるでしょう」


 逆に言えばそんだけゲームが下手なのに登録者数100万人突破してるのはバケモンなんだよな。


「そこで、昴先輩に1つ質問があるのですが、昴先輩はゲームの腕はどれほどですか?」


「Vチューバー見だしてからめちゃくちゃやるようになったからな。普通よりは上手いと思うぜ。どのゲームでも初心者には絶対勝てるけど上級者には絶対勝てないぐらいのレベルまではいく」


「つまり中級者ですね。ちなみに、もし月鐘かるなと対戦ゲームで戦ったら勝てますか?」


 質問の意図はよくわからないけど、


「絶対勝てる。ボコボコにできる」


 かるなちゃまのゲームの腕はまぁ、中の下程度。さっき麗歌が言っていた“ちょっと下手ぐらいならむしろ良い味を出す”っていうのはかるなちゃまのことだろうな。


「なら、大丈夫ですね」


 なにがだ。


「依頼です。昴先輩……天空ハクアのゲームの先生になってください」


「俺が?」


「はい。今から2週間後、月鐘かるなと天空ハクアのコラボ配信があります。その配信で2人は“大激闘! ブレイクシスターズ!”というゲームで戦います。昴先輩は天空ハクアを指導し、その対決でハクアが勝てるようにしてください」


 それって、つまりは――



「打倒、月鐘かるなです」



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