4話
前回から引き続きロレッソ皇子視点です。
母は、皇太子妃となり、自分に子供ができないまま皇后となることが決まった。
しかし、それを許す臣下たちではなかった。
アジュート家の力で抑えられる家は抑えたが、あまりにやりすぎると自分の株も落ちると考えた母は、情報暗部を見つけ出すことに尽力した。
当時、サメイラが自分の侍女となっていたため、サメイラを利用した。
以前、母はサメイラに情報暗部について調べるように言っていた。
地道な調査で、目星を付けていたらしいサメイラは、母の命令で統括者らしき人物に接触していた。
母は焦っていた。
隣国から皇妃を迎えるという話が出ていたから。
サメイラを急かすが、どうしてもしっぽを出さないらしく統括者からの言質もしくは確証を得られなかったそうだ。
とうとう間に合わず、シェヘレザード様が皇妃となってしまう。
隣国からも騎士を連れてきたため、シェヘレザード様の懐に入るのはかなり困難であった。
しかも、あろうことか父である皇帝は皇妃を気に入ってしまったのだった。
皇妃に会いに行く回数が増え、すぐに懐妊がわかった。
サメイラに命じて不妊の薬を飲ませていたはずなのに。
母は裏切られていた。
利用していた飼い犬に。
そして気づいた。
サメイラは統括者の確証を得ており、庇っていると。
サメイラを拷問にかけようも、サメイラは口を割らなかった。
だからこそ、彼女に執心していたケルビム=ソーマをそそのかし、彼女を襲わせた。
それでも口を割らないサメイラに、皇后の焦りは頂点に達していた。
何せ、重臣たちはシェヘレザード様に傾き、何より生まれたの子供は、夫にそっくりの男の子だったから。
次兄は皇帝のお気に入りとなった。
表向きはエリスの子であるティオリアを寵愛したが、一番気にかけていたのは次兄であった。
本来、皇帝はエリスの魅了魔法が聞いてエリスの言いなりになっていはずが、少しずつ歯車が狂っていった。
母は一刻も早く妊娠したかったが、長年避妊薬を飲まされた皇帝は不妊気味になっていると、治癒術師から言われた。
母は口封じにその治癒術師を殺害したそうだ。
そして、前皇后の愛人に目を付けた。
アサを地下牢で幽閉していたため、彼に取引を持ちかけたそうだ。
そうして、母は私を産んだ。
母はシェヘレザード様に傾きつつある臣下たちを粛清するために、どうしても情報暗部の情報力が欲しかった。
サメイラから何とか情報を聞き出そうと、監禁していた場所へと赴くと、そこはもぬけの殻であった。
サメイラは姿を消した後だったのだ。
そこから、母は何もかもがうまくいかなくなる。
アサを子供の父に選んだのは、アサの母が前皇帝の妹だったから。髪の色も瞳の色も帝国の血を引いていたアサは、前皇后にも母にとっても都合のいい男妾であった。
アサは自身の息子のことを気にかけ、帝国を出て行かなかった。
母は当時貴族たちの大半をまとめていたソーマ家に目を付けていた。
ソーマ家を操るためにサメイラを近づけさせていたが、サメイラが裏切ったことで、後継者だったケルビムとの間に亀裂が入った。
当時ケルビムの婚約者となっていたジェマイアは母に抗議をしにきたが、サメイラを最終的に廃棄するということで、ジェマイアも母に協力することになっていた。
しかし、サメイラが生きている限り婚約者のケルビムは彼女の元に通うと思ったジェマイアは、サメイラを攻撃することを決めた。彼女の周囲に自分の息のかかった人間を配置するため、無関係の人間を当てる。
いうことを聞かせるために、薬漬けにしたり、誘拐して人質として他人を動かしたりなど、許されないことをしていた。
私は事実を知るにつれ変わっていった。
事実を知っていき、実の父が会いに来た。
父の話を聞いてより自分の血を嫌悪した。
母の妄執。
母の執着。
母の愛欲。
自分のことしか考えない母。
帝国の皇后なのに、帝国のことなど何も考えていない。
それは、皇妃も側室のエリスも同様。
長兄もそう。
次兄は何を考えているかわからない。
皇帝である父は憑き物が落ちたように最近は政務に励んでいるが、結局自分の妻たちを抑えることなどできていなかった。
そのせいで、罪のない多くの人の人生がおかしくなった。
こんな国なくていい。
消えてなくなれば良いのだ。
ルアンが姿を消す前、世界的に魔獣の増殖している話をしていた。
独自でも調べてみたが、実際各国で魔獣の被害が増えていた。
微々たるもので各国ともそこまで重要視していないが、世界的に見れば、爆発的であった。
私は考えた。
国など無くなってしまえばいい。
けれど、罪なき帝国民を死なせるのは本意ではない。
ではどうするか。
帝国をなくす。
つまり、皇族や貴族を消す。
そうなると、革命するしかない。
でも誰が革命を起こす?
私は、もう疲れてしまった。
期待することも、立ち上がることも、戦うことも。
そんな時アサから衝撃の事実を聞いた。