女子との買い物
昨日の和泉の言葉は少しだけ冗談かと思っていたが、本当に行くつもりだったらしく、僕は今図書館の前で和泉を待っていた。
人を待たせるのは良くない、そう教えられてきたので待ち合わせの5分前には着いておいた。
……正直何が必要、どこに行くのかすら教えてもらっていないのでお金しか持ってきていないが大丈夫だろうか?
「あ、おまたせ~。」
僕は見ていたスマホから目を上げて彼女の方を見た。
和泉はフードがついている白の半袖の服だった。袖が少し長いのか萌え袖のようになっている。
僕は少し見とれていた。……可愛いと思った。
「え、と。な、なにか変……かな?」
「あ、ごめん!少し雰囲気が違うと思って……そ、その、か、可愛いなと思いまして……」
すると彼女は少しだけ頬を赤らめた。
「大丈夫か?顔赤いけど……」
「だ、だ、大丈夫っ!」
ならいいけど、と僕は言って
「じゃあ、行こっか。」
僕は彼女とショッピングモールに来てすぐに本屋さんに行った。
二人ともアニメが好きなのですぐにラノベ売り場に直行した。
小1時間ほど見て、目当ても本があったので買って店を出た。
「いや〜良かった〜ほしい本あった〜。」
「このアニメ面白かったよな。」
「そーそー、作画が神だった!」
ぼくたちはそんな話をしながら、
「次はどこに行く?」
「実は行きたいところがあるんだー。」
彼女は嬉しそうに言った。
「どこ?」
彼女は少しだけ恥ずかしそうに言った。
「げ、ゲームセンター……」
「いいよ。」
「え!?ほんと!?」
彼女はびっくりしていた。
「行きたいところには行ったほうがいいぞ。」
「なんで?」
「どうしてもだ。」
……自然とぶっきらぼうな言い方になってしまった。
……でも、これは……僕とあいつの……
1年前に死んだあいつとの最後の約束だから………
「………大丈夫……?」
「何が?」
「だって……怖い顔してるよ……?」
僕は自然と顔がこわばっていたようだ。
「大丈夫だよ。さ、行こ。」
僕はあのことを伝えないままゲームセンターに行った。
ゲームセンターで何をするのかわからなかったが、どうやら音ゲーがしたいらしい。
彼女がしたがっているゲームは知らなかったので僕はクレーンゲームをしていた。
割とクレーンゲームは得意なので2回で取れた。
僕が取ったのはアニメの竜のキャラクターだった。
それを持って彼女のもとへ行った。
……なんか……すごかった。手が見えないくらい速かった。
「取ってきたぞ。」
彼女はビクッと音がするんじゃないかってくらい体を震わせてこちらを見てきた。
「え、すご……井本ってクレーンゲーム上手いの?」
「いや、たまにしかしないしそんなに上手くない。」
……まぁ親に連れられてゲーセンに来ることが多かったからだろうけど……
てか……これ首にかけれそうだな……
何故か僕はそう思って彼女の首にかけてみた。
……いきなりこんなことすればどうなるかくらい予想できるよね。
「うわっ!?」
……まぁ簡単に言えばめちゃくちゃビックリしてた。軽く店員さんから注意を受けるくらいには。
……それから帰るときまで腕をボコスカ叩かれた。
朝待ち合わせたところに戻ってきていた。
「楽しかった〜、今日はありがとね。」
「いや、僕も楽しかった。」
「……ねぇ、また誘ってもいい?」
正直今日はとても楽しかったし、僕ももう一度遊びたいとも思っていた。
だから……
「もちろん、これからもよろしく。」
「うん!」
こうして今日は彼女とは別れた。
言ってなかったんですけどこれは僕の実話です。
本当にあった僕の中学生活のことです。