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東方救嬢期 〜男の娘の幻想入り〜  作者: ASADE
第一章 幻想郷巡り。……にしたいです。(作者の願望)
39/50

第34話 迦具夜姫

早起きは三文の徳ですよみなさん!

まぁ私は今日の朝タンスの角に小指ぶつけて熱湯を手のひらの上に浴びて便座にすっぽりハマっちゃったんですけどね。

これじゃあ三文の業ですね! HAHA!

……あれ、これで合ってる?

……疲れてるのかな……私……。

 いつからだろうか。裏切るということに対して、憎悪にも近い不快感を感じるようになったのは。

 自分のする何もかもに対して、大なり小なり嫌悪感を抱くようになったのは、いつからだろうか。

 それが僕にはわからない。わかりたくない。

 そして、だからこそ僕は……“私”は、弱い。

 過去を振り返らないということは、自分が強く在るための行動じゃない。

 過去を振り返らないということは、自分が、弱く在らないための行動だから。

 ……どちらが強かったのかを考えないことも、それの、1つの要素でしかない。

 そして、()()()なのだろう、

 裏切りが嫌いになったのは。

 だからなのだろう、

 自分が嫌になったのは。

 だってそうしたら、私はそれを考えて、思いを馳せることになるだろうから。

 だってそうしたら、自分が、今よりももっとずっと弱くなってしまうだろうから。

 だから“僕”は……昔が嫌いだ。

 不甲斐ない過去に思いを巡らせ、どんどんと醜くなっていく。

 弱い自分が、大っ嫌いだ。

 そしてそれを発散するかのようにして周りに当たり散らす……そんな自分が、消えればいいと思ってる。

 ……“私”は、いつまで経っても変われない。

 “僕”は、いつまで経っても治らない。

 だってそれを、今という状況が証明しているのだから。

 理解はしているんだ。それだから、ずっと弱くて、醜い自分でいるんだ。

 ……だってもう、僕はこれ以上、堕ちたくなんてないから。

 堕ちないのならばなんでもいい。

 ……なんでも、いいのだ。



 脳裏に浮かぶは、寂寥を背負う白鳥の背中。

 瞼に映るは、開き見つめる黒いユリ。

 ……盲目になるには、十分すぎる者たちだ。

 …………

 僕は、最善の行動をできていたのだろうか?

 まぁ、こんなことを考えてるってだけで、お察しなのだけれど。

 認めなければならない。……でも、何故か———

 ———腹立たしさが、治らない。

 そんな考えの中、僕の中にぽつりと、後悔が浮かんだ。

 ……もう、幕引きだ。






 ……






 ……





 ……






 ……なぜだか、一向に痛みも、落ちる感覚もやってこない。そう考えると同時にどこかからの風で髪が揺れて、思わず閉じた瞼を起こした。

 ……すると何故か、彼女と僕の間で、大きな距離ができていた。

 詰められて、もう終わるのだと思っていたのに。

 もう諦めろと、自分に言い聞かせていたのに。


「なんで……」


 僕は、それを成した犯人であろう人に向けて、言葉をぶつける。


「なんで……こんなことをしたんですか……!!」


 心いっぱいの、苛立ちを乗せて。


「永琳さん!!!!」


 永琳さんが姫様に攻撃した。

 これは、立派な……裏切りだ。


「あなたが言ったことでしょう? 私に、姫様と敵対をしろと」

「っ! ……それは……!」

「……それに」


 永琳さんは小さくそう前置きをして、続ける。


「……あなたは、救ってくれるのでしょう?」

「……ハッ……?」

「私のことを。……私たちのことを」


 一瞬思考が停止する。

 この人は、今を見てなお……何を言っているんだ?こんな絶望的な状況で、何も言っているんだ?もう、どうしようもないこの状況で。

 ……でも。

 だけど。


「救う」


 救う。

 ……その言葉が、僕の心のストッパーになっていることだけは、確かだった。


「あなたが言ったのよ。……あなたが言ったから、私は動こうと思えた」


 永琳さんは続けるようにして、そして再確認をするようにして、告げる。


「姫様は……“カグヤ”は、あなたの言っていた通り何者かに操られている」


 カグヤ? それが……あの人、姫様の名前なのか?

 カグヤ、という名前に……さっきのスペルカード。そして、永琳さんの姫様という呼び方……まさか。

 ……あぁ、そうだ。ここから考えられることは、1つしかない。


「……竹取、物語」


 もし本当にそうなのだとしたらあのスペルカードは、物語に出てくる5つの難題の1つ、大伴御行に課した『龍の頸の珠』のことを指しているのではないか?

 今回の異変は月に関する異変だ。あの物語でも月に関する話が上がっている。というより、迦具夜姫は最終的に月に帰ったのだ。物語でもそれが直前に迫ってもなお、迦具夜姫は帰るのを渋っていた。

 ならば今回も、それが原因なのではないだろうか?

 もしも姫様も物語の迦具夜姫と同じように、月に帰ることを渋っていたのだとしたら。

 だったら、どういう原理かはわからないが、月をもう1つ出すことで、月側からこちらの位置がわからなくなるから……なんてことなのだとしたら、全ての辻褄が合う。

 月側から見つからなくなるのだ。相手側からのアクションがないとわかれば、もうこちらは何もする必要はない。

 竹取物語でもそうだ。迦具夜姫からは何もしていないのにも関わらず場所を特定された。

 ……多分、間違いはないはずだ。

 それに、5つの難題の1つだけがスペルカードになっている、なんてことはないだろう。……あるとしたら、全部だ。ということは、少なくとも後4つはあるということ。

 はっきり言って、さっきよりも今の方が、敗北の色は濃くなっている。いや、それを感じさせられていると言った方がが正しいだろうか。

 ……だけど。


「……そんなことを聞かされては、やり切らないわけにはいきませんね」

「……感謝するわ」


 そんな会話を挟みつつ、僕たちは背中合わせとなり、同じ一点に視線を向ける。

 ……その時のことだった。

 姫様が、芝居を打ち始めたのは。

 

「あぁ……永琳。あなたも私を裏切ってしまうのね……」


 そう聞こえたと同時に、永琳さんの体がピクりと振動をした。

 息が荒くなっており、視線が定まらないようだった。


「あなただけは、心からの信用を向けていたのに……」

「……!」


 次の瞬間、永琳さんの動きは、完全に静止をする。


「私はずっと辛かった。永遠にも近い命で辛くないわけがなかった。……それを支えてくれていたのは、あなただと言うのに。……あぁ!どうして……なんで!!」


 ……迫真の演技だな、と。思わず毒を吐きたくなった。

 だけどそれでも、永琳さんへのダメージは尋常では無いらしい。……まぁ、当然だろうが。

 ……

 ……あぁ……ダメだな、本当に。気持ちの制御が出来なくなってきてる。

 

「私の従者があなたで良かったと、そう思っていたのに!!」


 永琳さんが息を呑んだ。

 呼吸が止まり、体は震え、瞳には翳りを落とした。

 ……まずい。そう、直感的に感じ取った。

 僕はそれに従って、咄嗟にナイフに霊力を流し込み、それを薙いだ。そしてそれは飛ぶ斬撃として飛影していき、あの人の言葉を止めた。

 続け様に、僕は思わず言葉を並べる。


「……静かにしてください」

「!!」

「姫様、あなたの言うことなんて今はどうでもいい。……永琳さん、あの人の口車に乗ってはいけませんよ」


 できる限り冷静に、そして力強く。諭すように、励ますように。


「……えぇ、わかってるわ」

「いいえ、あなたはわかっていません。……絶対に」

「……」


 永琳さんは僕の言葉に沈黙を返した。この意味は……言わずもがなであろう。


「あの人は、あの人であってあの人じゃない。あなたが言っていたじゃないですか。あなたが1番、わかっていたじゃないですか」


 永琳さんを叱咤するべく、僕は言葉を並べる。

 ……永琳さんが、僕にしてくれたように。


「目的は、いつも最後です。

 たとえ唐突に道が失せてしまっても、目的(到着点)は同じです。……だから、どんな形でもいい。どんなにその道が蛇行していたって、どれほどその道が過酷だって、そんなの関係無い。

 そこに歩み寄ろうと、駆け寄ろうとするだけで……絶対にそれには、近づいているんですから」


 そしてと、僕はそう前置きをして、同じように続ける。


「今の僕たちの目的は、姫様を取り戻すこと。……そして後々の目的になるであろう、姫様が月に連れ去られることを阻止すること」

「———!? あ、あなた、いつそれを!?」


 ……憶測でしかなかったが、当たっていたらしい。

 まぁそれを考えるのは、後でもいい。


「それにあの人は……永琳さんで良かったなんて、つゆほども思っていない」

「……え?」

「……ふふ、ふふふふ……あはははははは!! 

 面白いわ……本当に面白いわ、あなた。……やっぱり、殺すには惜しいわね」

「ど……どういう、こと?」


 永琳さんの表情に、絶望の色が滲む。

 だから僕は、その言葉を並べ続ける。


「何度も言ったじゃないですか。……自分で、言っていたじゃないですか。ならば永琳さん、逆に問います。

 ……“あなたが知っている”姫様は、あんなことを言うんですか?」


 今度はその表情が驚きの色に変わる。

 そしてその瞬間、姫様の表情は、醜悪に塗れた微笑みへと変わった。


「……!! ……いいえ……例え暇つぶしといえど、絶対にそんなことは言わない」

「なら……あなたが知っている姫様を信じなくて、どうするんですか」


 永琳さんにその言葉をぶつけると、彼女は俯き、自分の手に視線を落とした。

 ……あとは、彼女次第だ。


「そうよ、姫様は……迦具夜は、そんなことを言う人じゃない」


 微かにそんな声が聞こえた。その後もぶつぶつ何かを言っているようだったが、ここからでは聞き取れなかった。

 そんな彼女を見て、僕は1人、一重に、一縷に。

 乗り越えてくれることを、願った。



 ———残り時間 後 2分———

これ書くまでずっと竹取物語も輝夜姫だと想ってました。あっちだと迦具夜姫って書くんだね。

というわけでどうも皆さんこんにちわ! なぜか胸騒ぎと焦燥の念が治らないASADEです!

ついでに七夕? 何それ美味しいの?? とも思ってます。暑すぎてにゃにもできにゃいんじゃじぇ〜……

もうひとつの小説の方もちょくちょく書いてはいるんですが……如何せん話がまとまらない……まぁ多分そのうち次の話出します。……もうすでに半年以上経ってるけど……

あと多分近々またこっちも更新します。

書き溜めまだ残ってるんですよ! ふふん!

まぁくださらないことはさておいて、今回はこの辺で。

それではみなさん、サラダバー!

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