第33話 なすすべのない攻防
このペースの投稿だと一年に12本くらい投稿になるんですかね?
ハハ、草{白目)
雫が滴るような、研ぎ澄まされたような膠着状態の後。
僕らは、同時に動き出した。
あの人はスペルカードを持ち、僕らは互いに互いを弾いていた。すると僕らは、スペルカードが発動される前に姫様を挟む対角線上に移動をする。
「スペルカード発動。難題『龍の頸の玉 -五色の弾丸-』」
そう宣言されたその瞬間、あの人を中心として、円状に薄い弾幕の幕が張られた。
続け様にウェーブを描くように左から右へ、右から左へと色とりどりなレーザーが交差しながら射出され、そのレーザーが出現した場所から、花が開くように弾幕が撒かれた。
これをただ単純に避け切ることは難しいと思った。……上手く使えるかどうかはわからないが、早速これの出番のようだ。
そんなことを考えながら、目前に迫る弾幕めがけて、ひいてはその核を狙って。
僕は、それを振り下ろした。
瞬間、それは真っ2つに割れてそれぞれの軌道を辿り、爆発した。……そして、気づく。
そのナイフに、微かに魔力が纏っていることに。
これは……先ほどの、弾幕の魔力だ。
僕はその考えに至った瞬間、反射的に、そのナイフを薙いでいた。
次の瞬間、その魔力は、飛ぶ斬撃へと姿を変える。
その斬撃は途轍もないスピードで飛影していき、一瞬反応の遅れた姫様の服の裾を、小さく裂いた。
その光景に、僕は思わず目を落とす。そのナイフは、微かな光を跳ねていた。
……これは、こんなことができるのか。
かろうじて、そう思考をした。
「っ……!」
ハッとして、気づいた時には既に目前に弾幕が迫っていた。
体をよじって、何とかそれを交わそうとする。……が、そのかい虚しく、その弾幕は頬をかすり、鮮血を飛ばした。
そうだ、まだ、スペルカードは終わっていないのだ。別のことに思考を割く暇はないし、よそ見をするなんて以ての外だ。集中しなければならない。
……そうしなければ、僕は、殺られてしまうから。
そんなことを考えて警戒を強めながらも、僅かに思考を回し続ける。
……これは、外的要因でしかあれは起こらないのだろうか? ふと、そんな考えが頭をよぎった。
弾幕に当てて魔力を纏わせるのではなく、魔力……基霊力を流して纏わせる。そんなことはできるのだろうか?
それができたとして、もし流し込む場所を制限できたのなら……
「霊夢さんっ!!」
力一杯声を張ると、霊夢さんは僕に……ではなく、僕の持っているナイフに視線を向けた。
「やってください!! これで……決着をつけます!!」
「……! ……信用するわよ、藍奈!」
霊夢さんはそういうと、懐から一枚のスペルカードを取り出した。
……だが、その刹那。
「……つまらないわ」
姫様が、そう言葉をこぼした。
そしてそれが耳に届いた時にはもう、姫様の姿は消えていて。
「カハッ……!?」
そんな声が聞こえた。反射的に、その声の方向に視線を飛ばす。
「……え?」
……そこには、鳩尾に拳を入れられている霊夢さんの姿があった。
思わず動きを止めて、瞠目をする。
見えなかった。それに、霊夢さんがなす術もないなんて……そんな考えが頭をよぎる。
……そしてその隙を、姫様が見逃すはずがなく。
気づいた時にはもう……僕の鳩尾には、深く、深く。彼女の拳が、突き刺さっていたのであった。
耐えきれなくなって、口から唾を飛ばしてしまう。
頭で何も考えられなくなって、反射的にナイフを薙いでいた。
だがその先にはもう、誰もいなくて。空振ったそれは、弱々しく宙を泳いだ。
瞬間、強すぎる鈍痛が襲ってきて、グラりと視界が歪む。
歯を食いしばりそこを抑えて、意味もなく唸る。……唸ってしまう。
咳が出て、無意識に添えた手を見てみるとそこには、微かな赤が混じっていた。
その時の僕は、もう勝てないかもしれない。なんて、そんなことを考えていた。
「……落ちていないのね」
彼女の声が響き渡る。彼女は、視界の隅で笑っていた。
ゆっくりと顔をあげ、彼女に視線を合わせる。
悠々とした微笑みを浮かべ、服の裾で小さく口を覆っている彼女が、そこにはいた。
「撤回するわ」
いきなり、そんなことを言われた。
「……何を……ですか?」
「さっきの言葉を、よ」
さっきの……あぁ。つまらないと、そういえば言っていたな。
「あなたは強い。……そして、面白いわ」
先ほどまで微笑みとは一線を画した、深く、それでいて妖艶な笑顔を浮かべながら、彼女はゆっくりとした口調でそう言った。
「……僕は、そんな風に言われるような者ではありません」
「それは、どうして?」
「そんなの決まってるじゃないですか。……僕が、弱いからですよ」
「へぇ……そうなの」
彼女は、くすくすとした笑い声を上げる。そしてだんだんとそれは大きくなっていき、次第にお腹を抱えた。
「いい……気に入ったわ、あなた」
「……? あ、ありがとうございます……??」
「ふふ……ふふふ……♪」
楽しそうに笑う姿を見て、頭がバグり始めた。
しかもなんでお礼言ったんだろう?
ちょっと何やってるかわかりませんね。
「ねぇ、あなた」
そういう彼女の雰囲気は、少しだけ変わっているように思えた。
そして、真剣な眼差しを僕に向けながら、続ける。
……その、予想だにしない言葉を。
「私たちにつかない?」
「……はっ……?」
一瞬思考が停止する。
彼女は、今……なんて言った?
私たちに……つかないか……??
「あなたは面白いわ。そして強い。……あなたとなら、私の、私たちの“目的”を遂行できるかもしれない」
「それは……僕に、寝返れと言っているのですか?」
絞り出した言葉は、たったそれだけだった。
そしてそんな言葉に、彼女は。
「えぇ、そう言っているのよ」
そう、断言をした。
頭の中で“何か”がちらつき、息が切れる。
なぜ、なのだろうか。これは先ほど、僕が永琳さんに言ったこととさして違いはない。
なのに……なぜ僕は、こんなにも憤りを覚えているのだろうか?
言葉は選んだ。希望的観測からもしかしたら、なんて甘い考えを持って永琳さんに向けそれをぶつけていた。明確に違いはあるものの、遠い目で見ればやはり違いはない。
だから、僕は同類のはずなのだ。……いや、もっと酷いかもしれない。
なのに、何故……あ。
そうか……そうだ、これは……
「どうする? あなたは」
……僕が———
「……お断り、いたします」
「……そう、残念だわ」
———子供だからだ。
そして、次の瞬間。
……風切音が、響いたのだった———。
———残り時間 後 3分———
どうも皆さんこんにちは!
やっとこさ生活が落ち着いてきたASADEです!
ちょいちょい書き溜めしてたんですけどあと1話くらいしかできてないんですよね……
まぁちゃんとやりたいっていう思いが具現化したとでも思えば……まだ……
それにしてもおそない? びっくりするんだけど。
自分のことだけど。
これからはもうちょっと投稿ペース早めたい(n回目
もう思いつかなくなったので今回はこの辺で。
それではみなさん、サラダバー!
ってか投稿時間またバグってない?




