第31話 鳥籠とマリーゴールド
色々詰め込みすぎて何が何だかわかんなくなってきちゃったぜ⭐︎
……
1ヶ月経ってないから……セーフ?
僕が最初に手にしたスペルカード……
癒し『譲痛無傷』。
このスペルカードは対象に弾幕を放ち、その対象が患うありとあらゆる怪我・病気・精神的苦痛を弾幕の中に封じ込め、それを他者に移す、と言うもの。
ただし、その弾幕は5分間そのままでいたら、元の持ち主に戻ってしまう、と言う制限があるらしい。
上乗せもできない。何と言えばいいのかわからないが……それを詰め込んだ後の弾幕に、更にそれを加えることができない……と言えばいいのだろうか。
それをしようとすれば、元の持ち主の場所に戻ってしまう。
そのものだけでは具象化できないものも、封じ込めることができる。
また、自分のものを他人に移す、ということもできる。
そして、2つ目に手にしたカード……
琰譌『契られたタガイの真』
まず初めに、このスペルカードは強力な分、驚くほどに難易度が高い。……基、使い勝手が悪い。
このスペルカードでは、“言霊”を用いる。
想いが強ければ強いほど、言霊にはそれ相応の力が宿ることになる。……だから、それを利用する。そんなものだ。
内容としては、使用すると同時に言霊が1つ設定され、それを相手が口にした時に効果があらわれる、というもの。
言うなれば、NGワードだ。
だが、その言霊は僕にはわからない。使ったと同時に頭の中に浮かんでくる、なんてご都合主義すぎることは、流石に起こり得なかった。
自分の力が制御できない。そう考えると、思わず嗤ってしまいそうだ。
……だけどもう、概ねの見当は、僕の中ではついていた。
多分それは、相手の願いや本音なのだと思う。
自分にすら覆い隠されて見えなくなった本音。
自ら蓋をして見えなくした、奥底に眠る心からの願い。
それが、必要な言霊なのだと思う。
更にこのスペルカードでは、宣言をする前に下準備を要する。具体的には、辺りに薄い霊力の膜を張り巡らせておかなければならない。
『言霊の道』を作っておかなければならないのだ。
正直ここが先ほどのものに比べても難易度が阿呆みたいに高い。
その霊力が濃すぎてしまえば相手にバレやすくなるのに加えて、言霊の力が伝わりづらくなる。結果、威力が弱くなる。
逆に薄すぎてしまえば言霊が漏れて、これもまた威力が弱くなってしまう。
弾幕ごっこ初心者の僕にとって、高難易度以外の何者でもないのである。
だがその分、そのNGワードが発せられた時が、このスペルカードの真価だ。
それが発せられると同時に霊力の道が次々と破裂し、多種多様な宝石の形を模った弾幕はと変化する。
破裂し終えると、その模られた弾幕が今度は細長く鋭い弾幕(名前忘れた)に変化し、対象を囲う。最後に僕が合図を出せば、それは対象へと一直線に向かうというものになっている。
加えて何本かは追尾機能がある為、一度避けられたとしてもさして問題はないし、ついでに僕が操作できるものも混じっている。
……まぁ僕の語彙力ではこれが限界な為、要約すると……弾幕ごっこに慣れれば慣れるだけ、強くなる。僕は面dゲフンゲフン……難しく感じたため、そう解釈をした。
また、このスペルカードには弱点もある。
それは、あまりにも強く“拒絶”をされると効果が現れなくなる、というものだ。
言い換えれば、たとえ深層心理で願っていたとしても、上辺で強すぎる拒絶をされれば、口に出されたとしても、それは願いとして伝わらなくなってしまうということ。
……
とりあえず、だから、不発に終わってしまうのだ。
他にもまだ何かあるのかもしれないいが、今わかっていることは、これが全てだ。
そして、もう一つ。紅魔館での騒動が終わってから、初めて自作したスペルカードが一枚だけある。
……だけどそれは、今じゃなくてもいいだろう。
だってそれは、この戦いでは使わないし、まだ未完成だ。……スペルカードって作るのってこんなに難しいんだね……。
最後に4枚目。この正体不明、出所不明のスペルカード。……まぁ、他のもそうなのだけれど。
使い方はわかった。
それが何故か、使い慣れた武具のように、触れた瞬間から……言って仕舞えば。直感的に理解ができた。
だけど、それ以上のことがわからなかった。
どんな攻撃なのかも、どの程度の範囲なのかも、どの程度の威力なのかも。全然全くわからない。
だけど、何故か。触れると同時に、わかったと同時に。……僕は、確信をした。
あの人を、退けることができると。
次の瞬間、1つの細長く鋭利な弾幕が放たれる。
なんだっけこういう弾幕の名前……えーっと……霊夢さんが説明してくれたやつの中にあった気がするんだよなぁ……
……あ、思い出したレーザーだこれ。なんかすごいシンプルな名前だなぁって思ってたんだよね。
そんなことを考えながら、僕はするりとそれを避け、言葉を投げる。
「今更その程度でやられると思ってるんですか?」
「いいえ、そんなこと思ってないわ。……ただの八つ当たりよ」
「八つ当たり、なんて。そんなチャチなことする人でもないでしょうに」
「私は永遠の18歳(笑)だもの。……それに、今のでスッキリできたわ」
「かっこの中までいわなくてもいいと思うんですけど……」
めちゃめちゃ若く見えるし(笑)いらないと思うけどなぁ……強いていうなら、大人っぽい、かな?
そう考えると確かに18歳には見えないなぁ。
目測22歳くらい?
……あれ、これもしかしなくても失礼?
「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない」
「……あらま、声に出てましたかね?」
「えぇ、それはもう。ばっちりと」
……ちょっと恥ずかしい……。
えっと……とりあえず
「すみませんでした」
ぺこりと頭を小さく下げる。
「ふふ、謝らなくてもいいわよ。嬉しかったもの」
あら可愛い笑顔。
そんな、本当に戦闘中なのか怪しくなってくるような会話を交わしながら、僕たちは攻撃の準備を整えていく。
永琳さんは輝く弓を手放し消失させて、一枚のスペルカードを取り出した。
それに対して僕は、あの“構え”を想起する。
……まぁ実のところ、これは霊力が伝えやすくなればなんでもいいのだけど。一番最初に浮かんだのがこれってだけである。
そんな、瞬時に緊迫した空気へと変化した中、永琳さんが口を開いた。
「……ねぇ、どうせ次の攻撃で決着がつくのだから、お互い言いたいことを一つだけ言い合ってみない?」
「いきなり、どういう風の吹き回しで?」
思わず、そんな言葉を返してしまう。
「ただの思いつきよ」
……思いつき……ねぇ……
「……」
「……この言葉に、他意はないわ。ただ単に知りたいと思っただけ。……あなたが、どんなことを考えて戦っているのかを」
嘘を言っているようには見えなかった。……だがやはり、どうしても勘繰ってしまう。
……まぁ、特に支障はない、か。
「……まぁ、はい。そうしましょうか」
……ちょっと頭が混乱してきた気がするぞー?
これほんとに戦闘中なの?
……
まぁいいや。……時間が経てば経つほど、“こちらが有利にもなる”。
「それじゃあ、先に私から」
そう前置きをされ、続けられた言葉に。
僕は思わず、身震いをした。
「たかが数十年生きただけの小娘が。……あまり、ものを語るんじゃないわよ」
……重い、重すぎる言葉だった。
まるで、さっきまでの会話が嘘だったかのように思えてしまうほどに。条件反射で防御の姿勢をしてしまうほどに。
だが今は、そんなことなどどうでもいい。……僕も、向けたい言葉があったから。
だから僕は、その震えを押し殺して。できる限りにはっきりと、力を込めて、言葉を紡いだ。
「自分の願いを曲げてまで。成そうとすることに……諦めることに。意味は、ないと思いますよ?」
……あぁ……そうだ。そうなんだ。
意味はないんだ。少なくとも今のこの、絶望的とも言える状況には。全くの意味を持たないのだ。
理由はわからない。だが確実に、永琳さんは、敗北することを望んでいる。だけど次の攻撃で、どの程度の力を出してくるのかは見当もつかない。
……流石に揺さぶりすぎただろうか……全力一歩手前ぐらい出されたらやばいなぁ……
まぁ多分だいじょぶだいじゃぶ(適当)
弾幕なんて強ければ強いだけいいですからね。……なんかこういうネタあった気がする。
なんだっけ?なんかミから始まってイで終わる6文字のお笑い芸人だったような……っておっと。これ以上はいけない。
「「……」」
沈黙が走る。
……数秒、もしくは数十秒。その末、僕らは咆哮をする。
「「スペルカード発動!!」」
遠くから、交戦をする音が響いていた。
激しいことがここからでもよく伝わってくる。
……こんな時に、なんでこんなことを考えているのかと。どこかの自分が、思った気がした。
「籠絡『罰鳥の鳥籠』!!」
「『天網蜘網捕蝶の法』!!」
瞬間、ありとあらゆる方向から、線が浮かぶ。
これはそう、レーザーだ。
そう結論づけると同時に身を捻り、その線……予測線上から外れた。
だがその先で、目前に弾幕が迫る。見ればそれは、永琳さん本人から放たれていた。
あぁ……そうか、これはそういうスペルカードか。それにレーザーも、本人からそう遠くないと所から出されている。……なんて、好都合なのだろうか。
そこはかとなく掴めたので、僕は予測戦場から外れる時に、敢えて行きずらいところに避けるのを意識した。
すると案の定、通常弾の脅威が減った。小さく、安堵の念が広がる。
そこで僕は、横目で永琳さんの方向に……否、永琳さんの“奥”に視線をやった。
……するとそこには、一様にしてレーザーが貯められ続けていた。一本一本のレーザーが1条の槍の形を形成するようにして、その場にとどまっていた。
どうか気づかないでくれと願いつつ、僕は弾幕を避け続ける。
佳境に差し掛かるようにして、その瞬間、弾幕の速度と威力が上がる。思わず、笑みが溢れた。
「……っ!」
永琳さんが、背後に振り向いた。
ほぼ完成形になったところで、それにようやく気がついたのだ。
トップスピードらしき速さで、永琳さんはそれから逃れようとする。その間の僕に向けられる弾幕に、変わりはなかった。このスペルカードにはそれも含められるのだなと、そう考えた。
……だが、もう遅い。
それは突如として一様に収束をし、弾けた。
……そう、これは時限爆弾だ。レーザーが溜まり続け、形を形成し、数が満たされたら弾け飛ぶ。そういうスペルカードだ。
そしてこれは、それだけじゃない。
弾け飛んだレーザーは四方八方へと飛んでいき、花火のように高度を落としていく。それを見て、僕は次の瞬間、腕を薙いだ。
するとそのレーザーは、永琳さんへと軌道を変えた。だがそれは、少しだけずれている。
再度レーザーが放たれてから、今度は永琳さんを囲うようにして、それは中空に留まった。
……そのレーザーは、あるものを模っていた。
あっけに取られたようにして一瞬動きが鈍った永琳さんが、次の瞬間には上昇を始めていた。
そうだ、まだ上には、穴がある。人1人は容易く抜けられるほどの大きさがある、大きな穴が。
だから僕は、永琳さんの警戒を掻い潜り続け、やっとの思いで作り出した、一本のレーザーを手に持った。
これが、有利になると言った意味。
あの時間で僕は、このレーザーに霊力を込め続けていた。あの構えもこれのため。レーザーを使っていることを、悟らせないようにするためだった。多分ほぼ意味はないけれど。
そして、永琳さんの問い……勝てるのかどうかの返答の、その意味。……それは———
———僕が手を、下すことがないから。
槍投げの姿勢をとる。避けも隠れもしない、だからこそレーザーが体のいたるところを擦り、鮮血が舞った。
それでも僕は、それをおおきく振りかぶって。力一杯、あそこに目掛けて。
それを、放ったのだった。
そしてその次の瞬間。途轍もないスピードでそれはその穴へと突き進む。そうして、最後のピースが嵌められたそれは、眩く、怪しげな光を放つ。
思わず目を瞑りたくなるような光を、僕は静かに見届けた。
そしてそれは、完成をする。
「これは……!?」
永琳さんの、そんな驚嘆とも、驚愕ともおれる声が聞こえる。同時に、こちらに弾幕が来なくなった。
そうだ。
これはレーザーで模った、透き通るような天色をした。
……小さく狭い、“鳥籠”だ。
次の瞬間。
その鳥籠に、ゆっくりと。……マリーゴールドの、花が咲いた。
爆音が轟く。その鳥籠の中は、無数の光で埋め尽くされていた。
当然のことだった。……だって、この弾幕は———
「……僕の、勝ちです」
———弾幕を、跳ね返す弾幕なのだから。
その刹那。
一つの影が、垂直落下をした。
ほんとは(^^)こういう感じのやつの中のてへって感じののやつ入れたいところがあったんだけど見つからんかった。
というところでどうも皆さんこんにちは!もうとっくに1年のうちの1/4が終わったことに対して戦々恐々としてるASADEです!
新生活!皆さんいかがお過ごしですか?
私は死に物狂いでくらい付いてます。
いやまぁいつもこの時期はいつもより忙しいんですけどね。
私はちょっとずつ落ち着いてきたようなないような感じなのでこっちにもうちょいと力を入れたいですね。
皆さんもこれからも頑張ってください!
こんなところでみなさん、サラダバー!




