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東方救嬢期 〜男の娘の幻想入り〜  作者: ASADE
第一章 幻想郷巡り。……にしたいです。(作者の願望)
35/50

遅刻だよ! 東方救嬢期2周年記念!(閑話) ショートストーリー?短編集?日常話??の10連発!!

2周年ありがとうございます!!

大学生がレポートに遅刻しそうな時やるような手を取りました。後々完成形を上書きします。

……すみませんでした!!

色々は後書きで。

①猫と藍奈


 買い出しのために訪れた人里からの帰路。

 修行(笑)謙お散歩のため森の中を独り言を言いまくりながら進んでいく。

 尚、頭の中は空っぽである。


「やっぱり森はいいなぁ〜緑緑してて目に優しくて好きだなぁ〜でもたまに蔦とか足下にあるのはやめてほしいなぁ……あ、ほうれん草ちゃんと買ってたっけ」


 ガサゴソと唐突な思いつきから買い物袋を漁る。


「あちゃぁ……買い忘れちゃってるなぁ……ってあれ?なんで秋刀魚買ってるの?あれ?僕秋刀魚なんて買ってたっけ?あれ?あれあれ?」


 ちゃんと代金払ってるから心配になってきた……と、そんなことを考えていたその時、背後の草むらから音がした。

 反射的にそちらに振り向いて、警戒をする。


(やばいこの森妖怪も出るんだった忘れてたほとんどここ通る時は空からだし……って、あれ?)


 目を凝らして、その音がした方を見る。

 するとそこには、3匹の猫がいた。

 その体は傷つき細く、何も口にしていないということが目に見えるほどだった。

 1匹は真っ黒な毛と緑色の瞳、2匹目は茶色の毛と青色の瞳、そして3匹目は白色の毛と緑色と青色のオッドアイの瞳をしていた。

 僕は思わず息を呑んだ。

 流石に、弱りすぎている。そう思ったのだ。

 静かに一歩、二歩と後ずさっていき、近くの木の裏まで来ると同時にあの時……妹紅さんとの戦後の時と同じようにして、ガスコンロを創り出した。

 静かに点火し準備を整えて、秋刀魚を焼き始める。

 そこでやっと我に帰る。

 そうだ、こんなことをしてる場合じゃない。先に治療をしなければ。

 ずっと立ち上がり、ゆっくりと猫達に近づいていく。進みながら、治療道具を作った。


 治療は者の数分で終わり、焼けた秋刀魚を与えるとガツガツという効果音がつきそうなほどに勢いよく食べ始めた。


「ごめんねぇ、子猫さんたち。今はこれしか持ってないんだ。……あ、そうだ。水がなかったね」


 そういいながら、またあれを使いおわんを作り出して、念のため持ってきていた水を注ぐ。

 にゃあー、と鳴き声を上げながら、水をぺろぺろと飲んでいく。そんな姿を見て、僕は思わず頭を撫でていた。


「ふふ、そこまで焦らなくてもいいんだよ?」


 返事をするように、にゃあー、と鳴き声をまたあげる。


「ふふ、にゃあー、にゃあー♪」


 思わず嬉しくなって、鳴き声を真似てみる。


「ふふふふ、いいものが撮れました」


 ものすごい、小さな声。だけどそれは聞き覚えがあって、今1番聞きたくない人の声でもあって———


「……射命丸さん?」

「あやや……気づかれてしまいましたか」

「えっと……いつから、そこに……?」


 恐る恐る、僕はそんな問いを投げる。

 すると射命丸さんは胸を張って、こう言った。


「それはもちろん、最初からですよ!!」

「そ、それなら、その写真は……」

「我が新聞にのさせていただきます!! これなら爆売れ間違い無いですよ!! そうですねぇ、見出しは……『幻想郷の新たな癒術師(アイドル)爆誕⁉︎』とでもしましょうか! ……いや、もうちょっと変えようかな……」

「あ、あの、それっt」

「あ、そろそろ私はお暇しますね!!」

「え?いや、あn」

「それではまた今度、改めて取材させていただきますね〜!!!」

「ちょっとまってってはや!!??」


 もう姿見えないんだけど……


 後日。

 文々。新聞で藍奈が表紙を飾り、発行が間に合わないほどに爆売れしたという……。

 尚、RとSとその他の人物はダメージを受けて安らかな眠りについたということが小さく出回った。

 それと子猫さんたちはちゃんと動物病院に連れて行きましたよ!もうちょっと遅れてたら危なかったって!!

 ……よかった……。




②寺子屋の臨時教師

 僕は今、寺子屋の中の、誰もいない教室の教団ら辺にいます。というか立っています。

 こうなった経緯は、気分転換の散歩がてら人里に降りてきた時のこと。


 僕は上白沢さん……基慧音さんにある頼み事をされた。

 それは……1コマ?1限?1時間?……の間だけ算術の講師の代理をしてほしいとのことだった。

 僕はそれを恩返しも兼ねて即答で返事をして、詳しい内容を聞いた。……あの時のこと今思い出しても気持ち悪いと思えるからね……。

 それに教壇に立って教えてみたいとか思ったこともあったし。なんか格好良く無い?あれすごいすごいと思うんだよねぇ〜

 なんて訳のわからなくなっていくことを考えながら、僕は慧音さんから渡されたプリントに目を通していく。

 ……うん、年齢的にちょうどいいくらいの難易度になってる。……すごいなあの方。色んな意味で。

 

 と言った感じ。すごい気持ちが混じりまくっててわからないと思うけど、こんな感じ(ゴリ押し)


 そんなことを考えてい他その時、教室の扉がガラガラと開かれ、続々と生徒と思しき子どもたちが入ってきた。

 その子たちは異変に気づいたかの如く、僕をみるや否や、固まる。


「あ、昨日慧音先生が言っていた臨時教師って、藍奈さんのことだったんですね」


 1番前に座る子……基、大妖精ちゃんに声をかけられる。


「うん、そうだよ。今日1日だけだけど、よろしくね」


 小さく笑みを作りながらそういうと、一瞬、みんなの動きが止まる。

 と、いうか、5分前なのにもうみんな席についてる……すごいなぁ、5分前行動できて。

 僕も心がけてみようかな……っと、じゃなくて。

 慧音さんに褒める時は褒めろと言われていたことを思い出し、言葉におこす。

 照れている生徒もいれば、誇らしげに鼻を鳴らしている生徒もいる。多種多様である。


「……っと、自己紹介がまだだったね。……僕の名前は魅黒藍奈です。慧音さ……先生の代理としてきました。短い間だけど、よろしくお願いします」


 そう言い終えると、どこからともなく拍手が起こる。

 すごいなぁ……みんなちゃんとしてる。

 

「はいはいはーい!」

「? どうしたの? えっと、まもるくん。……で、あってるよね?」

「うん!」


 ふぅ……よかった。あってたね。……間違ってたらどうしようかと……


『しつもーん!』


 あ〜、よくあるやつだね。

 ……まって、そんなキラキラした目で見ないで。


「うーん……時間は、まだある。よし、それじゃあちょっとだけだけど、質問タイムにしよう。だけど、3人だけね」


 ブー、と、落胆の声が鳴る。


「ごめんねぇ。でも、僕も頼まれた身だから。……あ、でも休み時間とかなら全然答えられるよ。頼まれたのはこの時間だけだけど、言えば少し残れるかもしれないし。取り敢えず、まもるくんから」


 瞬時に戻ったざわめきを手で制しつつ、質問を促す。


「せんせーはカレシっているのー?」

「かれっ!?」


 思わず、そんな声をあげてしまう。

 一瞬混乱に陥ってしまいそうになったものの、なんとか体制(?)を立て直し、小さく咳払いをする。


「……いないよ。それに、みんな勘違いしてそうだからいうけど。僕、男の子だからね」


 一瞬の静寂。それは、耳をつんざくような、大きな声でかき消された。


『『『えぇえええーーー!!!!!????』』』


 それを聞いて、最初に浮かんだ言葉。


「いや、流石にオーバーリアクションすぎない??」


 おっと思わず口に……。


『それってほんとーー!?』

「う、ん。本当だよ」


 い、勢いがすごい……


『すげーー!!』

「す、すごい?」


 ……

 い、勢いがすごい……(再放送)


「えっと、どうして?」


 気になったので聞いてみた。


『だってだって! ……えっと、なんでだろう?』

「うーん……まぁ、取り敢えず進めよっか」

『うん!』


 それでいいのかまもるくんよ……まぁ僕が言ったんだけど。


「それじゃあ……そこの女の子。確か名前は……珠洲葉(すずは)ちゃん?」

「うん! えっとえっと、せんせいって、慧音せんせいとどうゆう関係なの?」

「うーん……そうだなぁ……」


 恩人、っていうのが正しいんだろうけど……なんか硬い気がするなぁ……


「……お友達、かなぁ」

『おともだち!』

『いいなぁ。僕もせんせーとおともだちになりたい!』

『おれも!』

『わたしも!』

「うん、そっかぁ。うん。ならなろう。お友達に」

『『『やったーーー!!!!』』』


 あ待って、かわいすぎてやばい……。


「ふふ、お友達が増えて嬉しいのはわかるけど、そろそろ進めるよ」

『『『はーい!!』』』

「えーっと、それじぁ最後h」

「はいはいはいはいはい!!!!!」

「……え、えーっと……はい、それじゃあ、チルノちゃん」


 勢いがすごいなぁ


「藍奈!あたいとたたかえ!!」

「ちょ、ちょっと、チルノちゃん!」

「う、うーん……それはは、ちょっと無理かなぁ……。僕弱いし」

「ということは……アタイがさいきょーってことだな!!」

「……う、うん」


 こういうときって、どう反応したらいいかわからないよね。

 

 そうこうして、授業は進んでいった。

 みんな授業真剣に受けててびっくり。みんな良い子だなぁ。チルノちゃんも、こういう時はちゃんとするんだなぁ。

 まぁ、ちゃんと受けてること周りの子たちに驚かれてたけど。

 ……今日は気分が良かったのかなぁ。


 後日、まぁまぁ好評だったようで、時々頼まれるようになりました。

 慧音さんからは藍奈先生はいつ来るの?と、みんなにいつも聞かれてる、と聞きました。

 ……

 何が良かったんだろうなぁ。嬉しいけど。


 


③甘味処でのお手伝い

 同日。僕は帰路を辿る……前に、ある場所へと向かっていた。

 言わずもがな(?)前にサービスをしてもらったあの甘味処に、である。

 なぜ今なのかというと、風の噂でこの前僕にサービスしてくれたあのお店の人が、ぎっくり腰で倒れたと耳にしたからだ。

 何か力になれればと思う。

 そんなことを考えながら進んでいき、甘味処が見えてきたと同時に、僕は思わず足を早めていた。

 感情が思考を先走り、無意識に体が動く。


「おじさん!」

「おや、これはこれは、藍奈くんじゃないか」


 僕がそう声をかけると、どこか翳りを落としたような微笑みを浮かべたおじさんが、僕へと振り向きそう言った。


「ぎっくり腰になったって聞いたんですけど……大丈夫なんですか?」

「あぁ、少しずつではあるけど、回復してきているよ」


 よかったと思った。安堵で、思わず息を吐く。


「でもやっぱり、あんまり動けない感じですか?」

「えぇ、まぁね。流石に歳も歳だからな」


 あはは、と渇いた笑いをこぼすおじさんを見て、思う。

 ……そんな歳食ってるように見えない……。


「何か手伝えることがあればなんでも言ってください」

「おやまぁ、いいのかい?」

「もちろんです。この前の恩返しとして、お手伝いがしたいんです」

「ありがたいねぇ……。それじゃあ、夕食を作ってもらえるかな? 今の体だと、仕事どころか飯を作るのにも苦労してねぇ……」

「はい!よろこんで!」


 そんな感じで家に上がらせてもらって、おじさんを居間まで付き添った後、僕は台所の前に立った。

 食材はなんでも使っていいと言われてはいるが、できるだけ抑えたい。


「ぎっくり腰ってことは……って、イワシ多くない?え?ザル1個分のイワシってどういうこと?え?」


 いや、まぁ、人のお家に口出すわけにもいかないし、確か腰痛に効くって話だから助かったけど……

 まぁ、いいや。

 そんなこんなで時間がたって、料理が完成した。

 それらを装って、居間へと足を向ける。

 腰痛の時は腰に負担をかけちゃダメって聞くから、それもしてもらおう。

 治ってきたとは言ってたけど、あの時もずっと辛そうだっし。

 閉められた障子を開いて、中へと入る。

 すると、座布団に楽そうな体制で座っているおじさんが目に入る。キセルを持ち、白い煙が漂っていた。


夕食(ゆうげ)が出来上がりましたので、お持ちしました」

「おや、早いね。ありがとう」


 そういって、おじさんは使っていたキセルをしまう。


「どういたしまして。その体制……まぁ座ってると大体そうなんですけど、腰に負担が入ってしまうので、夕食を食べ終えたらお布団で寝転がってください」

「あぁ、そうするよ」

「キツイのであれば、僕がお布団を御敷しますよ」

「……あぁ、できれば頼みたいねぇ」

「わかりました。えっと……お布団はあちらに?」


 こくりと頷くおじさんを見て、「わかりました。それじゃあ、夕食の後すぐに御敷きますね」と、そう言った。


「何から何まですまないねぇ。今度、博麗の巫女さんと一緒に食べに来るといい。サービスするよ」

「ふふ、それは楽しみですね♪」

「それにしても、君の作ったものはどれも美味しそうだね。誰かに教わったのかい?」

「……えぇ、はい」

「……うん、とても暖かい味だ」

「はい。僕の……自慢の料理です」


 それから、おじさんが食べ終えるまで、会話が響くことはなかった。

 食べ終わったことを確認して、布団を敷き始める。


「そうだ。枕って、2つありますか?」

「? あるにはあるが……どうしたんだい? まさか一緒に寝る、なんて言わないだろう?」

「ふふ、そんな失礼なこと言いませんよ。膝を立てて、そこに枕を挟むと腰への負担が軽くなるんですよ。あ、もちろん頭にも、ですよ?」 

「はは、それはわかっているよ」


 そんな会話を繰り広げ、僕は敷き終えた布団へ、おじさんを付き添う。(日本語ゴゴゴゴゴ)


「……本当に負担が少ないみたいだね」


 少しだけ嬉しそうに、おじさんはそう言った。


「それと、さすがに余計かもしれませんが、キセルも腰痛をひどくする原因の1つなので、こういう時だけは控えた方がいいと思います」

「おや、そうなのかい」


 小さく動き、おじさんは先ほどのキセルを手に取った。どこか遠い目をしながら、それを見つめる。

 おじさんは、何も言わなかった。遠いどこかに、思いを馳せるように。懐かしむように。小さな微笑みを浮かべながら。

 悲しむように、一筋の涙を流しながら。

 僕はそれを見て、思わず、おじさんの手を取る。

 何かに取り憑かれたようにして、僕は、言葉を並べ始めた。

 何を言ったのかは、正直あまり覚えていない。

 ……だけど気がつけばおじさんは、小さく微笑みを浮かべていた。先ほどとは確実に違う、喜びの滲んだ微笑みを。

 僕はそれが、心の底から嬉しく感じた。

 僕はその後、おじさんが眠りに落ちるまで、その手を握り続けたのだった。



④スカーレット家との契約

 拝啓。今朝食を食べているであろう霊夢さんへ。

 僕は今、弾幕の雨に打たれ死にそうになっています。

 ……

 助けてください(切実)

 事の顛末を箇条書きで説明すると……

 1、境内の掃除

 2、時が止まる

 3、咲夜が颯爽と現れる(ちょっと格好良かった)

 4、雑談に花を咲かせる

 5、瞬きのうちに咲夜に誘拐される

 6、気づけば紅魔館

 7、ちょっと拗ねながら咲夜と話てたらフランさんに遭遇

 8、フランさんに遊び相手に誘われる

 9、レミリアさんにもやってやってくれと頼まれる

 10、咲夜に目的を聞かされる

 11、戦闘開始

 ……

 うん5からもうすでにアウトだよねこれ。

 ……まぁ、もうなっちゃったことだし何も言えないけど……ちょこっと納得いかないなぁ……。

 ……

 そして僕は、考えるのをやめた。(言いたかっただけ)


「ってあぶな!?」

「あははは!藍奈、やっぱり面白い!!」

「楽しいならいっか」

「さっぱりしすぎでは?」

「フランさん! キャラ、キャラが!!」

「??」

「なかったことにはでkってぇぇえ!!!」


 あ、あっぶなかった……あと数ミリ違ってたら直撃だった……。


「あは、あははははは!! ……はぁ〜あ!楽しかった!!」


 そんな言葉が聞こえたと思うと、途端に弾幕の雨は止んで、フランさんは床へと降り立つ。

 そして気がつけば、ぺたんこ座りをしていた。


「ありがとう! 弾幕勝負、すっっっごく楽しかった!!」

「あ、あはは……楽しんでくれたみたいなら、良かった……」


 疲れガガガガガ

 はぁ……やっぱり弾幕勝負ってすごく疲れんだなぁ……いや、こっちから弾幕出してないから弾幕勝負になるのかすらわからないけど……

 笑顔があるので、OKですd( ̄  ̄)


「フラン、弾幕勝負は終わったのだから、そろそろ本題に入ったらどう?」

「……うん、そうだね、お姉様」


 そんな会話を経てから、フランさんは1つ大きな息をつき、小さく僕に問いを投げた。


「お姉ちゃんは、なんで私のことがわかったの?」

「……わかったって?」

「だって、私とお姉ちゃんが初めて戦ってたとき、なんというか……優しさ?を感じたの!でもねでもね、それはね、お姉ちゃんからの優しさとはちょこっと違ってて……私だけじゃないけど、私だけに向けられてるみたいに感じてね!なんていうか……すごく、暖かかったの」

「……そっか」


 シラを切っても意味はない……かな。


「嫌じゃなかった?」

「うん! 逆に、嬉しかった!!」


 パッと、花が咲いてように笑うフランさんを見て、微笑みが溢れる。

 思わず頭を撫でると、嬉しそうな唸り声を出した。


「……藍奈、私よりお姉ちゃんしてない?」

「シっ、ですよ。お嬢様」


 ……聞かなかったことにしようっと。


「そっか、良かった。……それで、なんでわかったか……だったよね」

「うん!」


 なんで、かぁ。


「……強いていうなら、感じたから、かな?」

「感じたって……何を?」

「……あなたたちが、苦しんでるって」

「……っ」


 息を呑む声が、した気がした。

 ゆっくりとフランさんの頭から手を離して、踵を返す。2、3歩足を進めて、僕はまたフランさんの方へと振り返ってから……問いを投げた。


「……ねぇ“フランドール”さん」

「!」

「あなたは、何を願っているんですか?」

「……」


 沈黙が流れる。そして、雰囲気が変わる。

 これは……あの時と、同じ雰囲気だ。

 この場にいる全員が、警戒体制をとる。

 また、始まってしまうのだろうか……と、そう考えると同時、違和感を感じた。

 そして、僕はすぐさまその正体に気づき、警戒体制を崩した。


「「藍奈っ!」」

「大丈夫だよ咲夜、それにレミリアさん。……彼女に、敵意はない」

「……」


 僕が制するように片腕を広げ、語気を少し強めてそういうと、2人も同様にそれを解いてくれたようだった。小さな声で、礼の言葉を投げた。

 いまだに彼女は、沈黙をしている。

 だから僕は、今一度———その、問いを投げた。

 

「あなたの願いは、なんですか?」


 気づけば、フランドールさんの瞳からは、一筋の涙が伝っていた。

 多分、いきなりのことすぎて、気が動転しているのだろう。


「ワタ、しの、ねがい……」

「そうです」


 先ほどよりもずっと小さく、フランドールさんへ歩を進める。

 

「あなたの、あなただけの願いです。咲夜のものでも、レミリアさんのものでも、ましてフランさんのものでもない。……あなただけの、フランドールさんだけの願いです」

「ねがい……ねが、イ……ソんなもの、私には———」

「もう、大丈夫ですよ」


 僕は、目前にあるフランドールさんの頭を、優しく抱きしめて、小さく撫ではじめた。

 ……その僕の行動には、誰も反応をしなかった。


「あなたはもう、苦しまなくていいんですよ」


 次の瞬間、服が小さく掴まれ、濡れていくのを感じた。


「必ず、あなたの力になると、そう“誓い”ます」

「……!」

「だから、教えてみてください」

「……ワタしは」


 フランドールさんは、顔を上げた。その顔は、涙で崩れ、鼻水が垂れていた。

 そして、その声が。絞り出すようにして、発せられた。


「わタしは、これ、イじょう、ダれも、きず、つケ、たク、な、い」


 あの時のままであれば、絶対に発せられなかったであろう言葉が響く。

 そして、どこか諦めの滲んだ視線が、僕を貫いた。

 僕はその言葉に、小さく相槌を打つ。


「ワタシは、モう、だれにモ、迷惑、ヲ、カ、ケ、タク、ない」


 掠れた声が、またもや響く。


「モウ、ワタシニ、辛イオモイ、ヲ、サセ、タク、ナイ」


 ……決壊。その言葉が最適だと思えるほどに、フランドールさんはその言葉の直後、涙と嗚咽をこぼした。

 言葉にならない言葉で、ごめんなさいと、そう連呼もしていた。そして彼女はまた、胸に顔を埋める。

 目前にあるその頭を、ポンポンと優しく叩いた。


「……頑張ったね」

「!」

「あなたは、優しくて、強いんだね」

「! ……ソ、レは———」

「違くないよ」

「!!」

「だって、優しくなかったら、誰かのことを想わないと思うんだ。だって、強くなかったら、自分が悪いことをしたって思わないと思うんだ」


 鼻を啜る音がする。嗚咽を必死に抑え込もうとする声がする。胸が、あったかくなっていく感覚がする。


「だからあなたは、すごくすごく、すっごーく、優しくて、強いんだよ。……でも、優しくなくたって、強くなくたっていいの」


 そう言葉を並べていく。……そして、最後に。1番言いたかった言葉を僕は、彼女に向けた。


「あなたはあなたで、いいんだよ。もしもがあったとしても、霊夢さんや魔理沙さん、紅魔館の皆さん。……そして、僕が。そんなもしもを、どんなに難しくても。破壊してあげるから、ね?」


 そう言って、僕は少しだけ彼女を離してから、小さくかがむ。そして溢れた微笑みを彼女に向けて、その目を、しっかりと見つめて。……口を開いた。

 

「わがままを言って、いいんだよ」

「……わガ、まま……」

「そう、わがまま」


 また、頭を小さく撫でる。彼女は川の流れの如く流れ出る涙を、両手で不恰好に拭い続けながら、また、絞り出すようにして、言葉を紡ぐ。


「わた、シは———ワ、タシ、は……こノコと、イっしョに、イタ、イ。……ワタシ、ハ、コノコ、ト、トモニ、アリ、タ、イ」

「……そっか」


 僕は力一杯、その小さな体を抱きしめた。彼女も、同じように僕の体を抱きしめてくる。


「……よく頑張ったね」

「……ウん」

「……辛かったね」

「……う、ん」

「……苦しかったね」

「……ウ……ン」


 そんな言葉を並べて、彼女を出来る限り落ち着かせる。

 彼女は僕の言葉に、都度反応を示すように声を上げ、抱きしめる力を強くしていくした。

 そのまま数分が経つと、彼女は腕を離して、小さく後ろに下がる。そして、僕の目を見据えた。僕も同じように、彼女の目を見据える。

 純粋に綺麗だと。そう思った。

 僕はもう大丈夫だと、そう思って、彼女に告げる。

 ……彼女が、救われる方法を。


「フランドールさん。あなたの狂気は今、以前よりも格段に弱くなっていますよね」


 彼女は小さく首肯する。


「……それは、僕のせいなんです」


 その言葉に驚いたのか、フランドールさんは目を見開いた。横目でレミリアさんたちの方を向くと、何かを言いそうなレミリアさんを、咲夜が止めてくれていた。

 ……あとで、お礼しなきゃなぁ……。


「僕は、あなたとレミリアさんとの戦いが終わって、地面に落ちてきた後に、あるスペルカードを使いました」


 懐から、あの時のスペルカードを取り出す。


「これを使えば、あなたの狂気を戻すことができます」

「!」

「っ藍奈!!」


 そう言った次の瞬間、僕に向けて、怒声が投げられた。

 だが僕は、それを無視して言葉を続けた。


「癒し『譲痛無傷』……このスペルカードは、本来他者の痛みなどを他者に移すという効果のものです。……ですが、ちょこっと工夫をすると、自分のそれを他者に移すことができるようになるんです」


 真剣な眼差しが向けられる。僕もそれに呼応するように、真剣な眼差しで、彼女を見つめ返す。


「だから、これを使って、少しずつあなたの体に……フランさんに、馴染ませていきます」


 僕はフランドールさんにそう言ってから、体を、レミリアさんたちの方に向ける。

 ……分かってはいたことだが、強い非難の視線を浴びせられていた。咲夜も僕に向け、疑いの目を向けている。

 レミリアさんに関しては、殺されるのではと思うほどに、敵意を丸出しにされていた。

 とてもじゃないが、僕の言葉が通ってくれるとは到底思えない。……だから僕は、行動で示すことにした。

 スペルカードをしまってから、ゆっくりと両膝をついて、床に手を当てる。……そして、頭を下げた。

 簡単に言えば……土下座だ。


「お願いします。……私にこの子を、この子達を守る時間をください」


 ……あぁ……緊張で、よく口が動いてくれない。


「お願いします。私に、この子達の願いを叶える時間をください」


 でも……だとしても、これだけは、これだけは……言わなければ。


「お願いします。……私に、この子達を救ける、時間をください」


 体が、小刻みに震えている。声が揺れているのがわかる。

 ……そして、数十秒の沈黙ののち、レミリアさんが、口を開いた。


「お前は……フランを殺す気なのか?」

「……いいえ」


 ……これは、答えを間違ったら死ぬ、というやつだろうか。……そうなのだろうな。


「でも、もしもそんなことが起こってしまったら。……僕が、この命賭しても、なんとかして見せます」

「そんな不確かなものが、信じられるはずないだろう」


 更に、強い敵意が向けられる。

 ……だけど。


「不確かなどではありません」


 だって。


「“私”には、その“術”があります」

「……お姉様。私からも、お願いします」


 気づけばフランドールさん……否、フランさんが僕の横まで来て、立ったまま頭を下げていた。


「私もこの子と、一緒にいたいの。……だって、この子も、私も。……私だから。……私は、私を失いたくない。……だから、だから……お願いします!!」


 また、沈黙が流れる。僕ら2人に厳しい視線が送られているからか、フランさんから、息を呑む声がした。

 何秒か、何十秒か経った後、息を吐く音がして、口が開かれる。


「顔をあげなさい」


 そう言われて、僕はゆっくりレミリアさんに視線を合わせる。

 ……その刹那、一本の槍……グングニルが、僕の頬を掠めた。

 思わず息を呑み、後退しそうになるのを必死で抑えて、視線を合わせ続ける。


「あなたは、私たち姉妹の恩人で、何よりフランの頼み。これを、断るわけはいかないわ。……だけど、フランにもしものことがあった時は。……あなたなら、どうなるか……わかるはずよ」



 ……僕はその時、その瞬間。……レミリアさんに、幻影を見た。

 家族想いで暖かく、誇り高い。

 ……そんな、史上最強の吸血鬼の幻影を。



 僕はそのレミリアさんの言葉に、無言の肯定を返した。

 そして僕は、こっちの方がいいだろうと考えて、レミリアさんに向けて、ひざまずいた。


「……だけど、2つ条件があるわ」

「……なんなりと」

「1つ、紅魔館の当主、レミリア・スカーレットの名の下に、ここの紅魔館、ひいてはフランドール・スカーレットの専属メイドになること」


 ……いきなりきついのが来たな……まぁ、僕は断れないんだけど……しかも、めちゃくちゃ強調してメイドって言ってたし……


「そして、2つ。……あなたが持っている、ヴラド・ツェペシュに関する情報を、可能な限りこちらに公開すること。……この2つよ」

「……可能な限り……ですか」

「えぇ、そうよ」


 ……それでは、あまりにも不公平な取引ではないかと、どうしても思ってしまう。

 だけど、そんなことを言える立場じゃ、もちろんないから。


「……承知いたしました。今この瞬間を待ちまして、(わたくし)魅黒藍奈は、我が絶対の主人、レミリア・スカーレット様の名の下に、妹君、フランドール・スカーレット様にこの身心を捧げ、忠誠を誓うことを、契ります」

「……咲夜、ナイフを」

「ハ、承知いたしました。……こちらを」


 レミリアさんは昨夜からナイフを受け取ると、こちらに投げ渡してくる。

 僕はその投げ渡されたものを空中で受け取り、流れるような動作で、二の腕に突き刺した。顔が歪みそうになるのを、必死に堪える。

 いつの間にか目前に立っていたレミリアさんは、僕がナイフを突き刺したその腕に、容赦なく牙を突き立てた。

 肉が擦れる音がして、激痛が駆け巡る。思わず冷や汗を流したが、どうすることもできなかった。

 ……ここでやっと、僕は、おかしいことに気がついた。

 数秒後、僕の腕から離れたレミリアさんに向けて、言葉を吐く。


「……なぜですか?」

「……私個人としては、あなたとはいい関係を作りたいと思っているの。それに、この前の件も合わせて、今の言葉。……それでもう、信用に値すると。そう判断したに過ぎないわ。だから私は、契らない。……だが」


 踵を返し、一歩、一歩と距離を空けていく。


「私の条件を2つ呑み、その誠意を、言葉と行動で示してくれた。……このことだけは、忘れるな」


 元の場所に戻ると、レミリアさんはもう一度こちらに振り向いた。


「……さぁ、やってみせろ。魅黒藍奈。……その、やり方を」

「……望むままに」


 僕は小さくそう言って、あのスペルカードを取り出す。


「それじゃあ、始めます」


 彼女は、小さく震えていた。


「……」

「……大丈夫ですよ、フランドール様」

「……うん」


 その言葉を聞いて、僕は何度か小さく彼女の頭を撫でる。


「……フラン」

「……」

「……呼び方、変えないでほしい」

「……ふふ、わかったよ。フランさん」


 小さく、微笑みが浮かんだ。

 ……さぁ、ここから初の試みだ。……気合いを入れろ。


「……スペルカード発動」


 静かに小さく、言葉をこぼす。翳した手からは、小さく光が溢れ出す。

 ……よし


「……グ……」


 内側から引き裂かれるような強い感覚がして、思わず声が漏れる。

 だが、誰にも気づかれていないようだ。冷や汗が流れてくるのがバレないように、小さく顔を下げた。


「……これが、私の……」


 フランさんの声が、やけに通って聞こえた。

 できたらしかった。……よかったと、そう安堵の言葉をこぼす間も無く、僕は。

 その弾幕を、彼女に向けた。


「癒し『譲痛無傷』」


 その弾幕が射出され、フランさんに当たった。

 溶け込むように、消え去っていった。


「……」

「……フランさん?」


 もしかして……と、そう思わずにはいられなかった。

 ……だが。


「……うん、大丈夫だ」


 そんな軽い言葉が、彼女の口から放たれた。

 思わず安堵で、息を吐く。


「……フラン、大丈夫なの?」

「うん、お姉様。確かに狂気の力が強くなったのはわかるけど……って感じ」

「……そう。よかったわ」


 そういうと、レミリアさんはフランさんの近くに来て、その体を抱きしめた。

 何も言わず、フランさんも抱き返している。

 数十秒もすると、レミリアさんたちは互いに抱きしめるのをやめて、こちらに視線を飛ばしてきた。


「……藍奈、これで、本当の意味で契約成立よ」

「……はい」 

「うーん、大体は咲夜1人で足りてるから……週1週2くらいのペースで来てちょうだい。あとこれから服の採寸とかするから、そのつもりで」


 あれ、思ってたより頻度が……と、いうか


「え?これからするんですか?」

「当たり前じゃない。早いに越したことはないでしょう?」

「ま、まぁ確かにs」

「咲夜、藍奈を捕まえて、別室で採寸を」


 あ、遮られた。

 そのレミリアさんの言葉に、咲夜の力強い返事が返される。

 すると僕は、瞬く間に咲夜に捕まえられた。というか首根っこを掴まれた。


「あぁそれと、ひとつ言い忘れていたことがあったわ」

「?」

「……私は、契っていない。……だから、忠誠を誓うことはないわ。これからも、呼び方はそのままで頼むわね」

「! ……わかりました、レミリアさん。……ありがとうございます」


 僕は深く、レミリアさんに向けて、頭を下げた。

 レミリアさんがこの部屋を出た後、一言咲夜に断ってから話してもらって、フランさんに向き直った。


「……フランさん。これから、改めてよろしくお願いしますね」

「……うん!」


 僕の言葉に呼応して、綺麗な笑顔が咲き誇った。


 こうして僕は、ここで正式に働くことになったのだった。


 

⑤後日談

 僕は、逃げたい気持ちを必死に押し殺しながら、一枚ずつ服を脱いでいた。

 ……脱がされるよりはマシだからね。


 僕が言われた通りの部屋に咲夜と言った時には、もうすでにレミリアさんのフランさんはその部屋の中にいた。

 何故ときくと、見たいからと、同時に答えられてしまった。

 流石に嫌だと聞くと、謎に権力でゴリ押しされ、このまま採寸をすることになってしまった。

 ……これ働くの0日目にして訴えれるかな。セクハラとして。しないけど。


「何も面白いものはないですよ?」


 そういっても。


「「いいのいいの」」


 と、同時に返される。


「……仲がよろしいですね」

「そりゃあまぁ」

「姉妹だからね」

「「ねー」」


 ん?キャラ崩壊?

 ……

 ほんまそれな(チョットナニイッテルカワカハナイ)

 おっと、本音と建前が逆に……


「あの、いや、ほんとにそろそろダメですよ」

「えー」

「なんでよ!」

「僕が男の子だからですが?」


 沈黙が流れる。


「ちょっとその沈黙グッサグサ心に来るのでやめてもらっていいですか?」

「……そういえば、藍奈って男だったわね」

「忘れてたよ」

「忘れる要素どこ」

「「全部」」

「わ〜仲良し⭐︎」

「えぇいめんどくさい!」

「ちょちょちょっと!レミリアさん!服!服が破けちゃいますって!

「つべこべ言わずに着替える!」

「フランさんまで……って、服破かないで下さ〜い!!」


 

 結果、僕は普通に身包み剥がされて、メイド服を着せられた。それと謎にあるカメラでめちゃ連写された。

 めちゃくちゃ恥ずかしかったです。

 そして僕は、それを隠すためだけに。

 このあと、めちゃくちゃ働いた。



⑥霊夢さんとのお出かけ

 ある日の早朝、僕はいつもよりも早足で、いつもの家事を進めていた。

 理由はそう、今日は、霊夢さんとお出かけの予定があるからである!

 先日、朝食後僕がお皿洗いをしに行こうと席を立った時、霊夢さんも手伝ってくれると言ってくれた。

 それは普通にあることなのだけれど、その時に誘われたのだ。

 思わず理由を尋ねたら、もう少しで宴会やるからその材料を買っておきたいとのこと。

 ちょっと嫌な気持ちが出てきたけど、まぁまぁまぁと考えることにした。


「……それじゃあいきましょうか」


 霊夢さんの言葉の言葉に返事を返してから、僕たちは同時に地を蹴り、空を飛んで人里へと向かう。


「宴会ってことは、結構たくさん買いますよね」

「えぇ、そうね。少なくとも2人じゃ運び切れないくらいには」

「……ほんとにすごい量買うんですね……

「まぁ、一番は酒ね酒」

「お酒……ですか。でも、そんなに皆さん呑むんですか?」

「確かに私たちも飲むけど、主に呑むのは鬼の連中よ。あいつらのせいで、酒瓶が10升あっても足りやしない」

「そんなレベルなんですね……っと、着きましたね」


 僕たちは人里の前で地に降りて、門をくぐる。


「あ、そうそう。この後魔理沙もくるから」

「? そうなんですか?」

「えぇ。言ったでしょう? 2人じゃ運び切れなくなるって」

「あぁ、それで」

「……噂をすれば、来たみたいね」

「魔理沙ちゃん、華麗に登場だぜ!」

「おはようございます、魔理沙さん」

「おう!藍奈おはよう!」

「魔理沙、遅いわよ」

「無茶言うなよ〜いつものことだしな? 主役は遅れて登場するってやつだぜ」

「……藍奈、魔理沙が一番重いの持ってくれるらしいわよ」

「そうなんですね、ならお願いします」

「おいおいおい、それはないぜー」


 そんな会話をしながら、僕たちは人里を回っていく。


『お、藍奈ちゃん。今日はどうしたんだい?……っと、そちらは博麗の巫女さんにいつも一緒の魔法使いさんじゃないか。珍しいね』

「あはは、確かに珍しいですね。えっと、今日は宴会の買い出しをしに来たのでその荷物が多くなるからーって」

『いいねぇ。そういう時の酒は美味いからなぁ。ま、ほどほどにな?少なくとも神社が壊れないようにするんだよ』

「……え?そんなことになるんですか?」

『……今のは忘れてくれ。ほれ、サービスだ』

「あ、ありがとうございます。……じゃなくて、その話詳しくk」

「ほれほれ、こんなとこで道草食ってる場合じゃないだろ」

「藍奈〜早くこいよー先行っちまうぞー?」

「あ、はーい!今行きまーす!」


 僕はそう返事をしてから、お店の人に小さくお辞儀をして、霊夢さんたちのところへ駆けていく。


「考えたんだが、別行動しないか?」

「確かに、そっちの方が良さそうですね。……買う量も量ですし」

「そうね。じゃあ魔理沙はお酒、藍奈は私と一緒に食材を頼むわ」

「わかったのぜ」

「わかりました」

「それじゃあ1時間後、ここ待ち合わせで」


 そんなこんなで、僕たちはそれぞれのお店へと向かう。

 ちなみに僕はお肉とかを中心に、霊夢さんは魚とかを中心に買いに行くことになった。

 お店の知り合いの人と軽く挨拶を交わしつつ、買い出しを済ませていく。ちょくちょくサービスがもらえたりして嬉しかった。……まぁ、その分にはかさばったが。

 やがて買い出しが終わり、僕は集合場所に足を向けていた。その道中、僕は霊夢さんの姿を見つけた。

 僕は声を出しながら駆け寄った。


「霊夢さーん!」


 霊夢さんはこちらに振り向くと、何かを隠すような動作をした。


「? どうかしたんですか?」

「……いいえ、なんでもないわ」


 そう言うと、霊夢さんはそそくさと集合場所に足を向けた。僕は不思議に思って、先ほど霊夢さんがいた場所へと視線を向けた。

 すると、1つのネックレスの位置が、あからさまにずれていた。お店の前まで行って、それを見る。

 それは、真っ白で透明な少し歪な丸い形をした……リューコガーネットのネックレスだった。


『おや、そのネックレスに興味あるのかい?」

「え?ま、まぁ、はい。あります。……この宝石って、リューコガーネットですよね」

「そうだよ。よく知ってるね」

「いえ、たまたま知ってただけですよ」

「さっき博麗の巫女さんがずっと見つめてたが……どうする?買っていくかい? ……今なら少し負けちゃうよ?」

「ほんとですか? ……それじゃあ、これお願いします」

「毎度あり」


 そう言って、僕はお金を出す。


「博麗の巫女さん、喜んでくれるといいね」

「……はい。また来ますね」

「うん、待ってるね」


 僕はお礼を言って、それを持ったままあの場所に向かった。


 着くと、霊夢さんと魔理沙さんは既に来ていたようで、僕が最後だった。


「やっと来たか藍奈。遅かったな」

「すみません、ちょっと想像以上に買う量が多くて……」


 少し心苦しいが、嘘ではないからよしとしよう。


「それじゃあ帰りましょうか」

「そうだな」

「2人とも、荷物は大丈夫ですか?」

「私は箒があるから大丈夫だぜ」

「流石にこの量だから、私はちょっと重いわね……魔理沙、お願い」

「おいおい、流石に重量オーバーだぜ」

「それじゃあ僕が持ちますよ」

「あんたはそれだけでも十分重いでしょうに」

「なれがあるのでそんなですよ」

「……そう、ならお願いしようかしら。これお願い」

「これだけで大丈夫ですか?」

「えぇ、流石にこれ以上は申し訳ないもの」

「そうですか、わかりました」


 そんな会話を経て、僕たちは博麗神社に足をつけた。


「いやー、思ったより時間かかったなぁ。霊夢、お茶!」

「私はお茶じゃないわよ……藍奈、魔理沙と一緒に居間に行ってて」

「僕がお茶淹れてきますよ?」

「いいからいいから。……あーいや、やっぱり買ってきたものしまってもらっていいかしら?」

「わかりました。それじゃあ終わり次第向かいますね」

「えぇ」


 食糧庫、倉庫を梯子してから、今へと向かう。

 それから僕らは談笑に花を咲かせ、魔理沙さんは昼食を食べて帰っていった。

 僕はお皿洗いを終えてから、あのネックレスの存在を思い出した。

 居間に行って、霊夢さんに声をかける。


「霊夢さん」

「どうかしたの、藍奈」

「……これ、プレゼントです」

「……プレゼント?」


 キョトンとした顔をした霊夢さんに、あのネックレスを見せつけるようにして広げる。すると霊夢さんは、目を輝かせた。


「これ、人里で見てましたよね?」

「……見てたの?」


 訝しむような声を出しながら、表情は嬉しそうだ。


「はい。偶然見かけたんです。このネックレスを見てるところ」

「……そう、まぁ、礼拝っておくわ。……ありがと」


 そう言って、霊夢さんは顔を綻ばせた。

 思わず僕も嬉しくなって、同じように、笑顔を浮かべた。



⑦自分の歌

 僕はよく、鼻歌をしてしまう

 ご飯を作る時とかお洗濯をしてるときとか。

 まぁ、自分でなんの曲かはわからないのだけど。

 最近霊夢さんに指摘されて、気づいた。


「というか知らない内に鼻歌をしてたって……なんか、恥ずかしいなぁ……」


 なんか、気づいたらしちゃってるんだよね、鼻歌。

 確かに音楽とかは大好きだけど……あ、なんか作詞とかしてみたくなってきた。

 うーん……うん、やってみよう!(唐突)

 思い立ったが吉日ってやっだね。

 ……でも、作詞って何からすればいいんだろう?

 ……

 まぁ、なんか頭にポンポン出てきた単語を羅列してればそれっぽくなるんじゃないかな。後でおかしなところ修正していくって感じで。

 よーしやるぞぉ!

 ……と、そんな感じで頑張った結果。


「……合計約3時間かかったけど……やっとできた……」


 途中で気付いた。

 これ、黒歴史になるやつだと。

 まぁ気合いと勢いで完成させましたけど。

 ……させましたけど!? なんか文句あるんですか!?(謎の荒れ)

 まぁせっかくだし歌ってみようかな、これ。縁側で。

 霊夢さんは今で払ってて今いないし!魔理沙さんも一緒に行くって言ってたし!うん!多分大丈夫!!

 と言うことで縁側に出る。目前に、木漏れ日が揺れるのが見えた。

 ……やっぱりここ、好きだなぁ。などと思いつつ、大きく息を吸い込む。大きく息を吐いてから、その言葉を連ねた。


「———絡まった世界の運命♪」


 作曲はできないし楽器もないので、リズムだけはそれっぽくする。


「解けるものは誰もいない♪

定めなんてものに連れられて生きていく♪」


 そこはかとない高揚感が、僕に迫る。

 ……楽しいと、そう思った。

 この後に来るであろう羞恥心を無視すると、だけだ。

 というか歌詞やばいなぁ……あ、まってもうやばい


「満点の星空の下僕らは歩き続けてた♪

ひとえに夢を掴むただそれだけのためだけに♪」


 ……と、そんな感じで歌い続けること数分。想像よりも長かったこと以外は満足だ。

 歌って歌ってると自然と体動いちゃうよね。いやー、楽しかった楽しかった。

 そんなことを考えながら、いつの間にか瞑っていた目を開ける。すると、すごい数の動物が目前に広がった。思わず驚いて、目を見開く。


「……ど、どうしてこんなに……?」


 思わず口が動いてしまう。


「藍奈の歌が気に入ったんじゃないかしら?」


 思わず、今度は完全にフリーズをしてしまう。

 ロボットのような動きで声の下方に視線を移すと、そこには、霊夢さんがいた。


「れ、霊夢さん……」

「……あの歌、よかったわよ。この仔たちもそう思ってるんじゃないかしら?」


 霊夢さんのその言葉に、各々が反応をする。

 顔が一気に熱を帯びる。恥ずかしすぎて、思わずその場でうずくまった。

 でも……


「ありがとうございますぅ」


 お礼は言いたいと思った。

 恥ずかしいけど。……

 恥ずかしいけど!!

 ぅぅ……もう、不用意に歌わないようにしよう……。



⑧憂鬱な取材

「本日は取材へのご協力ありがとうございます!」

「いえいえ、大丈夫です。約束ですから」


 この前お手伝いに行ったところとは違う甘味処で、僕は文さんからの取材を受けることになっていた。

 歌っているところが見られた日から3日後、手紙が届いた。

 その内容はお察しの通り、取材をさせてほしいと言うもの。

 前の約束もあって、僕はそれを快諾した。

 そして今に至る、という感じ。


「それじゃあ早速質問していきますね」

「はい。よろしくお願いします」

「はい! ……まず1つ目、どうやって幻想郷に来られたのですか?」

「紫さんに誘われてきました」

「紫さんにですか……。はい、それでは2つ目、性別と年齢、誕生日を教えてください」

「いきなりいっぱいきますね……えっと、性別はもちろん男性です」

「もちろん?」

「そこはつっこまないでください。……年齢は15歳、誕生日は2月17日です」

にほうほう……それでは、できればでいいのですが、身長と体重は?」

「そ、その2つですか……」

「ダメですかね?」

「いや、ダメじゃないんですけど……わ、笑わないでくださいね?」

「笑いません!」

「……そ、それじゃあ……身長は、ひゃ、143cmで、た、体重は……に、29.1kgです」

「ほうほう、143cmに29.1kg……ってぇえ!? 軽!?」

「……うぅ、気にしてること言わないでくださいよぉ」


 思わず顔が紅潮し、モゴモゴとした言い草になってしまう。


「あ、可愛い。……ってあぁあ、す、すみません!思わず口が……」

「……いえ、大丈夫です」

「(あ、あからさまに心にダメージ受けてる)ゴ、ゴホン。それじゃあそろそろ次の質問に移りますね」

「……はい……」


 と、そんな感じで、質問は約30分ほど続いた。

 この30分で、僕は今までにないレベルでダメージを受けた。謎に頭を撫でられたりもした。

 ……

 誰か助けてください(懇願)

 それきなんかいつの間にか次の取材の約束もしちゃったし……

 誰か助けてください(再放送)



⑨風邪

 朝目が覚めると、なぜか視界が歪んでいる気がした。


「……あれ」


 思わず声が出て、自分の手を見やる。僕にはそれが、ぐにゃりと歪んで見えた。


「あはは……ちょっと熱が出ちゃったのかな? ……いや、そんなことよりも早く朝食の準備しなくちゃ」


 そう思って、ふらつく足取りでなんとか立ち上がり、壁に体重をかけて台所へと向かう。


「ハァ、ハァ……こんなに、疲れるものだったっけ……?」


 思わずそんな言葉をこぼしてしまうほど、僕はそれだけで息を切らしていた。


「っ!」


 足から力が抜けて、床にへこたれてしまう。

 あー……これは、キツいやつだなぁと、そんなことを考えながら。

 ……でもせめて、ご飯だけでも作らないと。

 そう考えて、、再度力を入れて、経とうと試みる。

 その時。


「藍奈ー? どうかしたの? いつもより遅いけど……」


 霊夢さんの声が聞こえた。


(だめだ、早く立たないと、心配をかけちゃう……だけど、力が入らないし、ちょっとずつ、意識が……


「藍奈ー? どうかしたの? ……っ! 藍奈!!」


 霊夢さんが、僕の体を支えてくれた。

 前髪を小さくどかされて、おでこを優しく当てられる。

 思わず「ひゃっ」と、声が出た。


「すみ、ません。……霊夢、さん。僕、今日、ご飯、作れそうに……ない、です」


 多分主に恥ずかしさで、言葉が辿々しくなる。


「あんた……!なにその熱で、布団から出てきてるのよ!」

「早く、作らないとと思って……」

「……」


 霊夢さんは僕の言葉を聞くやお姫様抱っこの形で僕抱えた。


「……霊夢さん……?」

「……あんたは今日は休んでなさい。家事も全部私がやるわ」

「……でも……」

「でもじゃない。あんたにダウンされ続けられたら私が困るし、何より今のままじゃ何にもできないでしょう?」

「……はい」


 なにも言い返せなかった。霊夢さんから伝わる温もりだけが、、鮮明に感じとれていた。


「……すみません」

「謝らなくていいわよ」


 そんな感じのことを言って、僕はそのまま寝室へ連れてかれ、寝かされた。


「症状は?」

「目眩と、頭痛と……あと、喉の痛みが少し」

「……私が家事とかはやるから、あんたは大人しく寝てなさい」

「で、でも……」

「でももへったくれもない。……流石に病人を働かせるなんてこと、私でもできないわ」

「……じゃあ、お願いします」

「えぇ」


 そんな会話を経て、僕は布団の中でぼーっとする。

 何故かふわふわとした感覚に苛まれ、眠くなった。



「藍奈、藍奈。起きれる?」

「……霊夢、さん?」


 気がつくと、霊夢さんの顔が目前にあった。


「僕、眠っちゃってましたか?」

「……えぇ、ぐっすりと」

「……そうですか」

「体調はどう?」

「……さっきよりは、痛みも眩暈も和らいでます」

「……そう、よかった。食欲はある?」

「まぁ、はい。一応あります」

「そう、ならこれ食べて。さっき私が作ったお粥」


 そういうと、霊夢さんはスプーンでお粥を掬い、それに息を吹きかけた。

 僕はそれに、一瞬頭がフリーズする。


「……ほら、あーん」

「えっと、あのその……じ、自分で、食べれ、ます、よ?」

「……その震えた手でどうやって食べるってのよ」

「え……」


 思わず自分の手に目をやると、たしかに震えていた。


「……ありがとう、ございます。……いただきます」


 羞恥心を押し殺して、その突き出されたものを咥える。

 とても、優しい味がした。

 それから少しずつ食べ進めていき、30分ほどで完食することができた。

 霊夢さんは食べ終えたお椀をお盆の上に移すと、僕を布団に寝かしてくれる。


「ほら、また眠っちゃいなさい。申し訳ないけど、薬はないから食べて寝るくらいしか対処法がないの」

「大丈夫です……今でももう、ちょこっと元気になった気がしますから」

「……そう、なら私は———」


 僕は何故か、立ととした霊夢さんの手を握ってしまっていた。

 自分でもなにをしたかったのか、なにをしたかったのかわからない。

 だけど、勝手に、口が動いてしまった。


「一緒に、いて……ほしい……です……」


 後になるに連れて、声が小さくなっていく。

 恥ずかしさで胸がいっぱいになって、頭がこんがらがる。


「……すみません、やっぱりなんでもないです」


 寝返り、頭まで布団を被って、小さくうずくまる。

 背後から、お盆を置くような音がした。布が擦れるような音も、重なって聞こえた。


「いいわよ、今日くらい」


 その言葉に、思わず布団から小さく顔を出して、霊夢さんの顔を見る。

 優しそうな、微笑みを浮かべていた。僕の頭を、撫でてくれているようだ。


「……えへへ、ありがとう、ございます」


 正直言って、僕が今なにを言ったのか。自分で、わからなかった。

 そこから、僕は多分すぐに。微睡(まどろみ)の世界へと、足を踏み入れたのだった。


 

 えー、後日。謎に恥ずかしい思いはあるものの、なにも思い出せないことに悶々とする1日を過ごしました。

 もうね!霊夢さんのね!顔とかね!見れなかったからね!!

 もぅぅ……なんなのぉ〜? 謎に霊夢さんに可愛かったわよとか言われるし……ぅぅぅぅ……。

 ……

 思い出さないほうがいい気もしてきた。



⑩お花屋さんでの出来事

 今僕は、お花屋さんに向かっていた。

 理由は単純で、新しいお花を仕入れたということを聞いたからだ。(文々。新聞で)

 どんなものか気になったので、お散歩ついでに行くことにした。

 人里に入り、数分もしないうちに目的地に辿り着く。わくわくしながら、そのお店に足を踏み入れた。

 中には多種多様なお花が沢山あり、思わず小さく声を上げてしまった。

 思わず手を口にやって、あたりを見渡すと、1つのお花が目に入った。


(これって……あー!オステオスペルマムだ! 懐かしいなぁ、これ見たのいつぶりだっけ? それに、隣のやつはプリセチアだ! ふふ、やっぱり僕は薄桃色の花びらが好きだなぁ)


 などと、そんなことを考えながらお店の奥へとズンズンと進んでいく。

 するとその時、僕は、誰かとぶつかってしまった。

 押しのけられて、尻餅をついてしまう。


「いてて……あっ!だ、大丈夫ですか!?」


 ハッとして、口早にそう言葉を紡ぐ。


「えぇ、私は大丈夫よ。あなたは?」


 そう言いながら、その女性は手を差し伸べてくれた。

 急いで立ちあがろうとした体を止めて、その手をありがたくとった。


「僕の方も大丈夫です。……っと、ありがとうございます」

「礼はいらないわ。それにごめんなさいね、周りを見れていなかったわ」

「こちらこそすみませんでした」


 ぺこりと頭を下げる。頭を上げてから、その女性と視線を合わせる。

 癖のある緑の髪に真紅の瞳が映える人だった。

 服装は白のカッターシャツと、花の形のワッペンがついたレースのあるチェックの入った赤のロングスカートを着ていた。同じ柄のベストも羽織っている。

 胸には黄色のリボンをして、日傘を差していた。

 綺麗な人にぶつかってしまって、思わず焦りが湧いてくる。

 言葉を捲し立てると、「大丈夫だから、ね?」と、宥められてしまった。


「いやあの……本当にすみません。お洋服とか汚れていませんか?」

「えぇ、大丈夫よ。……それよりも、花、好きなの?」

「はい、大好きです」


 思わず自分でもわかる笑顔を浮かべながら、そう言葉をこぼす。

 

「私も好きなのよ、花が」

「へぇ……どんなお花がお好きなんですか?」

「うーん、大体好きだけど……パッと思いつくのは、ひまわりかしらね」

「ひまわり……ですか」

「えぇ。あの、前に向いてる感じ。水やりとかで一緒に太陽に当たっている時。匂いとかも、何もかもが好きなの。まぁ、他のものにも当てはまるんだけどね」

「すごくわかります。僕もひまわりは好きです。それに、自分で育てたものだと一段と綺麗に見えるんですよね」

「そうそう、そうなのよ」


 と言った感じで、談笑に花を咲かせる。

 それがひと段落ついたところで、その女性はこちらに問いを投げてきた。

 

「あなたの好きな花は何?」

「僕の、ですか」


 思わず手を顎に置いて、思考を巡らせる。


「強いていうならば、フリージア。……ですかね」

「へぇ……ふふ、私たち、少しは気が合うのかもね」 「……ふふ、そうかもしれませんね」


 そう言って、2人で笑い合う。

 とても綺麗な微笑みだと思った。


「あら、もうこんな時間」

「何かあるんですか?」

「えぇ、このくらいの時間にいつも水やりをしているの」

「そうなんですね。……大変そうですねぇ」

「でも、あなたならその楽しさがわかるでしょう? ……っと、そろそろ私はお暇させてもらうわ」

「はい。僕がいうことではないとは思いますが、お花、大切に育ててあげてくださいね」

「……もちろんよ」


 そう言って、その女性は踵を返した。

 そしてドアノブに手をかけたところで、首だけをこちらによこして、言葉を紡ぐ。


「時間があった時に、太陽の畑という場所に来なさい。あなたの好きな、向日葵の花を見せてあげるわ」

「……はい。今度、伺わせてもらいますね」


 僕がそういうと、扉を開けて、一歩進む。


「えぇ、歓迎するわ。……非常識な、外来人さん」

「……え?」


 僕がそう言葉をこぼしたときには、もうそこには誰もいなかった。

 思わずその扉に行って、外に顔を出してあたりを見渡す。

 そこに、その女性が見つかることはなかった。


「……不思議な人だったなぁ」


 と、気づけば、そんな言葉を溢していた。

どうも皆さんこんにちは! ついにこういうのでも遅刻をしちゃったASADEです!!

いやほんとにマジでごめんなさい。もうこの際言い訳しません。ほんとごめんなさい。

……それでは改めて、私の初の作品、東方救嬢期が2周年を超えました。

私もこれで小説家とし3年目なんですね……もう私駆け出し卒業間近なのd(殴

すみませんそんなこと全然ないです永遠の駆け出しです。

……まぁ?コメントとか!誰も!くれないので!皆さんの声とかは!全くもって!分かりませんけど!!どのくらいの人が見てくれてるのかな〜とかいいと思ってくれてるのかな〜とかたまに見て、はちゃめちゃ元気をもらっています。

なので、これからも見てくれると幸いです。

もう言いたいことがありすぎて文章が……。

取り敢えず、この3年間本当にありがとうございました。

これからも東方救嬢期を私諸共、末長くよろしくお願いいたします。

今年はー……投稿、がんばります。

そろそろこの辺で、終わりにします。

それでは皆さん、サラダバー!(こういうやつの締め方が未だにわからない人)


追伸 やっぱりちゃんとやりたいので10個目をちゃんとしたのに変えました。

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