表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方救嬢期 〜男の娘の幻想入り〜  作者: ASADE
第一章 幻想郷巡り。……にしたいです。(作者の願望)
29/50

第25話 いへん

どうも皆さんこんにちは!一ヶ月とちょっとぶりのASADEです!

Twitterで宣伝してからちょっと時間経っちゃった。テヘペロ

取り敢えず、よければ楽しんでいってください♪

 最初は少しだけ、ほんの少しだけ、寂しく感じていた。

 ここに来る前……行くと、そう返答をしたあのときから。……もしくは、視線を感じ始めた時から。

 ずっとどこか、寂しさを感じていた。

 だけど何故か、今は、そんなものを感じてはいなかった。

 本当に、何故かわからない。

 ……本当に。

 そんなくだらないことを考えながら、僕は乾いた洗濯物をゆっくりと取り込んでいく。

 うん、やっぱり天日干しはいいね。ふわふわになるし。部屋干しはあんまりやりたくないんだよねぇ。みんなが思ってるであろうことだけど。なんか部屋に溜まった洗い物の匂い嫌じゃない?僕は普通に嫌です。

 まぁ好きな人っていうのが少数派だとは思うけどね。個人的には、ってことだとまた変わってくるとは思うけど。

 そのときふと、草むらが鳴ったた気がして、ゆっくりとそちらに視線を移した。

 ……するとそこには、片手に収まるほどの大きさの、一枚の紙切れが落ちていた。折りたたまれており、中に何か書かれているのかすら判断ができない。

 気配はしなかったけど……風とかが原因かな?まぁそれ以外ないとは思うんだけど……だけど、風はなかったしなぁ……まぁいっか。持ち主の人がわかったら届けに行かないと。

 ……これ、中の内容見るとかは流石にやめておいた方がいいよね?でもそうしないと誰のか全くわからないし……。

 ……その時になったら、謝ろう。

 そこまで考えて、その紙切れを開いた。


「これは……メモ?」


 それには……確か、結構強い頭痛薬の名称と、簡易的な地図が小さく書かれていた。

 確実に、とまでは行かないが、記憶の中では頭痛薬だった筈だ。

 ……というか、これ結構大事なやつだよね? 早く届けてあげないと……でも誰のか全く見当がつかないんだよねぇ……。

 ……霊夢さんに聞いてみよう。なんとなく知ってそうな気がするし。

 そこまで考えて、僕は取り込みをする手を早めた。

 するとなんということでしょう。ものの数十秒で取り込みが終わったではありませんか。

 ……これ仕舞ったら聞きにいこう。

 それにしても……そこはかとなく洗濯物が少ない気がしなくもないような……?

 まぁ、多分大丈夫でしょう。

 カゴに入った洋服を見てふと思ったことを念頭から外し、ゆっくりと持ち上げた。

 瞬間、風が吹いた。ふわりとした柔軟剤の香りが、鼻を抜ける。

 木々が揺れ、音を立てる様に、思わず足を止めてしまった。平和だと、これがこのままずっと続けばいいなと、そん考えが静かな波紋のように広がっていった。


「どうかしたの?」


 そんな時、後ろから声をかけられた。

 僕は振り返りざまに、言葉を返す。


「それがですね、そこの草むらにこんなものが」


 そう言いながら、僕は先ほどの紙切れを、霊夢さんに手渡す。


「これは……」

「誰のものかわかりますか?」

「えぇ、わかるにはわかるわよ。……でも、なんでこんなところに……」

「ほっ……それならよかったです。……えっと、それでこれって、結局のところ誰のものなんですか?」

「永遠亭っていうところの、鈴仙ってやつのものだと思うわ」


 そこまでわかってるのなら安心できますね。


「そうなんですね。なら、後で届けに行かないとですね」

「……場所はわかるの?」

「……わかりません」

「……ま、そりゃそうよね。今からは無理だから……明日にでも、一緒に行きましょうか。幻想郷巡りも兼ねて、ね」

「はい、よろしくお願いします。……ありがとうございます」

「……お礼なんていらないわ。それよりも、早く夕食を作ってくれないかしら?」

「……ふふ、わかりました。それじゃあ、早速取り掛かりますね」

「えぇ、それは私がやっておくから、頼んだわね」

「はい」


 僕は霊夢さんの優しさをひしひしと感じながら、僕は台所へと足を向けた。

 縁側を通り抜けて、そこに足を踏み入れる。できるだけ食糧庫を視界に移さないようにしながら、何を作るか思案する。

 材料はあるのだ、なんでも、とまでは行かなくとも大体のものは作れるだろう。

 因みに台所の中に入ったのはそっちの方が献立が早く思いつくからだよ。最速5秒!凄いね!!

 と、そんなことをそこまで考えて、ふと頭に浮かんだものを、時間もあまりなかったため作ることにした。

 決まるとともに、博麗神社と少し離れている食糧庫に向かった。

 台所の中にも簡易的なものはあるけど、比べ物にならないくらいには大きさに違いがある。

 余談だけれど、これは元々1つの倉庫だったところ。無理やり分割したらしい。ちょっと入るずらいなと思ったのはそのせいだったんだ……。

 手早く必要な材料だけを選別し、カゴに詰める。

 それから、静かに台所まで戻ってきた。

 いつも使っているエプロンを身につけ、手を洗うと同時に食材を軽く水で洗う。

 ふっと、小さく息をついてから、調理を開始した。

 今作ろうとしているのは和食。カツオのたたきに、ピーマン・豚・ナスの味噌炒めに、大根と油揚げのお味噌汁だ。献立的に言うとあとご飯もあるよ。

 いつ見たのか忘れたけど、なんか料理本漁ってたら見つけたやつ……だった気がする。

 まぁそんなことはどうでもいいかと、そう結論を付けた。

 それから数十分が経ち、料理が完成した。それらを装い、台所を後にする。

 縁側に出ると、外は薄暗がりを越えて、月明かりだけが辺りを淡く照らしていた。

 歩を進め、目的地の前で足を止める。

 一言断ってから、その部屋へと続く襖を静かに開いた。

 ……同時に、どこか確証のない違和感を覚える。


「ありがとね、藍奈」


 何故か、どこまでも無表情な霊夢さんが、そう言った。

 僕はそれについては何も言及せず、ちゃぶ台の上に料理を並べていった。

 並べ終え、僕も霊夢さんと対極の位置で腰を下ろす。


「それじゃあ、いただきましょうか」

「はい」


 そう小さく返して、僕たちは食べ始めた。

 食べ進めると同時に、気付かれないように霊夢さんを観察する。

 ……やっぱり、動きも表情も硬い。視線も、今まで僕が見てきた中で、1番揺らいでいる。何かあった、もしくはこれから何かあることは、ほぼ間違いないだろう。

 ……それか、霊夢さんの勘という奴が、何かに反応しているのか。妄想の域を出ることはないが、考えられることとしたらこのくらいだろうか。

 そんなことを考えながら、僕らは時々会話を交えつつ、ご飯を進めた。そうしていくにつれ、違和感は、確証へと変化を遂げる。そしてその、原因となる感情の正体も、理解ができた。

 それから何分かして僕らはそれらを食べ終え、合掌をした。食器をひとまとめにしお盆の上に載せて、席を立つ。


「今日は私が行くわ」

「? 霊夢さんが?」

「えぇ、いつもやってもらってるばかりじゃあ、申し訳ないしね」

「……わかりました。では、お願いします」 


 僕はそう言いながら、霊夢さんにお盆を手渡す。

 するりと立ち上がり、踵を返したその人に向けて、僕は、小さく言葉を残した。確証のない確信を、胸の中に秘めながら。そして、少しでも頼ってくれと、心の底から思いながら。


「……僕ってそんなに、頼らないのかな……」


 その言葉には、誰1人として、反応する者はいなかった。



 side霊夢

 痛かった。

 辛かった。

 押し潰されそうだった。

 吐き気がした。

 逃げ出したかった。

 苦しかった

 目を背けたかった。

 もうずっと、限界だった。

 ……そんなことを幾度となく思考する自分に、反吐が出た。

 なんで私は、こんなにも弱いのだろうか。何でみんなはそんなにも、強く在れるのだろうか。

 なんで私は、博麗の巫女という肩書きだけの、ただの弱虫なのだろうか。

 何年何十年何千年経ったところで、ここだけは……変わる気が、しなかった。

 シンクの端を掴む手の力が、自然と強くなっていく。

 同時、涙が溢れてくる。目の前が霞み、頬を伝い、皿の上に音もなく落ちていった。

 これ以上それを流すまいと、強く瞼を閉じる。……すると、私の気持ちは関係なしと言わんばかりに。……思い出が、まるで何かの物語のワンシーンのように、スラスラと流れ始めた。耳朶に響くのは、それと同期した多くの音。……声。

 一層、涙が勢いを増す。声が出そうなところを必死に堪え、思わず地面にうずくまる。それが、今の私の限界だった。

 あいつの……藍奈の優しさに触れてしまったのが、最後のトリガーだったのだろう。そんなことを思った。

 頼るという言葉が、頭をよぎる。自分の弱さが、思考にすら侵蝕をしていく。

 だけど、ダメだ。ダメなのだ。私が、私なんかが、そんなことを、少しでも思ってしまったら。

 だって私は、博麗霊夢。先代の博麗の巫女、『博麗靈羅(れいら)』の娘で、博麗の巫女で、最強で……そして、そして———



 ———“人殺し”、なのだから———。



 だから、彼の優しさにだって、私は拒むことしかできない。見て見ぬ振りしかできない。気付かないふりしか、そんなことしかできない。

 度々その優しさに縋ってしまっても、それは自分の心の弱さだと、本心ではないと、そう思わなければならない。

 これが自分自身の本当の願いなどではないと、そう思い込まなければならない。

 だって私は、心の底から、そんなものを受け取る権利がないと、そう思っているから。

 だから、藍奈に頼り切ってる今の生活も、あってはならないこと。

 だから彼には、早くここから出ていってもらわないといけない。だけど、私からそんなことは言えない。……いや、言いたくない。

 私は、今のこの日常に、満足をしてしまっているから。

 これこそ、自分の弱さなんだな。そう考えると、思わず嘲笑が漏れた。

 それから程なくして、私は気持ちの整理をすることに成功をし、仕事を再開した。



 side藍奈

 ポツリ、ポツリと、雨音が耳朶を叩く。

 独特の匂いが辺りを漂い、何者かを返さんと、少しずつその勢いは増していく。今はもう、空には光すら通さないほどの雨雲が覆っていた。

 あれから既に、数日の時が経っていた。その間は霊夢さんと魔理沙さんの弾幕ごっこを見させてもらったり、自分でスペルカードを作ってみたりもした。

 だけど未だに僕たちは、永遠亭という場所には行けていなかった。

 それの原因は最早、言わずもがなだろう。……いや、言ってはいけないのだろう。

 そんなことを考えながら、静かに掃除を進めていく。

 もうとっくに掃除をするところなんてないのだが、やることがないので仕方ない。

 ……それに、最近の“夢”のこともある。何かをしていずには、いられないのだ。

 ふと掃除道具を床に置き、空を見上げた。……その時だった。

 忽然として雨が止み、辺りが、真夜中の如く暗さを増した。そして、そこには月が浮かんでいた。

 大っきくて、満月の……強すぎる妖力を纏った、そんな月。

 ……もう、確定と言っていいだろう。


「……霊夢さん」


 僕は小さく、その名を呼んだ。

 微かに布の擦れる音が聞こえる。

 僕らは互いに何も言わず、一度も視線を交えることなく、同じ足取りで境内に足をつき、同時に地を蹴った。

 ……これは紛れもなく、異変だった。

 あそこの……紅魔館の時のような、突飛すぎるものじゃない。確実に、画策されて起こった異変。

 ……だから、気を引き締めなければならない。

 そんなことを思いながら、霊夢さんと並んで、この夜空を駆けた。

 

 そうして、僕らの長い永い夜が、幕を開けたのだった。


どうも皆さんこんにちは!色々あって疲れてるASADEです!

一言だけ言わせてもらいますね。

ツッタカターフョローしろくださ(((殴

あとコメントとか感想ください

はい、ということなので終わりですドーン(⁉︎

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ