東方救嬢期1周年記念!(閑話) 王様ゲームって聞くと嫌な予感が止まらなくなるよね。
どうも皆さんこんにちは! 4、5日でこれ書き終えて疲れたASADEです!
え?なんでそんな間近になって書いたんだって?
データ2回ぐらい飛んだんですよ察しろください
疲れた……主人公くんと他のキャラクターの可愛さがなければ折れていた……
あ、そういえば今回はちょっと書き方が変わってる部分があります。記念なのでなんかしようとしたらこうなりました。
後半の部分嘘ですけど。
詳しく言うと大人数が喋るときは『『 』』になりました。
まぁそんなことは置いといて、色々なことは後書きで話すので、取り敢えず……良かったら、楽しんでいってください♪
僕がいつものように、博麗神社で朝食を作り終え、霊夢さんが起きる時間になるまで境内でお掃除をしてる時のことだった。
突如として、世界が色を失った。
咲夜の能力だね。こんなことできる人はあの人以外いないからね〜。本当凄いと思う。……いないよね?多分いない。……多分……。
……
でも、ここまで能力が届いてるってことは……近くに来てるのかな?ならお茶の用意とかしたほうがいいのかな?そんな時間ないと思うけど。
そんなことを考えながら、そのままお掃除を続行した。
十数秒ほどすると、中空に人影が見えてきた。
それを認知した僕は、道具を片付けながら彼女の到着を待った。
「おはよう、藍奈」
「おはようございます、咲夜」
博麗神社の境内に降り立った咲夜は、開口一番にそう言った。
僕も同じように、言葉を返す。
「珍しいよね、こんな朝早くに今日に。どうしたの?」
日本語がおかしいとか思っちゃうメ!ですよ?
……
はい言ってみたかっただけです忘れてください今すごい自己嫌悪に陥っています何も言わないでください。
それに朝早くの今日って何?普通逆じゃないの?倒置法も流石にここまでくると間抜けだよ??
……い、色んな意味で語彙力が……
「私は忘れないわよ?可愛いから」
「なんで聞こえてるの!?」
ボッと、顔が一気に熱くなるのを感じた。
ぁぅ〜……何してんだろう、朝から。
ちくせう
「勘」
「勘で聞こえるようなものなの?」
「いいえ?聞こえてないわよ」
「え?だったらなんで……」
「そう言ったほうがいい気がしたから」
「……」
「可愛かったわよ?一気に顔が赤くなるところとか」
怒りたい
怒りたいのだが
怒らない
怒る必要もないしね、自分が悪いし。
ならなんで言ったのかって?そりゃもちろん文字数かs(((殴
……ハ!何かに操られてた気がする……!
と、取り敢えず……
「……忘れてくだしゃい」
「あ、噛んだ」
「……//」
ダメだ、なんか今日ダメだ。
「二度寝してくるのでさよなら」
「待って待って!悪かったから拗ねないで!」
拗ねてなんていませんもん。
「あ!今心の中で可愛いって思ったでしょ!」
「逆に思わないと思ってるの?」
「開き直らないで欲しかったかな!?」
カウンターをカウンターで返された人の図ってこんなんなんだろうな〜って(by作者)
「あれ? 今回はなんでそんなに登場回数多いんですか?(未来予知)」
「いいんじゃないの、記念だし」
そうだよそうだよ!(by作者)
「やっぱ今のなしで」
なんでーーー!?!?(by作者)
「考えてみたら今回は藍奈の可愛い姿を晒すためにあるようなものだから(念のため少し小声)」
よしわかった今すぐ撤退だー!(by作者)
「そう、それでいいのよ」
「それで納得しないで欲しかったな!?」
「あ、聞こえてたのね」
「普通に聞こえてたよ?結構大きかったし。……そう言えばこれ誰のこと言ってたんだろう?パッと浮かんだこと言っただけだしなぁ……咲夜も、誰とお話ししてたの?」
「あなたは知らなくてもいいことよ」
「……そうなんだ」
神(笑)が言っている……気にしてはいけないと……!
まぁそんなことどうでもいいや。えぇっと……何話してたんだっけ?(頭おじいさん)
「そうそう、忘れるところだったわ。藍奈はボランティアの件、覚えてる?」
「うん、覚えてるよ。……どうかしたの?」
「ちょっと人手が足りなくなったから、あなたに手伝って欲しいの」
「……因みに、その理由は……」
「……」
「……わかった、引き受けるよ」
「……ありがとう。それじゃあ、早速いきましょうか」
……あ、そうだ。
「あの、ちょっと持っていきたいものがあるから、少しだけ待ってもらっていいかな?」
「もちろん」
その言葉を聞いてから、僕は建物の中へと戻って、ムスカリの花の柄が入った袋をリュックの中に入れた。
念の為作っておいてよかった……勘ってすごいね。と、そんなことを考えながら、小走りで咲夜の元へと戻る。
「終わった?」
「うん」
「それじゃあ、今度こそ行きましょう」
そんな会話を最後に、僕たちは同時に地を蹴った。
それにしても、咲夜にも言えないことって……なんなんだろう?
嫌な予感がするなぁ……。
数分間飛び続けると、霧に隠れた紅魔館がうっすらと見えてきた。
「ちょっと霧の濃度薄くなった?」
「時間帯によって変わるのよ」
「……朝って普通霧が薄くなるんじゃないの?」
「そうね」
「それなのにここは深くなるの?」
「ここは幻想郷、常識に囚われてはいけないのよ」
「なんかそれ言っとけばどうにかなるみたいな風潮がある気がする……」
「実際そうだもの。……っと、着いたわね」
気がつくと、僕らは霧の湖を抜けて、紅魔館の門前まで辿り着いていた。
「あ、おかえりなさい、咲夜さん。それと、こんにちは、藍奈さん」
「えぇ、ただいま」
「どうも美鈴さん。暫くぶりです」
「はい、暫くぶりですね。……って言っても、あれから2週間もたっていませんから。妖怪の私からしてみれば、一瞬でしたよ」
「そうなんですね。……やっぱり妖怪さんと人間では、時間の感覚が少しズレてるんですね」
まぁ僕が時間を気にしすぎって言う部分もなきにしもあらずだとは思うんだけどね。時間の感じ方とか、そう言う感覚は人それぞれだし。
実際僕もあんまり時間経ってないなって思ってたのはここだけの秘密。
え?矛盾してる?
ちょっと何言ってるかわからないですね
「それはそうですよ。私たち妖怪は何百年、何千年と生き続けますからね」
そっか、そう言えば美鈴さんも妖怪さんの1人だったね。忘れてた……何か、美鈴さんはよくわからないけど世話焼きのお姉さんっていうイメージがあるなぁ……あれ?最初何考えてたんだっけ?(頭おじいちゃん)
「ふと思ったのだけど、そう言えば最近居眠りしなくなったわよね、あなた。確か……藍奈が来てからだったかしら?」
「そんなことないですよ〜。前々からずっと、居眠りなんてしていませんでしたよ?」
「……どの口が言ってるんだか」
「あ、あはは……」
笑うことしかできなくなりました。笑っていいのかもわからないけど。
「まぁ、その話は後でするとして……藍奈、そろそろ行きましょう」
「うん。……あ、そうだ。ごめんね咲夜、もうちょっとだけ待ってもらえないかな?」
「? ……まぁ良いけど」
咲夜は不思議そうに首を傾げながら、そう言った。
やっぱり凄い美人さんになったなぁと、ふと、そんなことを思った。
「その言い方だと、元はそんなでもなかったって言ってるように聞こえるんだけど?」
「いや?そんなことないよ。今も美人さんだけど、昔は美人、というよも可愛いだったから。所謂、美少女?ってやつだと思ってたよ」
「……ごめんなさい、あなたがそう言う人だってこと忘れてたわ」
咲夜はそう言って、顔を少し逸らしながら僕から顔が見えないような感じで片手で顔を隠した。(語・彙・力をください)
……え?なんか悪いこと言ったっけ?
「自覚するのが遅いけど、自覚したら凄い恥ずかしかがるやつですね」
「……えぇ」
「え? な、なんのこと?」
何を言ってるのかわからないんだけど?
「知らない方がいいこともあるってことよ」
「そ、そういう話だったの?」
「まぁ、そうですね」
「えぇ……」
「コホン、気を取り直して、どうしたの?」
「あぁ、ちょっとね。この前した約束のものを渡そうかと」
「この前の約束?」
「うん」
そう言いながら僕は、ポンとして見えなくしたリュックから———
「ちょちょっと待って下さい藍奈さん、あなたそれどっから出したんですか!?」
「え?普通に背負ってただけですけど……」
「いやいやいやいやいや、気配も何もしてませんでしたよ!? どうやったんですかそれ!?」
「普通に、ポンと」
「ポンとでものは消えないのよねぇ……藍奈のことだから、もうとっくに慣れてるけど」
「ちょっと咲夜さん!?あなたもそっち側なんですか!?」
「美鈴も、早く慣れといた方がいいわよ。いちいち突っ込んでたら身が持たないわ」
「……そ、そうですか……」
「……っと、あったあった」
そう呟きながら、僕はムスカリの花の柄が入った四角くなっている袋を取り出した。
「それは?」
「まぁ、取り敢えず一回何も聞かず、開いてみて下さい」
「??」
美鈴さんは少し不思議そうにしながらも、ゆっくりとした手つきで解いていく。
これが何かわかったのだろう。美鈴さんは、小さく目を見張らせた。
「もしかして、これは……?」
「はい。前に話していた、差し入れです」
「……! ありがとうございます!」
本当に嬉しそうな笑顔を浮かべてそう言う美鈴さんを見て、自然と笑みが溢れた。
「ふふ、いいえ、お気になさらず。だって、約束なんですから」
「因みに、中身は……?」
「サンドウィッチ3つと、後もう1つ入ってます」
「お楽しみ、と言うやつですね!」
「はい♪」
美鈴さんは、目をキラキラとさせながらそう言った。
良かった……これでいらないとか言われたらどうしようかと思っちゃった。
「……」
「お待たせ、咲夜。ごめんね、結構時間取っちゃった」
「……いいえ、大丈夫よ」
そう言って、咲夜は紅魔館の敷地へと足早に入っていった。
「あ、ちょ、ちょっと待って!」
急いで後を追いかけながら、リュックの中から、もう1つの袋を取り出した。
「これ、受け取って欲しいんだけど……」
そう言って、振り向いた咲夜に向かって差し出した。
「……! ……なんで?」
頭の上に疑問符が見えた気がした。咲夜が困惑の表情で、こちらに視線を送っている。
「え、えと、ね。咲夜、ここでのお仕事すごい頑張ってたから。そ、その、なんていうか……え、えっと、ご褒美?」
うわ、なんか偉そうになっちゃった。
……語彙力が、語彙力が欲しい……!
「……くれるの?」
「うん、もちろん。お仕事が終わった後とかにでも、食べて欲しいな」
うん、恥ずかしい。
なんかサプライズみたいなのになってるところとかが余計に恥ずかしい。
「ありがとう。大切に食べさせてもらうわ」
「うん」
……まぁ、喜んでもらってるっぽいし、いっか。
「あ、あの咲夜さんにも……ついに彼女が……!?」
美鈴さん美鈴さん、普通に聞こえてますよ。多分咲夜は聞こえてないだろうけど。
と、というより……彼女、って……僕が男だっていうこと知ってるよね?
……あれ?僕、言ってたっけ、自分の性別。
……
いや、言ってなかったとしてもわかってくれているはず……! ……多分
最近は特に自信がなくなってきたんですよね。ほぼ確定で間違われるから。
慣れたよ?うん、慣れた。ちょっと泣きそうになるくらいだもん
そんなことを考えながら、喉元まで出た言葉を、グッと飲み込んだ。
咲夜の顔は見ないようにした。なんとなく怒られそうだから。
紅魔館の中に入ると同時に、どこか違和感を覚えた。
疑問に思い、辺りをキョロキョロと見渡す。だけど、どこも変わってはいない。どこか、小骨が喉にささったかのような違和感を感じながら、気のせいだろうと、そう思い直した。
そうこう考えているうちに、咲夜が歩き出したので、僕もその後を追って行く。
進んでいくうちに、僕は2つのことに気がついた。
1つは、今目的としている場所が、レミリアさんの部屋ではないということ。この方向だと、今は多分大図書館に向かっているのだろう。
2つ目は、紅魔館全体に、薄く魔力が張っていることだ。段々と、その魔力の濃度が強まって来て、ここに来て、やっと気がついた。この魔力を出している人のものへと近づいている証拠だろう。
「咲夜です。藍奈を連れて参りました。」
咲夜が周辺の部屋と比較して大きな扉をノックして、目を瞑りながらそう言った。
この部屋の前に来た時、この部屋の人物が……パチュリーさんが魔力を出していることがわかった。
「どうぞ」
端的に、パチュリーさんが答えた。
咲夜が扉を開き、僕に部屋の中に入るよう手招きをしてくる。
やっぱりこういう部屋に入るのは緊張するなぁなどと考えながら、大図書館へ足を踏み入れた。
大図書館を少し進むと、見上げるほど高い本棚の間に、横長の机と人影が見えてきた。
「来たわね、藍奈」
そう言いながら、人影の人物……パチュリーさんは読んでいたであろう本から、僕へと視線を上げた。
「おはようございます、パチュリーさん。それと、小悪魔さん」
「おはよう」
「あらら、バレちゃってましたか……おはようございますね」
「それでは、私はここいらで失礼致します」
「あぁ、咲夜にもちょっと付き合ってもらうわ」
「……? 私もですか?」
「えぇ。……それじゃあ早速なのだけど、そこの魔法陣の上に立ってもらえるかしら?」
パタンと本を閉じて、指を床に向けた。
それに釣られて、僕らも視線を移す。
「これは……転移の魔法陣、ですか」
「そうよ、よくわかったわね」
ほんの少しだけ、目を見開いたのが伺えた。
「魔理沙あたりにでも教えてもらったのかしら?」
「まぁ、そんなところですね」
「へぇ……あの魔理沙が……」
なんか言い方的に酷くないですかね?
「まぁ、そんなことはいいとして……。あなたたちにはこれから、私達が作った空間に行ってもらうわ」
「え? 作ったんですか?」
「えぇ、そうよ」
作ったんだ……凄いなぁ……。
……常識に囚われてはいけない、って言ってるけど、流石にこれは行き過ぎじゃない?
考えちゃいけないことっていうのはなんとなくわかるんだけど……どうしても考えちゃうんだよねぇ……。
まぁいっか。
「まぁ、取り敢えず入ってちょうだい。魔法陣の中に入ったら、自動的に発動するようになってるから」
「そ、そんなこともできるんですね……」
「三日三晩かかったわ」
「……ゆっくり、休んでくださいね」
思わず、そんな言葉が口をついた。
「えぇ、あなたたちが行くのを見届けたらそうするつもりよ」
だからなんかずっと眠そうにしてたんだ……。
頭なんてすごいコクコクしてるし。振り子してる(?)
「いってらっしゃい」
「……はい」
「行って参ります」
そんな会話を経て、僕らは魔法陣へと足を踏み入れた。途端、辺りが白い粒子で充満し、視界を全て覆い隠す。
何故かそれを、少しだけ息苦しいと感じてしまった理由は、多分ないのだろう。
そして、それと同時にそういえば、僕、お洗濯してないなぁ……。と、そんな考えが頭をよぎった。
光が収まった。瞼の向こうの光が消えたことで、それを知った。
ゆっくりと、目を開く。……すると、そこには———
———“青い紅魔館”が広がっていた。
構造などは、紅魔館そのものなのだが、その紅色であるはずの場所全てが、青色……天色に染め上げられていたのだ。
今僕たちがいる場所は、フロントだった。全てが天色だということを除けば、いうも通りの紅魔館のフロントだ。
色々と頭の中で整理することができたので、一度ゆっくりと辺りを見渡した。
辺りには霊夢さんや魔理沙さん、そして紅魔館組の人々がいた。
「って、霊夢さん?」
「あら、藍奈も来てたのね」
「はい。……あの、僕はレミリアさんに呼ばれて来ただけで、何をするかわからないんですけど……何かわかりますか?」
「……は? 何も聞いてないのかぜ?」
「あ、魔理沙さん。おはようございます」
「おはようなんだぜ。それで、どうなんだ?」
「何にも聞いていませんね。何をするかもわかりませんし……」
「あやや、そこにいるのは……藍奈さんじゃありませんか!」
「あ、射命まr「……」……文さん、おはようございます。あなたも来ていたんですね」
「はい!こんなネタになりそうなことを逃してはおけません!」
「ネタになりそうなこと? ……何をするんですか?」
「あやや?聞いていないのですか?」
え?なんでみんな同じ反応するの?
「まぁ、簡単に説明すると……ここは、私とパチュリー、それとアリスで作った空間だ」
「はい、それはパチュリーさんから聞きました。まぁ、そのアリスさん、っていう人はわからないんですけど……」
「呼んだかしら?」
「お、アリスも来てたのか」
「当たり前じゃない。私も作るのに参加したのよ?それなのに、来ないなんて選択肢はないわ」
「え、えっと……」
「お、すまんすまん、こいつの紹介がまだだったな」
そう言いながら、魔理沙さんはその女性に手を向けた。
その女性は、ウェーブのかかった金髪に赤色と白色のカチューシャを付けており、肌の色は薄く、瞳は青色をしていた。身長も魔理沙さんと比べてやや高い。
服装は青色のドレスを着て、白いケーブを羽織っていた。
辺りには2体のお人形がぷかぷかと浮かんでおり、この人が……言ってしまえば、異国のお姫様の1人であるかのような、メルヘンチックな雰囲気を元の容姿と合わさり、増されていた。
それに、うっすらとではあるが、魔力で作られている糸を感じられると同時に、目視することができた。……え?魔力でそういうのってできるものなの?
「えぇ、できるわよ? 扱いには練習が必要なのだけど」
「当たり前のように今知り合った奴に心読まれた感想はどうだ?」
「凄く……恥ずかしいです……」
なんで???なんでこんな簡単に読まれるの?まぁ読めるようにはしてるんだけどね。感情を隠さないように、っていうのかな? 多分そうだね。
「そういえば、自己紹介がまだだったわね。私の名前はアリス・マーガトロイド。今は頻度は減ったけど、前までは七色の魔法使いって呼ばれていたこともあったわ。特技は得意なことはご覧の通り、人形を操ることよ。よろしくね。……えっと」
「あ、藍奈です。魅黒藍奈」
「そう、藍奈ね。これからよろしく」
そう言いながら、マーガトロイドさんは僕に手を差し出して来た。
それに釣られて、僕もその手を握り返す。
うわぁぁ……コミュ症が凄い禁断症状を起こそうとしてる(?)……。
「そ、それじゃあ僕も、改めて自己紹介を。ぼ、僕の名前は、瞰黒、藍奈です。えっと、霊夢さんのお家に居候させていただいています」
「霊夢の家に……ってことは、あなたが噂の外来人なのかしら?」
「はい、多分そうだと思います」
そう言って、横に少しだけ視線を移した。そこには文さんが、親指を立てた右腕を、ビシッとこちらに向けていた。
あ、聞こえてたんですね。
……というか。人形可愛いなぁ。作りも凄くしっかりしてるし……
「この人形たちが気になるの?」
「え? あ、まぁ、はい。凄いしっかりとした作りをしていて凄いなぁと」
「……わかるの?」
「はい、少しは……」
あれ?なんかちょっと目の色が変わった気が……
「作ったことは?」
「何度かあります。結構楽しいですよね」
「そうなのよ、目打ちを使ってたら力加減を間違えちゃって布に穴を開けっちゃったり……」
「わかります! 細工はさみで切り方間違えちゃってやり直さないといけなくなったり……」
「そう、そうなのよ! 本当に、色々と難しいのよね」
「でも、そういうところも含めて楽しいんですよね」
「えぇ。……あなたとは良いお友達になれそうだわ。あ、そうだ。この子達の紹介がまだだったわね」
そう言いながら、マーガトロイドさんは、宙にぷかぷかと浮かんでいたお人形に視線を移した。
あれ?どこからこんな話になったんだっけ?
ふと出てきたその疑問を、グッと喉元で押さえ込んだ。
「こっちの方が上海、それでこっちの方が蓬莱よ」
『シャンハーイ』
『ホウラーイ』
「え!? 喋るんですか!?」
「まぁ、実際は喋らせてるだけなんだけどね」
「それでも十分凄いですよ……。魔力って本当に色々なことができるんですね」
「確かに、大体のことはできるわね……って、あなた、この糸が見えてるの?」
何故か驚いたような顔をしながら、マーガトロイドさんがそう聞いてきた。
「はい。目を少し凝らせば、結構クッキリと。あ、魔力も感じれますよ。凄いですね、色々……人によって色々なことができるんですね!」
凄いなぁ……あ、魔力で意図が作れるなら、実際お裁縫とか編み物とかもすっごい楽しくなりそう。
元から楽しいけど、やっぱり糸があとどれくらい残ってるのかとか気にしちゃう時があるからね。
それを気にしなくて良いって……。
今度試してみよう。
楽しみだなぁ♪
「……ねぇ、この子の視力と感覚どうなってるの?」
「私に聞かれても知らないわよ。藍奈は色々とおかしいからこんなので驚いてちゃ身がもたないわ」
「ただでさえ性別詐欺の代名詞って言われてるのにな」
「……え? あの子って、男性だったの?」
聞き捨てならないことが聞こえた気がしました。というか聞こえました。
「ちょっと待ってくださいそれ誰に言われてるんですか?」
「もちろんあいつだぜ」
そう言って魔理沙さんが指をさした先にいたのは、文さんだった。
なんとなくわかってた、うん。わかってたよ。そういう情報広めそうな人って、あの人しかいないもんね。
「ちょ、ちょっと!? あ、藍奈って———」
「……文さん、この前のお話は無かったことにしちゃいますね」
「ちょ、ちょっと待ってください! お、お願いですからそれだけは……!」
「ちょ、ちょっと!?文さん!? 流石に頭軽すぎじゃ無いなですか!?」
「ネタのためならなんでもしますよ!」
助けを求めて、霊夢さんたちの方へと視線を向けた。
一瞬で逸らされました。はい。
「わ、わかりました、わかりましたからお願いですから頭を上げてください」
「本当ですか!?」
先ほどと同一人物か疑ってしまうほどの変わり身の速さに、思わず苦笑が漏れた。
それから少し会話を交わしてから、文さんと別れた。
ちゃっかりちょっとインタビュー的なこともされました。本格的なのは後日するのだそうです。
「……やっぱり、風のような人でしたね」
思わず、口からそんなことが漏れた。
「……と、そろそろ始まるわね」
「? 何がですか?」
「あぁ、そういえばお前は何をするのか知らなかったんだよな」
「まぁ、あいつの話聞いてればわかると思うから」
そう言いながら、霊夢さんは近くに置いてあった椅子に腰をかけた。
え? いつからあったの? 魔理沙さんもちゃっかり座ってるし……
「気にしたら負けだぜ」
「……そうですね」
考えるのをやめました。
そう思いながら、僕も同じようにいつの間にか近くにあった椅子に腰を下ろしたと同時、電気が一様に消えて、スポットライトが目の前の階段の踊り場を捉えた。
するとそこには、この館の主人である、レミリア・スカーレットさんが佇んでいた。
ゆっくりとした足取りで、一歩一歩階段を下っていく。
「今回はお集まり頂き、どうもありがとう。私はこの館の主人であり、誇り高き吸血鬼。レミリア・スカーレットよ」
「そんなん知ってるぜ」
「ちょっと! 今せっかく雰囲気的にできてきたところなのn、って、わぁ!?」
「危ない!」
魔理沙さんがレミリアさんの自己紹介に茶々を入れたその時、レミリアさんがいつものように(?)ツッコミを入れようとしたのだろう。
だが、それをしようとした場所がいけなかった。
レミリアさんは腕を振る勢いで、体を持っていかれてしまったのだ。気がつけば、階段から転げ落ちそうになっていた。
僕はほぼほぼ反射的に地を蹴って、彼女の元まで近づき、体を支えた。
シンと、静まり返った。
普通に空を飛んで回避をできると、そういう考えは浮かんでこなかった。それを浮かべるまでの、時間がなかった。
レミリアさんを見ると、ポカンとしていた。
そして、今の自身の状態に気づいたのか、ボッと顔を一気に赤く染めて、目にも止まらぬ速さ(笑)で、僕の腕の中から離れた。
頭が真っ白になった感覚がした。色々な感情が入り混じり、思考速度をどんどんと遅くしていく。
そんな中、羞恥に支配された口から、唯一出せられた言葉は……
「……でしゃばってってすみませんでした」
誰にも聞こえないのではないかと思うほど小さな声の、そんな言葉だった。
それからあの状態から立て直したレミリアさんが、淡々とした口調で今回のことについての説明を始めた。(はっきり言ってあの状態からこんな早くに復帰できることに尊敬を覚えました。はい)
そして、その話を聞いた僕は、今すぐにでもここから離れたい気持ちでいっぱいになった。
それは何故か?答えは単純明快。
……今から行われるのは、弾幕ごっこなどといったこちらの世界のみ存在するものではない。
あっちの世界では居酒屋とかですごい行われているイメージがある遊び。
その名も———王様ゲーム。王様が番号で人を当て、なんでも命令を1つだけ下せると言った、恐ろしすぎるゲームなのであった。今回はテストプレイという名目も含まれているため、3〜5回で終えると言うことだった。
だけど……いや、だからこそ僕はさっきの出来事も含めて、ここから逃げようとした……その時。
背後で気配がしたかと思うと、手首をがっしりと掴まれた。
「逃がすとでも?」
「YES」
「ならその考え、改めた方がいいわよ」
「嫌だー! は、離して咲夜! 僕はこのゲーム不得意(?)なんだよ!」
「そんなことがわかるほどやってないでしょうに」
「あ、バレた?」
「バレるに決まってるでしょ」
「あ〜やっぱりバレちゃったか〜あはは〜それじゃあ僕はこの辺で———」
「だから逃さないって言ってるでしょ。……それに、これは約束なのよ?」
「うぐぅ……………………わ、わかったよ。やればいいんでしょう」
「間が妙に長かったわね」
「本当にやりたくなかったのね……まぁ嫌だと言っても私が意地でも参加させるけど」
「私ももしその時が来たらどんな手を使っても止めるな」
「ちょっと霊夢さん魔理沙さん??」
……ここに僕の味方はいなかったんだ……
というかなんでお2人ともそっち側にいるの??
まぁ、ここまで言われたら参加する以外の選択肢はないから、もうなんでもいいかな……。
それと、魔理沙さんの方は流石にやりすぎだと思います。
「さて、話も終わったようだし、そろそろ始めましょうか」
レミリアさんのその言葉と同時に、僕らが座っていた椅子が動き出し、円状を形作ったかと思えば、中心に机と割り箸が人数分であろうほど入った細長い箱が出現した。
……なんでありですね、ここ。
「な?すごいだろ?」
「はい……本当、凄いです」
言葉が出ないほどには凄いと思いました。
言い過ぎかもしれないけど。
「掛け声は……まぁ、みんな知ってるわよね。あれをやるわよ」
全員だろう人々が、一斉に首肯した。
「「王様だーれだ!」ってちょっとぉ!?なんで藍奈しか言ってないのよ!」
「あはは……」
……うん、まぁなんとなくわかってたよね、うん。
……。
笑えばぁ、良いと思うよ(?)
「さっき言ったわよね?言うこともルールに「王様は私か。そんじゃ命令は———」ちょっと魔理沙!あなたも同罪なのわかってる!?」
「賑やかねぇ」
「本当ですねぇ」
隣に座っているマーガトロイドさんが漏らしたその言葉に、思わず同意をしてしまった。
ヤバいやつとか思われてなければ良いんだけど……。
「まぁ、とりあえず命令言っていくぜ」
「ちょっと魔理沙! まだ話は終わって———」
「1番が2番にデコピン」
おー、凄いポプュラーなやつ来ましたね
「それで、1番と2番は誰なんだぜ?」
『『……』』
「お、おい?」
「えぇっと……端的に言いますと……番号、書いてないです」
「……は?」
僕のその言葉で、魔理沙さんの動きが止まった
「ど、どうしてなのぜ?」
「あぁ、そういえば言い忘れていたけれど、1番最初の時は割り箸に番号振ってないわよ。名指しd って、痛い痛い痛い! 霊夢、何するのよ!!」
「そんな大事なこと言い忘れてた罰よ」
「忘れるのは仕方のないことじゃない」
「……もう一発いっとく?」
「ごめんなさい」
あのアイアンクロー……結構痛そうだったなぁ……(思考放棄)
しかも器用に口だけは晒されるようにしてたし……。
「ごほん、そろそろ話を戻すぜ」
「下手ね」
「うっせうっせ。取り敢えず、名指しであれば良いんだろ?」
「えぇ」
「……それじゃあ、霊夢がレミリアにデコピンで」
「よしきたわかってるじゃない魔理沙」
「ちょーとまったー!」
「王様の命令は?」
『絶対』
「だってよ、なぁ? 主催者様」
「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ…………」
「大丈夫よ。優しくやるから」
「目が!! 目が笑ってないから!!!」
「はーいさーん、にー」
「ちょっと待って!」
「いーち」
「だからm」
「ぜろ」
霊夢さんがそう言うと同時に、鈍器でどこかを殴られたのではないかと思ってしまうほどの音が、僕たちの耳に届いた。
「……っ!イッターーーーーーーー!!!」
そう叫びながら涙目となり、額を抑えながら小さく蹲った。微かにだが呻き声も聞こえた。
「あ、カリブレした」
「カリ……ブレ?」
「カリスマブレイク。略してカリブレだぜ」
……そんなことも略すんだなぁ。うん、忘れておこう。
そんな会話の中でも、レミリアさんはまだ治りそうになかった。
……どれだけ痛かったのか、想像したくもなかった。こんな風になるほどって……痛いって言葉じゃ治まらなさそう。
「あいつはほっといて、次いくわよ〜」
「え、えぇ……」
「いちいち待ってたらキリがないからな。こんな感じでちょうど良いんだぜ」
「そんなわけで、ほら藍奈、掛け声」
「え? これって僕が言うんですか?」
「お前自分から言ってただろ?」
「で、でもさっきは全員でやるからって……」
「良いから良いから。ほら、早く早く」
「うぅぅぅ……」
……あ、良いこと(?)思いついた。
「わかりました。言えば良いんですよね? 言えば」
「あぁ、だからそう言ってるだろ?」
「それじゃあ、行きますよ?」
皆さんがどんな反応するのか楽しみだなぁ〜
僕はそう思いながら、スッと息を吸い込んで、高らかに告げた
「王様だーれだ(超低音)」
『『誰だお前』』
「わ〜すご〜いみなさん殆ど同じ反応だ〜」
何気に結構な人数の人キャラ崩壊起こしてるのは気にしない方がいいんでしょうねはい。
……でも、そんなこと言っておいてみんな普通に割り箸とってるんですよね。なんというか……抜かりない?
「ちょっと王様の命令待たないか?藍奈の声がどこから出てきたのか知りたい」
いや、え?そんなに気になることじゃないよね?
「確かに気になるわね」
「私は別に構わないわよ」
霊夢さんにマーガトロイドさんまで……
それに、どこからって……
「声帯以外ないですよね」
まぁこう答えるほかないよね。
「普通にその声がその声帯から出てることの方が驚きなんだが??」
「嘘じゃ……ないのよね? 魔法で声帯を変えてるとかはしてないのよね?」
「そんなに疑わなくても良いと思うんでよ、僕」
なんかわからないけど悲しくなってきた……
「まぁ、自業自得ね」
「そうなんですかね……?」
「そうだと思うわ」
レミリアさんのその返しに、更に悲しくなってくる。
まぁいいや。
「あら、私が王様だったのね。……あれに気を取られすぎて気づかなかったわ……」
そう声を上げたのは、マーガトロイドさんだった。
最後の言葉は聞かなかったことにしましょうそうしましょう。
「命令は、そうね……。ここからは番号指定なのよね?」
「そうよ」
「……実際王様になってみると、あんまりしたい命令、っていうのは浮かばないものね……」
そのレミリアさんの返答に、一層頭を悩ませる。
そして、数秒間の沈黙の後、答えが告げられた。
「う〜ん……それだったら、6番の人が王様ゲームが終わるまで女装で」
「なんでピンポイントで当てるんですか!?!?」
思わず、そう叫んだ。
「それはね、藍奈……これが記念だからよ」
そう言ってアリス・マーガトロイドは、さっき無視された恨みもあるという本心を、心の奥にしまったのでした(by作者)
「それで納得いくわけないよね?? ……というより、他の方々に当たってたらどうしたんですか? 皆さん当たり前のように女性ですよね? 僕以外」
「その時はその時男装させるつもりだったわよ?」
「でも、命令には……」
「直感が言わなくてもいいって言ってたのよ」
……
直感ってすごいね(泣)
「……本当にやらなきゃ———」
「ダメよ」
「———……ですよね……」
ぁぁぁぁぁ……男性としての尊厳ががががぁ……
「元からないでしょそんなの」
「ガチ泣きしますよ?」
「「そしたら私が慰めるわ」」
「……」
ダメだ……この人に挑む気すら無くなってきた……
というか咲夜もナチュラルに混ざらないで欲しいかな??それに行き合いすぎだし……。
……うん、聞かなかったことにしよう
「……わかりました、わかりましたよ。着れば……着るだけでいいんですよね?」
「えぇ」
一度目を瞑って、覚悟を決める。
数秒間そのままで心の整理をして、ゆっくりと、目を開いた。
……でもそこは、さっきまでいた場所じゃなくて。
「……ふぇ?」
思わず、そんな抜けたような声が出てしまったのであった。
side霊夢
パッと、藍奈が消えてから、私たちは少し声を上げていた。
焦っていたからじゃなく、本当になるとは思っていなかったから、と言うだけのこと。
元からレミリアからはこう言う説明を受けていて、こうなることは事前に把握済み。
「……藍奈さんは、本当に飛ばされただけで、戻ってくるんですよね?」
文が、いつもとは一線を画した、少し顔を強張らせだ表情を浮かばせながら、そんな問いを投げた。その声には少しだけ、不安が漏れている。
そう、事前に説明は受けていた。……だが、あまりにも唐突に、なんの脈略もなく消えてしまったから。だから、不安になってしまったのだろう。口には出さないが、実際、私も同様のことを感じている。
いや、少しはその前兆はあった。紙よりも薄く張り巡らされた魔力が少し揺れた程度ではあるが。
そこまで考えて、事前にされた説明の内容を思い出す。
確か……レミリアは、こう言っていたはずだ。
【この場で遂行できるものならば何も変わらないが、着替えやマラソンなんかは別の場所に飛ばされ、強い強制力が働く。それに加え時間が何倍、何十倍、時には何百倍と加速する。そして、それが遂行されるまでは戻っては来れない】と。
「まぁ、レミリアの話が本当ならいずれもどっけるでしょ。心配してても、疲れるだけだわ」
できるだけ心情を表に出さないように意識して、そう言葉を発した。
それは自分の心を落ち着かせるためのものでもあり、少しだけだが、平常な思考を取り戻せたような気がした。
「……そうね、その通りだわ。まぁ、それならすぐ戻ってからでしょ」
アリスのその言葉を聞いてから、私達がくじを戻した。
それから約10分が経過したその時。
背後から、眩い光が発されたのだった。
「……そんなに嫌だったのね……」
そんな声が、どこかから聞こえた気がした。
side 藍奈
「はぁ……なんで僕がこんなことに……」
口から、無意識にそんな言葉が漏れる。
僕は今、天色に染まった紅魔館の、客室らしき場所にいた。1番最初に来た時は焦ったが、段々と落ち着いてきて、今は思考をできるほどにまでなった。
部屋には机と椅子が中心に置かれ、ベッドが端にポツンと置かれており、その横には姿見が一枚置いてあるだけの、この館全体を通して見れば質素な部類に入る部屋。
だけど普通の人ならば、ここだけで当たり前のように暮らすことができるであろう、そんな部屋。当たり前のように置かれているため、感覚が麻痺してしまいそうだ。
末恐ろしいものである。(言いたかっただけ)
そんな日本語がおかしいようなことを考えながら、机の上に視線を向けた。すると、そこには綺麗に畳まれたお洋服が複数枚置かれていた。ここからでも、手入れが念入りにされているのがわかった。
多分されてないけど。
「ホントに着なきゃダメなのかなぁ……。 ……ダメだよねぇ……王様の命令だし。 ……はぁ……」
何度目かわからないため息をつきながら、僕はそのお洋服を手に取った。
……すると、次の瞬間。またも僕の体は、眩い光に包まれた。突然のことで思わず目を瞑った。
数秒後、瞼の裏で眩いていた光が消えたと感じるとともに、ゆっくりと瞼を開けた。
そして、気がついた。
……僕の服装が、丸ごと全て変わっていることに。
それに気がつくと同時に、姿見の方へと視線を向けた。
白色のワンピースだった。お腹の端などがレースになっており、僕の膝ほどまでをスカートが隠していた。
キャミソールのワンピースであり、僕の正面よりも左寄りに、白色のリボンがあしらわれていた。
そしてなぜか、麦わら帽子も被っている。
服装自体はすごく可愛かった。
だが来ている人が僕のためすごく気持ち悪くなっていると思う。はっきり言っていますぐにでも脱ぎたい。こんな可愛いお洋服を、僕なんかで汚したくない。(?)
(ハテナさんは帰ってもろて(by藍奈))
……というか、え? 僕、この格好で皆さんのところに行くの?
……
うんやっぱり嫌だから逃げよう。
そう思いながら、背後に目をやった。
そこには扉2つと、それに挟まるようにモニターが置いてあった。そのモニターには先ほどまで着替えるまで出られないと書いてあったのだが、今はどちらかが出口につながっていると書いてあった。
希望が見えた。2分の1の確率で、あそこに戻らずに済むのだと。そう考えれば、前に進まないわけにはいかなかった。
それと、端っこにはタイマーがあった。あと約30秒。このタイマーが切れて仕舞えば、確実に強制的にあの場所へ戻されることになるだろう。
だから僕は、その考えに至ったっと同時に歩を進め、左側の扉に戸をかけた。
その扉は驚くほどに軽く、音もしなかった。
そして、次の瞬間、扉の先が見えたと思ったと同時、僕はその先の、真っ白な空間に吸い込まれた。
咄嗟のことで反応が遅れたのもあるが、吸い込まれたと認知した時には、体が動かなかったのだ。
本当になんでもありなんだなぁと思いました。あの御三方本当すごいよね。
そんなことを考えていると、気がつけば、元にいた場所に戻ってきていた。
僕は小さく辺りを見渡してから、ゆっくりと動き出す。
声を上げる人は、誰もいなかった。
僕は周りもろくに確認しないまま、この空間の隅に向かって、壁の方向に体育座りを———
「させると思ってるの?」
———させてもらえなかった。
「やめてください! こんな醜い姿人様の前で見せられませんから!!」
叫ぶ、ただひたすらに。
「今日1でかい声出たな」
「なんか心なしか声も高くなってる気が……」
「あれは地声よ」
「……そうなのね。なら(?)今度私の作った洋服、着てもらおうかしら」
向こうで恐ろしすぎる会話が聞こえた気がするが、多分気のせいだろうと切り捨てる。
そんな会話を交わしながらでも、僕の肩に手を置いた霊夢さんは、その手を離そうとせず、逆にこちらに向かせようと力を入れていた。
「そんなにあの服、気に食わなかった?」
「違うよね? 普通に考えて僕が着てることざ問題はないよね?? というかそれ以外問題ないよね??」
咲夜のその問いかけに、思わず言葉がまとまっていないまま自分の思ってることをそのまま告げてしまった。
「それで、服についてはどう思ったの?」
「すごく可愛いと思いました」
「ならほら、こっち向く」
「いやだ! こんな醜い奴が可愛いお洋服着てお洋服汚されてるとか思われたくない!!」
「なんで汚れるの? すごく可愛いじゃない。後ろ姿だけでも相当だと思うわよ? ……それとも、本当に私が作った服が嫌だったの?」
「マーガトロイドさんめちゃすごい人だった……」
めちゃ器用じゃないですかマーガトロイドさん。凄いなぁ……僕も作りはするけど、暇つぶし程度だからなぁ……。
でもこれ王様のマーガトロイドさんが作ったってことは、絶対に見せないといけない理由が一つ増えたのだは?
……
「嫌じゃないんですよ、ただ本当に、僕が着て誰かに見せれるようなものじゃないってだけで……」
「私は見たいわ」
「ほら藍奈、王様の命令だぞ」
「ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……………………わか、り、ました。……で、でも、笑わないで、下さいね?」
そう言いながら、僕はゆっくりとマーガトロイドさんの方へと、体を向ける。
すると、マーガトロイドさんの目が輝き出した気がした。気のせいであって欲しいと切実に思った。
「やっぱり! ものすごく似合ってるわ!!」
「そ、そうですか……」
羞恥心であやふやな返答しかできない僕に対して、マーガトロイドさんは追い打ちをかけてくる。
「それにしても……これで男性って……ホント、信じられないわ。というかもう性別不明とかでいいんじゃないかしら?」
「同感だぜ」
「同感しないでください!!」
思わず、そう叫んだ。周りの人はなんかわからないけど頷いてるし……
「ぁぅぅ……」
「あ、ショートした」
「まぁ放っておけばいずれ治るでしょ」
この時の霊夢は思っていた、藍奈くそかわI
「”あ”あ”?」……なんでもないです(by作者)
「? どうしたんだ霊夢、顔赤いぞ? ……まさか、藍奈に見惚れてるn」
「そんなことないでしょ何言ってんの馬鹿じゃないの!?」
「……ここまで勢いよく否定されると逆に清々しいよな(?)」
「まぁ要するに……図星ね」
「黙れ」
「わーこわいこわい」
「これは……着せ替えがいがありそうね……」
……マーガトロイドさん……怖い……(泣)
「取り敢えず藍奈が本当に限界を超える前に次やりましょうか」
霊夢さんがそう言いながら、全員に割り箸を選ぶよう促した。僕も皆さん同様に、恥ずかしさを堪えながらその割り箸を持った。
「それじゃあ、藍奈」
「……やっぱり、僕ですよね」
「あ、戻った」
「もちろんだぜ。お前以外やる奴なんていないぜ?」
「魔理沙さんお願いします」
「嫌だぜ。それはお前の仕事だからな」
「……やっぱり?」
「やっぱりだぜ」
ぁぅぅ……僕の、何か恨まれるようなことしたのかな? もう精神的に無理なんだけど……
……ここは恥ずかしさを紛らわすためにも大声の方がいいかな?
うん、多分いいね
と、いうわけで……
「お、王様だーれだ……」
「声ちっさ」
「ぅ、す、すみません……」
「ま、別にいいんだけどな。んで、王様は……」
「……ふっふっふっふっふ、やっと私の時代が来たようね!」
そう声を上げたのは、レミリアさんだった。
……なんかとてつもなく嫌な予感が……
「それじゃあ、早速命令を。 ……1番のやつ、私に吸血されなさい!」
「……泣いていいですか?」
「……藍奈だったのね」
「まさかこんなに連続で当たるとは……ある意味持ってるわね」
「これは……なんて言えばいいんだろうな」
「……ごめんなさい、藍奈を当てるつもりじゃなかったのだけど……」
「いえ、謝らないでください。……本当に」
「……ドンマイなんだぜ」
皆さんなんて言ったらいいかわからないっていう顔してるなぁ……あはは、は……はぁ……。
「すー、はー、……もう、一思いにやっちゃってください」
深呼吸をして一旦心を落ち着かせながら、体内の霊力の塊を無くして、溜めていた血液を、全身に巡るようにする。
と、同時、体全体が熱を帯びていくのを感じた。
「そ、それじゃあ、失礼させてもらうわね」
レミリアさんは申し訳なさそうに、緊張したようにそう言った。
僕はレミリアさんが近づいてくるのを確認してから、ワンピースの紐を少しずらした。
それに伴って、服が少し崩れ、更に羞恥心が刺激された。今にでも逃げ出したいし、穴があったら入りたい。
……でも、それじゃあ約束が果たせない。約束を、破ることになってしまうから。だから僕は、逃げられない。逃げてはいけない。
「……あいつ、あれを無自覚でしてるんだぜ?」
「末恐ろしいわね……色んな意味で」
「いつも通りね」
「……」
霊夢達は、咲夜の言葉を聞かなかったことにした(by作者)
そして、次の瞬間。プスリと音がしたかと思えば、それと同時に鋭い痛みが身体を駆けた。そしてそこから、どんどんと何かを抜かれていくような感覚がしてくる。
前回と同じことだった。だから前回よりも、余裕を持つことができる。……余裕を持てたとしても、何もできることはないのだけど。
自分が選んだことだしね。
そんなことを考えていると、突然抜かれていく速度が早くなった。
「……レミリアさん?」
名前を呼んでも、反応がなかった。
あー ……えっと、なんかデジャヴを感じる気が……?
と、そんな考えが浮かんできた時、体内に元から巡っていた血が少なくなってることに気がついた。予備が切れたのだ。
「あのー、レミリアさん、もうそろそろ……」
「…………」
「あ、あのー?」
「………………は! あ、ご、ごめんなさい。美味しすぎて、ついうっかり吸いすぎてしまったわ」
レミリアさんは僕との距離を素早く開けると、そう早口で言った。
「いや、えっと、全然迷惑じゃなかったので大丈夫ですけど、それに王様の命令でしたし……。それよりも、大丈夫ですか? お顔、真っ赤ですよ?」
「え……? あ、あぁ、これのことね。どうしても吸血に夢中になっちゃうといつもこうなるのよ。だから気にしないで頂戴」
「……わかりました」
深くは触れないことにした。なんとなくそうした方がいいと思ったから。
乱れた服装を整えながら、霊夢さん達の言葉に耳を傾ける。
「えぇっと……ご、ゴホン。それじゃあ、時間も時間だし、次で最後にしましょうか」
「よーし、最後は私が王様になってやるぜ!」
「そんなことどうでもいいから、早くやっちゃいましょう」
「僕も王様になりたいなぁ」
「アンタはなれないわよ」
「未来予知しないでもらっていいですか?」
「ダガコトワル」
「なんでアンタが応えてんのよ」
「気分だぜ」
「あっそ」
そんな談笑を聞いて、自然と微笑みが浮かんだ。
「……あれ人里の男どもに見せたら大変なことになりそうね」
「だなぁ〜」
「それじゃあ、掛け声よろしく、藍奈」
「……因みに霊夢さんは……?」
「脚下」
「……で、ですよね〜」
深呼吸……平常心……羞恥心……泣きそう
ぴえん
「お、王様だーれだ!」
もしかしたら大声出したら恥ずかしさが紛れるんじゃと思ってやったけどやっぱり逆効果でしたね。
めっちゃ恥ずかしい、本当に。
「私が王様ね」
霊夢さんが、魔理沙さんに視線だけを向けながら、そう宣言した。
「ぐぬぬぬぬ……はぁ、まぁいいや。それで? 命令はなんだ、王様?」
「と、言ってもねぇ……何も思いつか……あ、そうだ」
あ、嫌な予感がする。
言っちゃ悪いけど、霊夢さんは悪そ〜うな笑を浮かべながら、静かに告げた。
「3番、4番に告白しなさい」
「……ふぇ?」
「じょ、冗談よね?」
声を上げたのは、僕とマーガトロイドさん。ということはつまり……
「選ばれたのは藍奈とアリスね。アリスは兎も角として……藍奈は……うん、ごめんなさい」
「謝るくらいならこんな命令やめてくださいよぅぅ」
それに僕4番なんだよ?? 初対面で少し話した人に告白されるなんて……本当に心が持たないよ……
「因みに、どっちが3番なんだ?」
「……私よ」
顔を紅く染めて、目を右往左往しているアリスさんがそう言った。
「そうかそうか、まぁ、頑張ってこいな、2人とも」
「助けてくれたりは……?」
「するわけがないんだよなぁ」
「ですよね〜」
「因みにここでやってもらうわ」
「悪魔かしら? あなたは」
「いいや違うぜアリス。こいつは悪魔じゃなく鬼m」
「あ?」
「なんでもないんだぜ。……まぁ、取り敢えずこれが最後の命令なんだ、藍奈。だから気にしないでガツンと告白受けてこい」
「だからってなんですかだからって〜!」
もうこの時点で死にそうなのにもっと殺しにくるんですか??
お願いします本当に(心が)死んじゃうので勘弁してください
……まぁ、そんなことが通るはずもなく。数秒後、僕らは対面をしていた。
アリスさんが緊張した面持ちで、唇を振るわせながら頬を紅潮させている。僕も多分、同じようなものだろう。
周りから、多くの人々から見られているという事実が、更に羞恥心を増幅させた。
「……というか今思ったのだけれど、これ、完全に逆よね、立場」
「まぁ、藍奈だからなぁ」
なんですかその言い方は怒りますy
「藍奈」
「ひゃ、ひゃい!」
恥ずかしさで、思わず返事が裏返る。
それを聞いたマーガトロイドさんは、頬を緩めた。明らかに、先ほどまでの緊張が薄くなっていた。
僕の方はもちろん薄くなんてなっておらず、逆に増したくらいだ。
改めて、僕はマーガトロイドさんの顔を見た。
どこまでも綺麗な青色の目をしていた。僕はその目を見て、なぜか少しだけ、緊張がほぐれた気がした。
緊張を押し殺して、耳を傾ける。これは僕だけが感じていることじゃないと、そう考えるともっと、心が楽になった気がした。
「……藍奈」
「……は、はい」
僕が返事をすると、マーガトロイドさんは微笑みを浮かべた。
そして、ゆっくりと、言葉を紡ぎ出す。
「私は、あなたを初めて見た時、奇麗な容姿をしているなと思ったの。そして、話してみて。あなたが、とってもいい人だってわかって、少しの間関わっただけでも、惹かれていっちゃったの。……だから、私は、あなたのことが好き。大好き。……だから、私と付き合ってくれませんか?」
頭が真っ白になる感覚がした。
恥ずかしいという言葉すら出てこなくなった。
……でも、返事をしないといけないから、僕は、一言だけ。小さく、こう言った。
「……こ、こちらこそ、よろしくお願いします」
と。
次の瞬間、僕の意識は糸が切れたように、どこかへと飛んでいってしまった。
遠のく意識の中で、マーガトロイドさんの呻く声が聞こえた気がした。
余談だが、その後、僕はそれからの人々の対応を聞いて、恥ずかしくなりまた頭が真っ白になった。
なんですかアイアリって? そんなん作らないで下さい!!! ……まじで、本当にお願いします、本当、恥ずかしいとかいう域超えてるんで……。
因みにあの王様ゲームの後、マーガトロイドさんと会って、最初に交わした会話は呼び方についてだった。『私のことはアリスって呼んでね』とのこと。
はっきり言って死にそうになりました、心が。
……美男美女多すぎですよ、この世界……。(と、男の娘が申しております)(漢字全く違いますよ!!(by藍奈(男)))
どうも皆さんこんにちは! 学校がマジで受験シーズンに入ろうとしているASADEです!
いや、今回はそんなことはどうでもいいんですよ!
取り敢えず、いつもこのこの『東方救嬢期』を読んでいただき、本当にありがとうございます。
読者様方のおかげで、ここまで投稿を続けることができました。いいねなどがなければ、もう投稿していなかったかもしれません。本当に、ありがとうございます。
改めて、晴れてこの度この物語が1周年を突破しました。本当に嬉しいです。
定例分になってることは気にしないでください。
長々と書くのも、今回ばかりはちょっとよそうかなと思ってますので、ここいらでもう終わりにします。
今後とも、この物語を、よろしくお願いいたします。
最後にちょっと欲望を吐露します
感想くださいいいねください楽しんでください。
それじゃあ、今回はこの辺で。
これからも、私の物語が少しでも励みになることみになることを願っています。
それでは皆さん、さらダバー!!




