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東方救嬢期 〜男の娘の幻想入り〜  作者: ASADE
プロローグ ~otokonokoの幻想入り~
2/49

プロローグ 〜僕の幻想入りまで〜 後編

こんにちは!ASADEです!

なんとな〜く2日連続(今回で2回目)投稿しました。

よかったら読んでいってください。

side ???

 つい先ほど、私達はこの子に最初から存在を知られていたということを知った。

 本人の口からだったけど、真実かどうかは定かでわなく、信じ難かった。

 いや、信じたくなかった。

 だが、そのことが紛れもない真実だと、そう言えるような理由が、そんな言葉や行動が、この子の口から紡がれ、示された。

 ……それは、この子が私達がみるようになった時期を言い当てたことだ。

 だが、それだけならば、ただただ適当に言ったことが偶然合っていただけだと、そう、私達は思っていたことだろう(それだけでも、最早偶然の域を超えていると思うのだけど)。

 だけれど、そんな考えはこの子の行動で間違いだと証明された。

 その行動とは、この子は私たちを夕食に誘うときに、食事を2つ用意したことだ。

 その行動は、この子が、2つの視線を感じていたことに繋がり、この子の言ったことが、偶然や虚言などのものではないということを表していた。

 ……はっきり言ってしまうと、この子のことは私達には殆どわからない。

 普段なら、こちらに誘う子のことに関しての情報は、概ね把握するようにしているのだけれど、この子のことに関してだけは、情報が雀の涙ほどしかなかった。

 いや、もしかするとそれ以下かもしれない。

 そう。それは『しなかった』のではなく、『できなかった』のだ。

 初めてだった。こんなことが起きうるなんて、夢にも思わなかった。

 まぁ、初めてなのも無理ない筈。

 こちらでは、大体戸籍を覗くか、それが面倒な時はその子自身を覗けば、その子の過去など、どういう子なのか、そういった情報は粗方手に入るのだ。(あちらの世界でもそうなのだけれど)

 だから、情報収集がとても楽。

 いつも通りだったのなら、こちらに誘うと決めた子に関しての情報を素早く手に入れ、迅速にその子をこちらの世界へと誘うのが、それがいつも通り。

 これが一連の、いつも通りの流れ。

 それが私が、私達がこちらの世界から人間をこちらに……もとい”私達の世界“に誘うときの、いつも通りの流れ。

 私達の”常識”なのだ。

 ……だが、この子は、この子に関してだけは、その私の、私達の中の”常識”が、全く通用しなかった。何故ならば、この子は、こちらの世界に”存在していない”から。正確に言うと”存在が知られていない”からだ。

 それは、戸籍が存在しないと言うことを表していて、いくら戸籍を探っても無駄だと言うことを示していた。

 それを理解したとき、私はこの、私だけの能力……”境界を操る程度の能力”を使い、この子の中を覗いた。

 ……だが……

 結果は……不発だった。

 意味がわからなかった。私の能力は境界を操り、どこにでも行けるし、なんでも覗けるし、なんでも操ることができる。

 私の能力は汎用性がずば抜けて、頭何個分も抜けて高いのだ。

 その気になれば、いつでも人妖、もしかすると神でも簡単に葬り去れるほどの力を持っている。

 これは自意識過剰などではなく、全て事実のこと。

 なのに、それなのに、この子は、この子だけは、いくらやっても、繰り返したとしても、覗けなかった。殆ど、何もわからなかった。

 全て不発に終わった。

 これこそあり得ないと、私は思った。

 戸籍がないことも言葉じゃ収まり切らないほどおかしいのだが、私の能力が通じないことの方がよっぽどおかしい。

 腐っても私は大妖怪。たかが十数年生きた人間程度に、私の能力が通じないはずないのだ。

 私の能力が、破れるはずがないのだ。

 だが、そうだとしても、事実は、現実は、何も変わらない。

 この時、私は大昔に忘れてしまったと思っていたはずの、今まで、もう感じることのないと思っていた感覚……幾千の、幾万の修羅場を乗り越えて来たときでさえ数を重ねるにつれて感じることがなくなってきた感情……『恐怖』を覚えた。

 この子には、直感的に、私では太刀打ちできない程の力を持っていると感じた。

 私も“博麗の巫女”ほどではないないものの、私の直感もそれなりに当たる。

 霊力でも、妖力でも、魔力でもない。ましては神力でもない。

 この子にある力は、いわばこの力全てが存在していない。……否、全てが”存在している”ようなもの。そんな力。

 だから、判別ができない。

 相反するはずの力が混ざり合い、相殺し合い、力そのものは感じさせず、何もないと思わせてしまうような。

 だが、確実にそこに、それは存在している、そんな力。

 これは、いわば気迫だけで、全てを感じさせるような、悟らせてしまうような、そんな、圧倒的な強さ。

 言葉で表せられるほど、言ってしまえばちゃちな力ではない。

 たかが十数年生きただけの、否、たかが十数年生きただけの人間に、

 だが、何もかもが分からなかったわけではない。

 殆どわからないのは事実だが、”殆ど”わからないだけだ。

 そしてわかったことの中で、最も重要なこと。それは……この子の、能力だ。

 まぁ、まだ私がこの子がどんな能力か、完全に解明できていない為、ああは言っても、本当にそのような能力なのかは危ういが……

 この子のナカは、いわば光。いや、もう比喩表現などではなく、本物の、何処までも優しく、慈愛に満ち満ちた、強過ぎる光。

 私がこの子を境界で覗いたとき、殆ど何もわからなかった原因の一つは、その光だ。

 何故だかは全くもってわからないが、この子の中には光がある。心の中に光があることは多々あるが、今回覗いたのは心ではなく体だ。なのに、光があった。

 この私でさえ、能力だけを断片的にしか判別できない程の、強い光。

 だけど、その中でもこの子の能力はなんとか判別できた。

 だけど……“私には信じられなかった”。

 ……

 ……そんな、全てが不明な、そんなこの子に、私は興味を惹かれた。面白いとも思った。

 それに、こちらに存在していないのだから、面倒も減っていいと思った。それだけ。

 私は、心の中で今の状況と、今の心情を、この子に向けての気持ちを整理して、今一度、私は……

 この子をこちらへと、私たちの世界へと、誘うと決めた。(というかこの子の言葉一つ一つに圧が込められている気がするのは気のせいかしら?)

 ……後一つだけ……。

 この子って、本当に…………

 



side ???

 あれから、少しの間、僕たちは雑談に花を咲かせていた。そのとき、お互いに自己紹介をしていないことに気がつき(何で今まで気づかなかったんだろ?+気が付いたの僕じゃない)、流れで自己紹介をされた。

 あと、結論から言いますと、お二方の情報が濃すぎて自分の自己紹介忘れました。

 ……凄い、申し訳ない……

 まず、大きな赤いリボンのついた帽子を被っている人?は、『八雲紫』という名前らしい。

 そしてもう1人の九尾の尻尾がついた方が『八雲藍』という名前らしい。なんか名前に引っかかるものがあった気がするが、気のせいだろう。

 そしてもう一つ。八雲藍さんは八雲紫さんの式神らしい。

 しかもお二人とも種族は人間ではなく妖怪だそうだ。

 それにまたも加えて、八雲紫さんは妖怪の賢者という立ち位置の方らしい。

 それを聞かされたとき、これまでのことと合わせて、脳が理解を拒否した(←遅くない?)。

 ……僕、変なこと言ってないよね?なんか変なところで不安になってきた。

 やばいやばい感性がずれ始めてる気がする……

 ま〜いっか。(よくないしこういうところ(思考放棄))そんなことを考えていたら、顔に出ていたらしくお二方に笑われてしまった。

 いやこれが普通の反応だと思いますよ?

 ……とりあえず、何故今回僕をつけていたのか聞いてみることにしよう。(そういえば今回呼んだ理由それでしたね)

 まぁ多分勧誘とか誘拐とか抹殺とかその辺りだろう。(後妖怪だって聞いて可能性として一つ頭をよぎったこととして食べられるということ。というか勧誘と抹殺と抹殺は比べ物にならないほど違うよ?)

 何故そう思ったか、それはお二方が妖怪だということと、八雲紫さんがその妖怪の賢者という立場の方ということ。

 そして、その式神の八雲藍さんがいることから、そう思ったのだ。

 僕が考えたことをもう少し詳しくいうと、妖怪、それも賢者という立場の方が、僕に絞って、何週間か前からずっと見ていた。

 それは僕は何らかの方面で必要としているからだと考えられる

 まず前提として、ここ……現世には存在しない筈の妖怪がいる。

 そのことから、別の空間、あるいは別の世界から来たという推測がたてられる。

 だが、そんなことはアニメやゲームの中だけの話で、実際にはそんなものはない筈。

 だから、この考えは何もないままだったとしたらただの空想、空論になるだけだっただろう。

 ……あの『裂け目』を見るまでは、そっちの方が可能性は大きかった。

 だが、あれを見てからであれば、あながちこの推測は間違っていないかもしれないという考えが頭をよぎってくる。

 厨二病と言われてしまうかもしれない。だが、あれを見てしまってからだとこういう考えになるのも無理はないと思いたい。(いやまぁ見られ始めてから何日かたってこの考えに行き着いたから何も言い訳できないんですけどね)

 また、あの裂け目から出て来たということは、あれである程度自由に移動できるのだろう。

 でなければ僕をあんな長時間、しかも移動しているときもずっと見ることなんてできないと思うし、何よりも、あの何もないところからいきなり出現したことが、何よりの証拠だと思う。

 ……言葉選びが上手くいかないよう……(泣)

 というか考えながら思ったけどもし僕のことをつけていた理由が僕を殺すためだったらもっと早く殺してるよね。普通。

 ならばこの考えは消していいのでは……?(というか消させてくださいお願いします)

 うんまぁ……取り敢えず最初に言いたいことは……語彙力をください(切実)。

 ……まぁ良いや(思考放棄+諦め)。

 そうして、こんなことを考えている間も雑談は続き、ひと段落ついたと同時に、僕は、少し息を吐いた後、少しだけ空気を変えて、問い始めた。

 何故僕のことをつけていたのかを、その理由を、本人達の口から、聞く為に。

「それでは……そろそろ本題へ移りましょうか。」

 その瞬間。この場の空気が張り詰めた。

 次に何秒かの沈黙。先に言い出したのはこっちだけど、はっきり言って、どういう風に話を切り出していいのかわからない。

 ……ほんとにどしたらいいのこれ?教えて全国の田端さん!

 ……まぁ普通に無難なやつでいっか(というか空気が張り詰めたとか言ったけど全然そんな感じしないね)。

 ……こんな話の無難な切り出し方ってなんだろ?

 ……うん。もう直球でいいや(思考放棄)。

 そんなこんな?で考え(笑)が出たところで、僕は口を開いた。

「それではもうなんか考えるのがめんどいのと作者の都合上単刀直入に言います。」

 そこまで言ったところでお二人に同時に「メタイからやめようね?」と言われた。

 ……あれ?今僕なんて言った?メタイこと言った?……まずメタイってなんだろ?お二方も自分がどういう意図であれを言ったのかわからないって感じの表情してる……

 ……まぁ、気にしないでいっか。

 そう考えた僕はお二人の言葉をいなして、話を続けた。

「……貴女方は、何故僕のことをつけていたのですか?」

 少しだけ力を入れ過ぎた言葉を、お二方に投げる。

 その言葉を聞いたお二方が、少し汗をかいているのがわかった。

 やってしまっただろうか?いや、ずっと見られていたのだし、これくらいの圧をかけても大丈夫……な筈。まぁお二方もそれなりの立場の方らしいし、それでももしあれだったら後で謝ろう。うん。

 そんなこととも言えないようなことを考えながら、お二方の言葉を待つ。

 そしてまた沈黙が訪れる。僕にとってはそれほどの長さの沈黙だったが、お二方の表情から、この沈黙の感じ方がまるで違うということが見て取れる。そうして、こっちの体感20秒ほど経った時、八雲紫さんが、口を開いた。……多分これ圧かけ過ぎたね……後で謝ることが確定した瞬間ですねこれは。

 そんなこととはいえないことを考えながら、お二方の言葉に耳を傾ける。

「……私たちがここにきた、あなたを覗いていた理由。それを単刀直入に言うと、あなたを、私たちの世界……」

紫さんは躊躇うように一拍置いて、告げた。その、理由を。……待ってマジで怖がられてんじゃん。謝るだけじゃなくて土下座しないと許されないやつじゃんこれ。……スライディング土下座まで行くかな?これ。

「忘れ去られた者達の最後の楽園……幻想郷へと誘う為よ。……ま、招待って名目だけれど、強制だから。」

 ……取り敢えずなんか予想というか推測が合っていたっていうことは取り敢えず置いといて……強制ってマ?(触れるべきところが他にもある気がする)

 いやまぁ別にいいんだけどね?別れを告げるような人僕にはもういないしそこはいいんですけど……でもいきなり過ぎないですかね?準備とかできなくない?

 ……あれ?なんで僕は今からだって決めつけてるんだろ?そうだよね。まぁ流石に準備期間くらいくれるよね。……くれるよね?まぁ聞いてみないとわからないか。

「わかりました。行きます。それで準備期間っていつまでですか?というまずそういう期間ってありますか?」 

 そのさらりとした返答が予想外だったのか、紫さんが少し目を開いて、藍さんが一瞬動きを止めた。だが、すぐにそれも元に戻り、紫さんが「そう。送るときに暴れられても困るし、そう言ってもらえるとこちらとしても楽だわ。」

 ……八雲紫さん。繕えてないですよ。無理矢理嘯いているのバレバレですよ。(これ失礼じゃない?)

 紫さんは「でも」と付け足して、そのまま続けた。

「別れの挨拶とか、そういうのはしなくていいの?それともその準備期間?の中で全て済ますの?(まぁ普通に考えてそうなのだけれど)」

「ゆ、紫様が……キャラ崩壊を起こしている……だと……?(今考えてみれば今更だな……)」

ちょっと藍さん?もっと別言い方あったよね?だめですよそういうこと言っちゃ。というかキャラ崩壊の意味違う気がするのは僕だけですかそうですか。

 心の中でそう突っ込んではいるものの

 実を言うと僕もそう思ってました☆

 なんでだろうね。

 この方々と会って間もないのに、どうしてだろうね。うん。本当に、どうしてだろうね。まぁ取り敢えず紫さんの質問に答えないと。

 ……なんて返されるか予想できないな〜

 あ、因みにこれを言った藍さんと心の中でそう思った僕は漏れなく睨まれました。

 はっきり言っちゃうと怖かったです。

 美人な方の睨みは怖いですね。はい。

「あぁ。それなら大丈夫ですよ。だって僕、そういう人居ませんもん。」

「「……あぁそういうこと(なのか)」」

 あ、まさかのそれだけですかそうですか。いやまぁ別にいいんだけどね。気になっただけだし。……お二方の憐れみの視線が痛いです(泣)。

「……ま、まぁ取り敢えず、そういうことなら準備期間(という名の猶予)は最低で今から、最長2日で大丈夫かしら?」

 ……まさかそんなに時間くれるとは思ってなかった。普通に30分後とか言われそうで少しビクビクしていた自分がなんだったのだろうか……まぁ僕の知り合いの人は平気で『場所移すから30秒で支度整えて下さいね〜』とか平然と言ってそれを有言実行してくるような人だったからね。しかたないよね(多分)。

 というかそういう知り合いしかいなかったからね(←異常)。

 ん?さっき友人がいないと言ったのはなんだったのか?いや、僕は友人がいないと言っただけであって知り合いが1人もいないとは一言も言ってないよ?

「はい。それで大丈夫です。……というか、逆にそちらは大丈夫なのでしょうか?そんな時間を与えて、僕が誰かにこのことを言うかもしれないのに」

「それもそうね。なら今すぐにでも……」

「スミマセンナンデモアリマセンソレデダイジョウブデスアリガトウゴザイマシタ。」

 ……何でお礼言ったんだろうな〜。

 うぅん……3分の謎(何故3分?)。

 まぁそんなことは霊長類最強のあの方にバットで地平線の彼方まで飛ばしてもらって(完全オーバーキル)、取り敢えず状況確認を(何で?)……。

 ……あ、もう夕食食べ終えてる。何故さっきまで気づかなかったのか。まぁ取り敢えず片付けましょかね。

 会話が楽しかったからですね。仕方ないですね。(自己完結)

 そうんなことを考えながら、合掌を促して、3人で合掌をして、使ったものを集めて、それらを持って台所に立った。そのとき、僕が予想だにしなかったセリフを、藍さんが紡いだ。(大袈裟(大袈裟じゃないんだよな〜これが))

「私にも手伝わせてくれないだろうか?流石にご馳走になるだけではいかがなものかと思うのでな。」

 僕はそれを聞いた瞬間、一瞬固まってしまい手に持ってたものを落としそうになった。実際にお箸を落としてしまった。だが、そのくらい驚いたのだ。

 だって今まで知り合いに料理を振る舞ったことは何度かあったが、頼んでも後片付けも準備も何も手伝ってくれなかったのだ。

 それが僕の常識だった。だが、この八雲藍さんという方は頼んでも頼んでも手伝ってくれなかったあの人達とは相反する存在で、自分から申し出てくれたのだ。

 存在って流石に大きすぎる気がするし、日本語がおかしい気もするが、それくらい驚いているのだ。

 この上ないほどに失礼だけれど、許して欲しい。

 だって今まででそんなことを言われたのは初めてなのだ。

 今この瞬間、僕は八雲藍さんのことが女神に見えた(いやまぁそう言われるだけの容姿を持っているんですけどね)。

 だから、一瞬。返事をするのが遅れてしまった。その為か、藍さんは微笑んでいるが、その表情から不安が滲み出ている。

 でも、冷静になって考えてみればこの方はお客人。手伝わせるわけにはいかない。

「……い、いえ。そう言うわけにはいきません。八雲藍さん、八雲紫さん含めお客人です。そんな方に片付けを手伝わせるわけにはいきませんので、気持ちだけでも有り難く頂かせてもらいますね。」

 少しだけ言葉を詰まらせながら、僕がそう言うと、八雲藍さんは微笑みを浮かべて、「そうか。」とだけ言った。

 ……普通に申し訳ないことした実感聞かないんですがあの……。

 ……すみませんでした。(声には出さないけど)

 僕は八雲藍さんに向けての罪悪感をヒシヒシと感じながら、洗い物を進めた。

 その時もお二方とお喋りしたりして、楽しかったです。

 たまにお二人が赤くなってた気がした気がするけど……どうしたんだろう?

 風邪でもひいちゃったとのかな……?

 お大事に。

 


 あれから、2日の時が過ぎた。

 その2日間は学校には行かずに準備を進めていた。

 いやまぁ最低でも5分あれば終わるんですけどね。準備。(今も荷物は持ってるけど手品でポンして見えなくしました。)

 まぁ時間があるのに越したことはないよね。うんうん。

 僕が例の場所……幻想郷に持っていくものは、普通に衣服とか、お金とか、生活必需品だけ。

 だからあんな時間ははっきり言って必要なかったのだけれど……ゆっくりする為に、あの方のご厚意に甘えさせてもらった。

 疲れてたからね。主にあの視線の所為で。

 だって長い時間ずっと覗かれてたんだよ? それに気づいてなかったのならまだよかったのかもしれないけど、生憎と気付いてたからね。

 休める時間がないみたいのものだよね。

 まぁ別にそんなに言うほど気にしてないけど。

 そんなことを考えながら最終確認を進めていく。

 荷物の確認をしてから、ふっと息を吐き、窓のに目を向ける。

 すると、満開の桜と、桜の花びらがヒラヒラと舞っているのが見えた。

 僕はそっと立ち上がり、窓の方に歩を進め、窓を開けて、縁側にゆっくりと腰を下ろして、また満開の桜に視線を合わせた。

 この景色を見るのも、今日が最後。

 そう考えると、何か感慨深いものがある。

 いつも見ていたこの景色がもう見れなくなってしまって、新たな景色を、新たにいつもの景色として刻んでいく。

 ……なんて、可笑しな言い方をしてみたけれど、やっぱり僕には似合わないなと思った。

 自分でそう思うあたり何かはわからないけれどもう手遅れな気がします。

 まぁ、いいや。

 今は、最後に見るこの景色を楽しもう。

 ……僕の直感が、もうここには”殆ど”戻ってこれないと、そう言っているから。

 そんなことを考えながら、今までより妖麗に映る桜を眺めていると、バッ!と、突然桜が舞い上がった。

 その時、僕は見た。

 背は平均的で、髪は綺麗な首ほどまでの長さの金髪で、肌は一度も陽の下に立ったことがないのではと思ってしまうほど白く、麦わら帽子を被り、真っ白なワンピースを着ている女性が、こちらに人差し指を向けて、何かを呟いているのを。

 顔は帽子で隠れていて見えなかった。

 声も聞こえなかった。

 だけど、僕には鮮明に、その人がどんな 顔つきなのか、どんな声なのか、なんでそんな服を着ているのか、どんなことを言っていたのか。……その全てが、鮮明にわかってしまって。

 また、自分に向けての感情が募っていく。

 次の瞬間。また、桜が舞った。

 だけど、さっきとは比べ物にならないほど桜の量は多くて、思わず目を塞いでしまうほどで、僕の視界は奪われた。

 次に視界が晴れる時には、もうその女性はいなかった。

 ……

 “出会った頃”のあの姿はもう見れないのかなぁ……また見たいなぁ……。

 ………………………

 ……どれだけ僕は……否、”私”は、“幻想を描き続ければ” 気が済むのだろうか?

 それ以前に、”私”は、幻想を描き続けることを止めることができるのだろうか?

 ……その答えは、いつまで経っても出ていない。

 いつまで経っても、出てきてくれない。

 ……あの人に、もう一度だけ、後もう一度だけでいいから、会えるのならば……もしかしたら、何か変わるのかもしれない。

 いや、“変わるのかも”しれないじゃなくて、“変えないと”ダメなんだ。

 “あなたが”私を裏切って、私がどん底に落ちたあの時だって、“私”はあなたを恨んでなんていなかったから。

 憎んでなんて、いなかったから。

 だから“私”は、“あなた”を待ち続けるよ。

 いや、探し続けるよ。

 “あなた”の優しさで何処かに消えてしまった、そんな“あなた”を。

 “私が”……救う、その為に。

 “私”が“あなた”を救わなければ、救えなければ。“私達”の望んでいた“Happy End”は、訪れないから。

 ……“あなたの願い”が、叶わないから。

 叶え、られないから。

 そかまで考えたと同時に、後ろから気配を感じた。

 もう、そんな時間なのか。と、そう思わずにはいられなかった。

 時の流れはいつも移り変わり、流れていく。

 それはそう、河の流れのように。

 だけど、その流れに逆らう者は、逆らうことができる者は、存在しない。

 もしも存在するのだとしたら、それは何かしらの、人知を超えた、否、超えてしまったモノを持つ者だけだ。

 ……そんな、“意味のないこと”を考えながら振り向いて、開口一番、こう言った。

「僕はもう準備はできています。……だから、大丈夫です。さぁ、行きましょう。あなたたちの世界……幻想郷へ。」

 と、“決意”を胸に抱きながら、そう言った。

「えぇ。もうやることは済ませたようだし、いきましょうか。私たちの世界に。忘れ去られたものたちの最後の楽園……“幻想郷”に。」

 そう言ったと同時に、例の裂け目が目の前に現れた。

 僕は、その場で何回か小さく深呼吸をしてから、その裂け目の中に入っていった。

 僕の決意の中には、不安と、好奇心と、希望と……『  』があったのだった。


 その中に入ると、辺りの景色は……うん。予想通りだった。

 この空間の中終わりがなさそうな気がする。

 目玉いっぱいでちょっと怖いな〜

 まぁ別に気にしないけど。

 そんなことを考えながら、もうそろそろ現実を見ようかと考える。

 ……なんで僕は八雲家の方々とお茶を飲みながら雑談しているんですかね?

 あれ、さっきの決意うんだらこうたらみたいなやつ考えてからの直ぐにこれってひどくないですか?

 めっちゃ恥ずかしいんですがあの

 ……まぁ、楽しいから、もういいや(思考放棄)。

 まぁもうそろそろあの藍さんの隣にちょこんと座っていて猫の耳と尻尾をつけた方のことについて触れましょうか。(ちなみに何故いきなり八雲をつけなくなったのかというと、八くm……紫さんと藍さんに名前で呼んでいいと言われたからですね。はい。……ソ、ソレダケデスヨ。ボクハホントウニユカリサンカラムゴンノアツヲウケタカラトカデハダンジテナイデスヨ。HAHAHAHAHA)

 なんか見た感じだと藍さんが猫耳(+尻尾)の子を溺愛してそう。

「あ、あの……藍さんの隣にいる子って……?」

 そう聞くと藍さんが「あぁ、そういえば紹介がまだだったな。」と言ってから猫耳&尻尾の子の方に視線を向けて紹介を促した。

 するとその子は「はい!わかりました!」と、元気強く言ってからこちらに視線を向けて、紹介を始めた。

「はじめまして!私は橙だよ!よろしくね!人間さん!」

 この橙というこの第一印象は言わずもがな、元気いっぱいな子ですねはい。

 あれ?この子、もしかして……

「はい。よろしくお願いします。……ところで、つかぬことをお聞きしますが、橙さんって、もしかして……“化け猫”ですか?」

「そうだよ!それで私は藍しゃまの式なんだ〜」

 笑顔でそういう橙さんを横目に、なんとはなしに藍さんをに見た。

 すると、なんというか……凄い和んでいた。

 紫さんも和んでいるようだけれど、藍さん程ではない。

 だって凄い顔が心配になる程緩んでるもん。紫さんは微笑みを浮かべてるけど、藍さんはもうこれでもかというくらい顔が緩んでるんだもん。へにゃってるんだもん(語彙力)。

 まぁ、そういう僕も微笑んでるですけどね。

 だってなんとなく和むんだもん。仕方ないよね。

 そんなことを考えながらも、談笑は続いていった。

 不意に、橙ちゃん(この呼び名にした理由は、本人からさん付けはやだと言われたからです。呼び捨てもあれだったからね。)が「そういえば聞いてなかったけど、人間さんの名前はなんていうの?」

 と、そう言ってきた。

 チラッとお二方の方を見ると、確かにと言った感じの表情をしていた。

 ……あれ?僕、自己紹介してないっけ?

 ……はΣ(・□・;)

 自己紹介を……した記憶が……ない……!

 めっちゃ失礼じゃないですかやだ〜

 ……

 ……

 ……すみませんでした!!(声には出さないけど(←何故なのでしょうか?))

「そういえばそうでしたね。すみませんでした。今になって思うと凄い失礼でしたね。」

 結局謝った。

 というか本当にそうだよ……なんで忘れてたんだろう?

 色々ありすぎたせいかな……いやまぁ普通にそんなことないって分かってますけどね本当に申し訳ございませんでした。

 後ろめたい気持ちが顔に出てしまっているかもしれない。

 本当はどうなのかわからないけど。

 そんなことを考えていたら、紫さんが

「いえ、そのぐらいなら大丈夫よ。まぁしないというのはなしだけれどね。」

 と、そんな言葉をかけてきてくれた。

 ……や、優しさが心に染みますぅ〜……

 こんな僕にもこんな優しく接してくれるなんて……本当に優しいなぁ……。

「それでは改めて自己紹介をさせていただきます。」

 謝罪の意を込めて、姿勢を正して、できるだけ丁寧に前置きをしてから、始めようとした。

 次の瞬間。僕は浮遊感を感じた。

 何故だろうか。僕は今お三方とちゃぶ台を挟んで向かい合いながら正座をしているし、何もそんなものを感じるようなことはしていないのにもかかわらず、だ。

 そう考えながら、表情が全員固まったまま、皆さんが視線を向けている方……下を向いた。

 すると、そこには例の裂け目が開いていた。

 ……なんで?

 可能性あるとすれば……これはあくまでも憶測なのだけれど、この空間は紫さんのものなのだと思う。

 まぁ紫さんが腕をシュッ!て振り下ろしたらこの空間に繋がる裂け目が出てきてたからね。

 だから多分間違っていないはず

 だから、紫さんがこの空間を自由自在に操れてもおかしくない。というか、そうじゃないとおかしいと思う。

 それはこの空間の何処に例の裂け目(紫さんがなんかスキマって言っていた気がするけれど気にしない)を出現させるとかも例外ではないのだろう。

 人意でできるのだと思う。

 だから、この裂け目は紫さんがわざと開いたという線もある……?

 ……いやこれは多分ないですね。だって表情がピクリとも動いてないんだもん。

 全員同じ表情して止まってるもん。

 ちなみにこの思考に至るまで約0.02秒

 人間ってこんなことができるんだね!!

 凄い!!

 まぁこの短時間ともいえないような時間で表情変える方が難しいと思うけどね。

 ……と、とりあえず落ちる前に何か言わないと

「え、えっと……お喋り楽しかったです。さようなら?」

 あ、待ってお礼言うの忘れた。

 そう考えるが早いか、僕の体は重力に従って落ちていった。

 あ、お三方が何か言ってるっぽい。

 まぁ風の音で聞こえないんですけどね。

 とりあえずここでお礼言っておきましょうか。

「あ、ありがとうございました〜!」

 これ絶対聞こえてない奴ですねはい。

 だってまだアワアワしてるもん。

 まだってほど時間経ってないけど

 まぁいいんだけどね(←100%よくないよ?(色んな方面で))

 そんなことを考えながら、僕は空に羽ばたいた。(謎)


どうもこんにちは。ASADEです。

今回は2日連続投稿でしたが、本当に不定期なので、何週間か、何ヶ月か出ないことがあるかもしれませんが、ご了承をお願いします。

この話で楽しんで頂けたのならば幸いですし、これからも楽しんで頂けらように頑張ります。

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