第16話 紅魔館職場体験(?)
どうも皆さんこんにちは!本当に前回言ったことをやってのけたASADEです!
いやぁ……ほんとにこうなるとは……まぁ事前に宣言してたし、多分大丈夫……ですよね?
まぁ言い訳は後書きの方でするので、前書きはこの辺で。
そんな訳で、良かったら読んでいって下さい♪
あれから時は流れ、今は夜。深夜と言っても差し支えない時間になってからのことだった。
外から、草を踏み締める音が聞こえた。
僕はそれが聞こえたと同時に、反射的に窓の方へ視線を向けていた。
……するとそこには、薄く緑がかった癖のある灰色のセミロングに、頭に鴉羽色の帽子を被っている(その帽子には薄い黄色のリボンをつけられており、結び目は左前辺り)少女が、ポツリと空を……月を眺めて、佇んでいた。
その少女を見て、そこはかとない既視感を感じた。
それに加えてなぜか、その少女を見ているといても立ってもいられなくなってしまった。
だから僕は、外に出た。
外に出る途中にわかったことだが、他の人々は皆もう眠りについているようだった。
まぁ今は関係ないんですけどね。
そんなことを考えながら、何度見ても(いうほど見てない)見慣れないフロントから外に出て、先ほどの場所へと移動した。
そこには、まだあの少女がいた。
少し安心した。いやまぁ1人の女の子がこんな時間に外にいるほうがダメなんだけどね。
そう思うと安心できる要素ありませんね。
そうこう考えていたその時も、その少女はジッと、空を眺めていた。
だがその月はもう、叢雲に覆われてしまう。
叢雲が月を食べる瞬間、風が吹いた。
僕はあまり感じなかったが、それはたなびく花々が花びらを散らす程度には強かったらしい。
その少女も例外であるはずがなく、その風が吹いたと同時に帽子の鍔をつかんで、だけどあれからは目を背けずに、そのまま風が吹き終わるまで待っていた。
……自分が、その光景を。とても幻想的に思ってしまった理由は、わからなかった。
風が吹き終わると、不意にあの叢雲の空の隙間から、月光が差し込んだ。
その月光は、彼女を照らす。
その時に見えたその少女の表情は、悲しみに染まりすぎていて、だけどどこまでも無表情で、その緑色の水晶のような吸い込まれてしまいそうな瞳には、何も映ってはいなかった。
だけど……いや、だからこそ。僕はその瞳に吸い込まれてしまったかのように、目を背けることができなくなっていた。
そして、この時も。そんな考えを深めていくにつれて、既視感はとどまることを知らないかのようにどんどんと大きくなっていく。
……“私は知らない”。その筈なのに。
瞬間。背後から物音がした気がした。
だから僕はまたも、反射的に後ろへと振り向く。
……だけど、そこには誰もいなくて、何もなくて。だから“私”は、もう一度あちらに視線を向けた。
……そこには、だれもいなかった。まるで、最初から人などいなかったかのように、花々は地面で微風に靡いていた。
そこまで来て、ようやく“僕”は理解した。
———“僕”はもう、“私”にはなれないのだと———。
……“弱くて強い自分”には……“私”には。もう、なれないのだと。
朝になった。今は大体4時くらいだろうか?多分そのくらいだと思う。
……朝じゃなくて多分早朝の方があってますね。これ。
そんなことを考えながら、僕は使っていた布団を静かに片付けていき、その他諸々の準備を済ませてから、部屋を出た。
部屋を出ると、まだ誰も起きていないようで物音1つしていなかった。
僕はそれを確認してから、もう1度、あの場所へと足を向けた。
昨夜あの少女がいた、あの場所に。
……何もないことは、誰もいないことはわかってる。……だけど何故か、行かなければならない気がした。
だから僕はあの場所へと、静かに足を進める。
あの場所に着いた。ゆっくりと辺りを見回す。だけどもちろん、昨日の夜との違いは何も見受けられなかった。
僕はそれを見て、静かに息を吐きながら小さく目を瞑って、俯いた。
因みに多分起きてからここに来るまで1時間くらいかかりました。早く起きたの意味ありませんでしたね(泣)
あんまり悲しくないけど。
……
完全にいらない情報ですね。
何秒たったのだろうか。そんなどうでもいいことを考えながら、僕は俯いた状態のまま、目を開いた。
……するとそこには、白色と紫色のアネモネが置かれていた。
僕は屈んで、そっと優しく拾い上げる。
その花は、綺麗な形をしていた。
……だが、次の瞬間。一際強い風が吹いた。
花が強く煽られているのを感じる。
咄嗟に目を腕で隠し、2本の花を風に当たらないようにしたつもりだったが、遅かった。
花びらが舞った。まるで、空を舞う美しき鳥のように。連れていかれる子のように。一直線に、迷いなく。
僕は気がついたら、それらを追いかけていた。
“花びらを失ってはならない”。反射的に、そう思ったからだと思う。
……だけど、その花びらは僕から……“私”から逃げるように空を舞い、最後には下からの風により天高く飛び上がり、薄い月明かりが照らす瞑色の空の中に溶け込んでいくように消えてしまった。
その瞬間、“私”は脱力をしてしまい、地面に崩れるように落ちてしまう。
それに伴うように、ポロポロと涙もこぼれてきた。
考えを巡らせるが、何もわからない。
なぜこんな風に涙を流しているのか?
なぜこんな風に、罪悪感を感じているのか?
なぜこんな風に、底の見えない悲しみを感じているのか?
……それを、“私”が“僕”にわからせてくれない。
これが……僕がもう、私に戻れない理由の1つだった。
そう考えたと同時に、口からは謝罪の言葉が溢れる。
無意識に溢れたその言葉は、止まることを知らないかのようにどんどんと連ねられていった。
まだ、溢れた言葉は止まらない。止めようとしても、止められない。
沸々と湧いてきた底の知れない感情を心の中で必死に押さえ込みながら、このときの僕は延々と、そんなことを考えていた。
数分後、僕は少しずつ、落ち着きを取り戻してきていた。
その証拠に、先ほどまで小刻みに震えてしまっていた体も、今では完全とはいかないにしろ、止まっている。
そして最後に、大きく深呼吸をした。
……よし。心の中でそう呟くと、僕は振り返り、紅魔館への帰路を辿った。
———“1つの決意”を、胸にして———。
紺碧に輝いていたこの時の空には、雲1つない晴天だった。
紅魔館の扉を音を立てないようにそっと開くと、掃除をしていたであろう咲夜がこちらを向き少し驚いた表情を浮かべた後、すぐ微笑みに変えてこちらに言葉を投げかけてきた。
「おはよう。藍奈」
「うん、おはよう。咲夜。こんなに早くから掃除してるんだ……いつもなの?」
「えぇ、勿論。」
「へぇ……凄いね」
もちろんなんだ……と、そこに少々驚きつつも、そんな言葉を吐いた。
「それじゃあ、でいいのかな?取り敢えず、僕もお掃除、手伝ってもいいかな?」
「申し出はありがたいけど……良いの?手伝ってもらっても」
「うん、勿論。僕が言い出したことなんだからね。あ、でも迷惑だったら大丈夫だよ」
「ふふ、いいえ、そんなことないわよ。じゃあ、手伝ってもらおうかしら。」
小さな微笑みを浮かべながら、咲夜はそう言った。
僕はそんな彼女の表情をみらることに、幸福を感じた。
それから約1時間で館全体の掃除が終わった。
まぁところどころ咲夜の能力で時間を止めながらやっていたので、実際本当に流れた時間は長くても40分程度だろう。
まぁ実際はお喋りしながらやってたからもっと時間経ってると思うんだけどね。
お喋りもお掃除も楽しかったです。
「ありがとう、藍奈のおかげでいつもよりも断然早く終わったわ。……というか、あれはなんだったの?」
「? あれって?」
「あの掃除の技術。昔もそうだったけれど、洗礼されすぎじゃないかしら?」
「そうかなぁ……普通くらいだと思うけど」
「……あれが普通って、どんな感性してたらそうなるのよ……」
流石に酷すぎじゃない?
「酷すぎじゃないわよ」
「ナチュラルに心読まれた!?」
「だってあなた、紅魔館の窓全てを10分以内に文句のつけようがないほど綺麗にするっていうだけであれなのに、約40分で紅魔館全体を同じように綺麗にするって、異質っていうレベル超えて異常よ?」
「そ、そんなに言う?」
「そりゃあもう。こんな言葉じゃ足りないくらいよ。……私もこの仕事を始めてからそれなりの時間が経つけど、こんな綺麗な紅魔館を見たのは初めてよ。……それに、まだこれ本気じゃないでしょう?」
咲夜は感心半分呆れた半分といったような声で、そう言い連ねた。
「ま、まぁ……はい。その通りです」
「……本当に、凄いってレベルじゃないわよ……。っと、こんなことしてる場合じゃなかった。……えぇと……今の時刻は……」
そう小さく呟きながら、咲夜はポケットから懐中時計を取り出して、時刻を確認した。
「うん、時間的にはまだ少し余裕があるわね。あ、そうだ。藍奈、折角だから一緒に朝食を作らない?掃除だけってのは、あなたが嫌でしょう?」
「良いの?というかよくわかったね……。もし迷惑じゃなければ、手伝っても良いかな?」
「えぇ、勿論。その代わり、きっちり働いてもらうわよ」
「わかりました!」
「ふふ」
え?なんで笑われたの?
「それじゃあ行きましょうか」
「うん」
……
いやだからなんで笑われたの?咄嗟に返事しちゃったけど……
……まぁ、咲夜が笑顔だから、いっか。
「あ、そういえば」
「? どうかしたの?」
厨房への道のりを咲夜と並んで辿りながら、ふと思い出した問いを投げてみる。
「ここって地下に図書館あるでしょ?咲夜に案内してもらったところ」
「えぇ、あるわね。それがどうしたの?」
「あそこって明らかに紅魔館と同じくらいの大きさだったから、もしかしたら咲夜の能力で空間に干渉したのかなって思って」
「正解よ。良くわかったわね」
「あ、やっぱりそうなんだ」
「それがどうかしたの?」
「うぅん。気になっただけ。ありがとね、答えてくれて」
「そんなの気にしなくて良いわよ。……っと、ついたわね。」
咲夜がそう言いながら立ち止まったので、僕もそれに続いて足を止める。
そういえばここの厨房はここにきてからまだ見てなかったね。……なんか凄そう(小並感)
そんなことを考えて、扉が開く音を右から左へと流しながら厨房に入った。
「どう?ここの厨房を見た感想は。」
「おぉ〜!凄いお料理がしやすそうだね!」
真っ先に出た感想がそれだった。
「あれ?というか、なんでここだけ真っ白なの?」
続いて出てきた感想……というか疑問がそれだった。
そう、何を隠そう、この厨房はこの紅魔館の一部とは到底思えないほど真っ白なのだ。お料理器具も何もかもが完璧に整えられており、食材の位置や調味料の位置も一目見ただけでもわかるほどには綺麗に整えられている。
その疑問に対して、咲夜がいつの間に移動したのか食材を取り出しながら、さらりと答える。
「私はこの紅魔館の色は好きだけど、流石に料理中でさえ全てがあの色っていうのは嫌じゃない?私は少なくとも、あの空間で料理するっていうのは嫌よ」
「確かに一利あるなぁ」
あの紅さの場所でお料理するっていうのは、流石に僕も嫌だなぁ……なんというか、落ち着かない?っていうのかな?……うまく言えないけど、とにかく考えてみたら抵抗があるね。
……と、いうか、咲夜ってもしかして、そこそこ権力あります?
……あ、そういえば単純に忘れてたけど、咲夜ってメイド長って立場でしたね。それならその位できる権力があっても納得ですね。
そんなことを考えている間に、咲夜は軽く料理器具の点検をしていた。
何事もなかったのか、咲夜はそれをシンクに置いて、こちらに声を投げてきた。
「それじゃあ、そろそろ始めましょうか」
「うん。時間はまだ大丈夫?」
「ちょっと待ってね。……あ」
「……そっか。じゃあ、急いで始めようか」
長話し過ぎたみたい。……いやそんな長く話してないですよね?え?嘘でしょ??
……時間が経つのって、早いなぁ……。
楽しい時間ほど、ってやつですよね。多分。実際凄く楽しかったし。
「因みに、どれくらい遅れてて後どのくらいあるの?」
「大体、10分くらい遅れてるわね。それと、タイムリミットまでは後20分」
「……結構ヤバい感じじゃない?それ」
「……えぇ、最初からギア上げて行かないと間に合わないわね、これは。……最悪、常時能力を使った状態になるわね」
咲夜はそう言いながら、慣れた手つきでエプロンをつけていく。
それを見て僕も、ポンとして見えなくしたリュックの中から寺子屋のあの時に使ったフリージアの柄がついたエプロンを取り出して、同じようにしてつけていく。
というか、常時って……いや、今の咲夜ならいけるのかな……?凄い長い時間、時間を止めることができてたし。
まぁ咲夜地震の負担になると思うからそれはできる限りやらせないんですけどね。
そう考えて、咲夜にそれはダメだと言葉を並べる。
「……わかったわ。でも、本当に時間がなくなったらするわよ?」
「うん。わかった。じゃあ僕も、咲夜がそうしなければならないようにしないために、少し本気出そうかな」
流石にお仕事大変だろうしね。
そんな感じで、僕たちは急いでお料理を始めた。
どうも皆さんこんにちは!約1ヶ月ぶりのASADEです!
まず最初に、気がついたらこの作品のブックマークが3件にもなっていました!
本当にありがとうございます!
それに評価の方も上がっていましたし……嬉しすぎて本当に嬉しいです(?)。本当にありがとうございます!
よければコメントもしていってください(強欲)
まぁ、この話はこの辺にしておいて、本当に前回いった通りになった言い訳をさせてください。
まぁあんまり大そうなものじゃないんですけどね。純粋に学校関係のことが忙しくなってしまったんです。
それと入院の予定がまた入りました。やったね!(号泣)
……
はい。言い訳はこれだけです。本当にすみませんでした!まぁこれからもこんな感じでやっていくんで多分謝罪は今回でなくなります(偉そう)
こんなナメクジを具現化したような投稿頻度ですが、良ければこれからも読んでいただけると幸いです。
自分好きなものを読むのが1番ですけどね。
まぁそんなこんな(?)で、また次回もお会いしましょう!
それでは皆さん、さよなら〜さよなら〜さよなら〜♫(?)




