第13話 後悔と焦燥と幸福と絶望
どうも皆さんこんにちは!また少し期間が空いてしまったASADEです!
すみませんホント。
書くこと見つからないので前書きはこの辺にしときますね。
最後に前回と同様に文がおかしいってレベルではありません。ご了承下さい。
それでは、良ければ楽しんでいって下さい♪
side 咲夜
「お嬢様、妹様、藍奈……!」
私は思わずこぼれてしまった言葉を置き去りにしながら、全速力であの場へと向かう。
もう館中を見て回り終え、残すはもうあそこだけ。
……そして、先ほどの爆音の発生源も、あそこであり、もう目と鼻の先の場所だ。
……目と鼻の先の場所の、筈だ。
……お嬢様方は、どうなったのだろうか。
……藍奈は、大丈夫なのだろうか。
そんな不安が、心の中を渦巻いて、消える兆しをチラリとも見せてはくれない。
そんなことを、どうしても考えてしまって。短く、一直線で、見慣れた(今は所々壊れているから違いはあるが)筈の、日常の一部である筈のこの道が、途方もなく長い道のりであるかのような錯覚に陥ってしまう。
……というか、ずっと思っていたけれど、今回の被害は今までのものとは比べ物にならないやくらい酷いわね……。見渡す限り瓦礫しかないわ。
……今回は、半壊どころでは済まなそうね……。
そうして進んでいた、その瞬間。
優しく、そして眩い光が辺りを駆けた。
私はその、なんの前触れもない光に当てられ、少し怯んでしまう。
だが、すぐに持ち直し、思考を巡らせる。
この光は、なんなのかと。
……頭をフルで回転させて考えたところで、全くと言って良いほど、思い当たるものがなく、その答えは出なかった。
……ただ、この光に私は、何処か懐かしい優しさを感じている。
それが、この問いの“ヒント”になるかもしれないと、頭の隅では思うけれど、私の中で渦巻く焦燥感が邪魔をして、あまり考えがまとまらずにいた。
……いいえ、そんなことを考えるよりも先に、早く、あの場所に向かわなければならない。
そんなことを考えながら、いつの間にか止まってしまっていた足を、再び動かして、
それから十数秒もたたない内に、やっとの思いで、そこに辿り着いた。
そこに広がったものは———悲惨な、光景だった。
天井や2回の壁や床は、大小様々な瓦礫と化し、地面には砂埃が山積みとなり、原型を、全くと言って良いほどとどめていない。
……いいや、そこはあまり重要ではない。
……1番重要なことは、その瓦礫のところどころに、赤色の液体(合計3種類)が付着していることだ。
私は昔の経験から、誰のものか正確には解らないが、同一人物のものかそうでないのか位まではパッと見ただけでもわかる。
……はっきり言って、嫌な想像しか、できなかった。
余談だが私は、今は能力を発動させていない。
私の体力的に、解除せざるを得なかった。
……私はそれを、今この瞬間、心の底から後悔した。
だが、その後悔は、杞憂に終わった。
1つの木の下に、御2人がおられた。
……絶え間なく涙を流し続けながら、仲睦まじく、互いを抱き締め合っていた。
嬉しかった。
……やっと、御2人は“普通の姉妹”になれたのだと、わかったから。
……久しぶりの、この感覚。
心の底から、安堵と幸福が溢れ出していくような、この感覚。
……私は、どれほどこれを求めていたのだろう。
気づけば私も、ポツリポツリと、涙をこぼしていた。
こんな私でも、わかる。
……これは、嬉し涙だった。
嬉しくて、涙を流した。
いつ以来だろうか。
……嬉しさで、涙を流したのは。
そこまで考えた時、私は思わず自分に対して笑ってしまった。
『久しぶり』なんて、『いつ以来だろうか』なんて、そんなことを考えたのだから。
……今日だったわね。
頭の中でそんなことを思っていた、その時。ハタと気づいた。
……藍奈は、どこに行ってしまったのだろう。
藍奈も、お嬢様と共に妹様と戦っていたはずだ。
……ならば、何故ここにいないのだろうか。
一気に、動悸が激しくなる。
嫌な想像をしてしまう。
……いや待て、そう断定するにはまだ早い。一旦、落ち着かなければなるまい。
そうしなければ、正常な判断ができないから。
……よかった、まだ冷静な判断ができる程度の理性が残っていて。
そう考えながら、私は一度、小さく深呼吸をした。
そしてまた、思考を巡らせて……そうして、気がついた。
……何故、お嬢様達はここにいるのだろうか?と、そんな、当たり前の疑問に。
もちろん、遠目で見たところ、お嬢様達には傷1つないため、自力であそこまで行ったとも考えられる。
いや、そちらの方が自然だろう。
……しかしそれでは、疑問点が2つ生まれてしまう。
もしも、お嬢様方が、自力で、“無傷”で。ここまで来たというのなら。
……あの瓦礫に付いていた“3種類”の血痕と、私がここへ向かっている途中に見えた、垂直に落下する物体、あれらは一体何だったのかと言う疑問。
3種類ということは、戦っていた3人、が全員血を流したということだ。
だが、お嬢様方は血を流していない。
これが表すことは、第三者の力が働いたということだ。
そして、比較的新しかった、もう一種類の、1番量が多かった血痕。それが藍奈のものであり、それは、“御2人を治した代償”だと、そう考えれば。合点がいくのだ。
否、私が“知っている”限りだと、そうとしか考えられない。
……それらから察するに、とても拮抗した戦いだったのだろう。
ただの予測に、憶測に過ぎないけれど。
考える順序を整理できずに、わかりづらくなってしまったが、結論から言うと……
……あの血痕はお嬢様と妹様、そして藍奈のものであり、落下していたのも、その3人であるということ。
そして、お嬢様方をここまで連れてきたのは、藍奈であるということだ。
そこまで考えて……ようやく私は、理解した。
……否、“思い出した”。
何故抜けてしまっていたかわからないと思ってしまうほど、重要なことを。
自分でも、言っていたのに。
……それは———
———藍奈の、“能力”だ。
だからその瞬間、私は、恐怖に震えた。
……“また、いなくなってしまうのか”と、そう思ってしまったから。
私自身も、藍奈の“能力”のことは、あまり解らない。
……だが、私にも少なからず、知っていることがある。
そして、私の知っていることの中に……藍奈の能力の、“代償”のことがある。
……それのせいで、私は……“私達”は、藍奈と、離れ離れになってしまったのだから。
だから、どうしても。この震えを抑えられなかった。
……あの人は、何処へ行ってしまったのだろう。
限りなく溢れ出す感情の荒波を抑え込みながら、呆然と、そう考えるしかできなかった。
……瞬間、私の心の中で、“あの言葉”が、蘇った。
そうして私はまたも平静を取り戻し、深呼吸をした。
……紅魔館のメイド長として、こんな姿はダメだ。
紅魔館の家族として、こんな姿はダメだ。
……“藍奈達”の偽りの家族として、こんな姿は、ダメだ。
自分に向けて、何度もその言葉を並べる。
……藍奈がここにきて以来、私の心は乱されてばかりね。
そんなことを考えながら、一応もう一度辺りを見渡してから、どんな小さな音でも聞き逃さないように目を瞑り、全神経を耳に集めた。
……瞬間、風が鳴った。
その風の中に、微かな呼吸音を聞いた気がした。だから私は、更に集中して音を聞き分ける。
すると、先程よりも鮮明に。呼吸音が聞こえた。
この音は……この木の裏から……?
そう考えながら、ゆっくりと、お嬢様方に気がつかれないように木の裏に回った。
……そうして私は、見つけた。
顔が蒼白に染まり、滂沱の如く発汗をしている、藍奈の姿を。
私は無意識の内に能力を発動して、瞬時に藍奈へと駆け寄った。
この能力は藍奈に効かないと言うことを思い出したのは、全てが終わってからのことだった。
そうして私は、藍奈を抱き起こす。
……息はしている。
それを確認したと同時に、フッと、息が漏れた。
だがまだ、油断をできる状況ではない。
……藍奈の体には、無数の切り傷と痣ができていたのだから。
私はその藍奈の状況を見た時、確信してしまった。
……藍奈が、能力を使ったのだということを———。
だから私は、紅魔館のメイド長の名に恥じる行為だとわかっていながら、藍奈を最優先に安全な場所へ移動させるため、藍奈をお姫様抱っこした。
軽かった。
本当に重さがあるのかと思うほどに。
本当に。マジで。
本気と書いてマジと読むくらい、ホントに。
……これは、藍奈が起きたら量を食べさせなきゃね。
なんか男性(笑)に体重が負けてるって考えるとなんか嫌だわ……。
そんなことを考えて落ち着きを取り戻し、私が先ほどと同じように移動をしようとした……その刹那。
藍奈の、本当に男かと思ってしまうような白くて細い腕が、紅魔館へと向いた。
その腕を見た瞬間、私の思考はめまぐるしく巡らされ、反応が遅れてしまい、何も声を発することができなかった。
次の瞬間、藍奈が何かを呟いた。
何を言ったのかは小さすぎて全く聞き取れなかったが、その動きから、そしてその、腕からほど走るポワポワとした優しく暖かい温もりのある小さな光から、何をしようとしているのかを理解した私は、直ぐさまそれを止めようとした。
……だが、遅かった。
瞬間、瞬く間に紅魔館周辺が淡い光に覆われた。
無論、それは私も、お嬢様方も例外ではない。
その光に私は、何故か目を奪われてしまった。
私がその光に息を呑んだ、その瞬間。先ほどの光とは全くの別物から発せられたのかと思うほどの、眩く強い光が辺りを満たした。
私はそれに耐え切れず、目を瞑り、下を向いてしまった。
……その時私は、先ほどまであった体と心の疲労が取れた気がしていた。
十数秒後、その光は瞼の裏から消え去り、それを確認すると同時に、ゆっくりと目を開いた。
……今の光が、“あれ”によるものではないと。心からの、そんな淡すぎる期待を抱きながら。
目の前の藍奈は、先ほどよりも苦しそうにして、唸り声を上げていた。
私はとてつもない焦りを感じながらも、紅魔館に目を向けようとした、その時。藍奈の腕が、力無く空中で漂ったのだ。
体温もどんどんと低下していっていることが、肌で感じ取れる。
その時にはもう、つい先ほどまで聞こえていた藍奈の唸り声は消えて無くなっていることに気がついた。
私はそれに、先ほどとは比べ物にならない焦りを感じた。
だから私は、急いで“完成された紅魔館の中”へと、藍奈を連れて入った。
止まることのない冷め切った汗を、頬に伝わせ続けながら。
どうも皆さんこんにちは!ASADEです!
ホンマにすいません。すみませんついでに投稿頻度と書くことがありません
なので、今回はこんなところで、終わりにします。
よかったら次回も見ていただけると幸いです。
それでは皆さん、さよなら〜さよなら〜さよなら〜♪
それと明日から入院生活なんで、投稿が遅れてしまうと思いますが、どうか許して下さいお願いします。