番外編 月継
ついに主人公の名前が・・・
戦国時代 伊賀
「どうした、小僧。」
「親も兄も・・・何もかも死んだ。」
「そうか。」
侍は自身が一度死んだ場に来ていた。
死体漁りがたくさんいるなか、何もせずただ立っている子供を見つけたので、
話しかけてみていた。
「貴様には、帰る場所はないのか?」
「もうそんなものどこにもない。
あんたにも関係ない。」
(ずいぶんと気にかけているようですね。この子に気になるところでもあるのですか?)
「この小僧が見ている者は、私が戦場で世話になった親父さんだ。
食料を恵んでくださったりしてくれた、大恩のあるお方だ。」
(では、この子をどうするおつもりで?)
侍は考えた、この子を見捨てるのはあの親父さんへの裏切りであって、
見捨ててしまえば、この恩を返せない。
では私はこの子に何ができる。
「おい、私が小僧に魔法を教えるのはできるか?」
(あなたがこの子に魔法をですか。私のサポートがあれば問題ありません。)
「そうか、では異界に行くのを少し遅らせて、小僧に魔法を教える。」
(そうですか、当初の目的がずれてしまいますが、あなたが決めたのなら私も従いましょう。)
侍は子供に近づき、
「おい小僧、ついてこい。
お前にこの戦国の世を生き抜くすべを身に着けてやる。」
そう言うと、子供は最初は戸惑ったが意外に大人しくついてきた。
この俺が、まるで師匠の真似事をするとは思わなかった。
だができる限りのことは教えていこう。
そう考え、侍は自分の家に子供を連れて行った。
家までの道中侍は名前を聞いた。
「小僧,名は何という?」
「ゆえひこと申します。」
「そうか、うーむそうだな、ではお前はこれから私の養子として
月継と名乗れ。
中国読みで月はゆえと読み、私から魔法を継ぎ受けることから名付けた。
「はい。私はこれから月継と名乗らせていただきます。」
ふむ、やはり少し元気がないようだ。
「おい、月継に魔式を構築することはできるのか?」
(はい、私がこの子の魔式を解析、構築して、あなたを介して戻します。)
「ほう、魔式というのは誰でもあるのだな。」
(はい。魔式というのは魔法を発動するための設計図のようなものです。
それは誰にでもあり、異世界人は幼い時にその扱いを覚えます。
しかし、この世界にも魔式を扱うものはあり、陰陽師がその例です。)
「なるほどな、月継の魔式を構築してくれ。」
(承知いたしました。ではその子の背中に触れてください。)
「おい月継、お前に力を与えるため背中に触れるぞ。」
最初は戸惑った月継だが、素直に背中をこちらに向けた。
(魔式を構築します。魔力を送り込みください。)
侍はゆっくりと魔力を流し込む。
適正:月魔法
魔式の構築成功
スキル:月の賢者を獲得
スキル:時の反比例を獲得 なおこのスキルの魔力の供給は必要ありません。
魔式:宵闇反転
「なっ、俺の頭の中に声が!」
(初めまして月継。私は導く者と言います。普段はそこにいる男の補助を担当しています。)
「あっ、はい。どうも初めまして。」
(あなたの魔式に関して説明させていただきます。そこにいるあなたも聞いてください。)
「わかった。だが貴様、前々から思っていたが、私への態度がおかしくないか?」
(別にそのようなことはありません。さっさと聞いてください。)
やはり当たり強いだろ。
「では説明させていただきます。
この月の魔法は未知のものが多い魔法です。私も見るのは初めてです。
ですが、とてつもなく強力な魔法であることは確かです。下手すれば、あなたの師匠になるそこの人よりもです。)
「おいおい、俺の立場が無いな。」
(ですが、まだわかっていない魔法なので、使い方を間違えると死に至る可能性もあります。
ですので、そこの男から魔法の何たるかをよく学んでください。
まあ、この人もろくに使えないので、うまく教えられるかはわかりませんがね。)
「おい!別にそれは言わなくてよいだろ!」
(次に、あなたのスキルについてです。
あなたのスキル:時の反比例は防御にも攻撃にも優れたスキルです。
このスキルを使うと、自分に近づくほど物の速度は遅くなり、遠くなるほどその速度は速くなるというものです。
例えるなら、自分に近づいてくる攻撃は、当たらずに止まったようになり、逆に自分が放った攻撃は速度をどんどん増し強力な攻撃になるというものです。)
これは恐ろしいものだ、この力を間違ったほうに使わないように正しく導かなければ、大変なことになる。
(これを手に入れたあなたは魔法界の均衡を崩すほどの人間になってしまいました。
ですがまだレベルも上がっておらず未完成なため、そこの男と一緒に異世界へ行っていただきます。)
「おい!勝手に決めるんじゃない!」
(異世界に共に言ったほうが実戦も詰めて、修行も詰めるようになります。
そのほうが、月継もこの力を制御できるようになるのでそのほうがいいでしょう。)
なるほど確かにそのほうがいいのかもしれない。
(であれば、出発を遅らせる必要もありません。元の時間に出発しますがよろしいですか?)
「ああ、そうだな。」
侍はまた道を行こうと歩みを進めたとき、後ろから呼び止められた。
「あの、師匠!」
「ん、なんだ?」
「あの、師匠のお名前を聞いてもよろしいですか?」
(それは私も聞いていませんでしたね。)
ああ、確かに私の名前を導く者にも言っていなかったな。
「大日向雪村だ。」
豆知識
月継はこれからの魔法界を変える人間になります。
むしろ主人公よりチートになるでしょうね。
この物語は主人公の成長と共に月継の成長となっています。
あと導く者は脳内では女の声で再生されているので、私の中で一番のお気に入りです。