霧氷風
「なんだ、あの巨大な一つ目の巨人は?」
侍が見たものは、3メートルはあろうかというサイクロプスだった。
「襲われているのは、南蛮人であろうか?鎧のようなものを着ている。
だが女子であることには変わりない。」
「ファイアーアロー!」
騎士のような女は、サイクロプスに魔法を打つ。
しかし、魔法をはサイクロプスの息一つでかき消された。
「そんな、これも聞かないなんて。」
もう終わりだと思っている女騎士に、サイクロプスは容赦なくとどめの一撃を放つ。
ガキーン!
「なっ!サイクロプスの一撃を止めた。」
サイクロプスの攻撃を止めたのは侍であった。
「邪魔だ!死にたくないのならどけよ。」
「危険です!そのサイクロプスはA級モンスターで、国一つを滅ぼせる力を持っています。逃げるべきはあなたのほうです。」
「勝てるか勝てないかはやってみなければわからん!」
侍はサイクロプスに切りかかる。
だがサイクロプスには傷一つ付けられない。
「馬鹿な!これほど打ち込んでも聞かぬとは。
まずい、やられる!」
サイクロプスの攻撃を喰らい吹き飛ぶ侍。
「なっ!まずい、わたしのせいであの人まで」。
「くっ、まさかここまで強いとは。
せっかく2度目の生を受けたのに俺はまた死ぬのか?
先ほどから左腕が・・・」
侍が左腕を見ると、きれいさっぱり無くなっていた
「ぐわああああああああ!」
侍はあまりの痛みに悲痛な声を上げる。
くっ、誰も守れないとは情けない。
結局あの女に守られているではないか。
(レベルが足りないモンスターとの交戦を確認。
逃げることをお勧めします。)
またしても、声が頭に響く。
だがここで逃げては武士の名折れ。
「逃げるわけにはいかぬ。」
サイクロプスに向かい走る。
攻撃をよけながら切れにとしても切りかかる。
まずいな、このままではやられるのも時間の問題。
何とかする方法はないのか。
(あなたの氷魔法の魔式の構築に成功。
名を霧氷風、この魔式を承認しますか。)
「この魔式を使えばこいつを倒せるのか?」
(倒せます。
しかしレベルに達していないので、少しの間元の世界に戻り魔力を補給しなければなりません。それでも使用されますか?)
今こいつを倒せるのなら何でもいい。
「使用を許可する!」
魔式の使用を承認。
目標をロック。
魔力供給開始。
スキル、氷の剣神を発動。
霧氷風・雀
そう言って振りかぶった侍の刀に白いオーラが巻き上がり。
立っているのもやっとな暴風が吹きあられ。
サイクロプスをただの氷へと変えてしまった。
「ハア、ハア。やっと倒した。」
周りには氷柱が何本もでき、
さっきまで木々で緑色だった景色が、真っ白な冬景色となっていた。
(魔力が足りません。供給のため元の世界に帰還します。)
豆知識
霧氷風・雀を放つとき、女騎士はサイクロプスに気絶させられていました。
起きたときに、周りが冬みたいになっていて驚くかもしれませんね。(笑)