氷魔法
1579年 天正伊賀の乱
「夜襲だー!」
「くっ、一揆勢め!」
「殿をお守りしろー」
「忍びだー!」
んーうるさい。少し眠らせてくれ。。
お・・
お・・・・・ぃ
お・・い
おい!
「おい!起きなされ!」
「んっ、どうした?康孝殿。」
「夜襲じゃ!」
「何っ!こうしてはおれん!」
「ここもすでに壊滅寸前じゃ。噂では近々、大殿様直々にご出陣なされるそうじゃ。」
「信雄様は?」
「もうすでに逃げ申した。我々も一時退却し本隊と合流するらしい。」
見つけたぞー!織田軍だー!
「なっ、一揆衆め。」
斬りひらけー!退路を確保しろー!
なんだ地中から刀が!
「これが・・・忍術か。」
「向かってくるぞ!構えなされ」
侍は妖術のような華麗な技に魅せられて背後から来る敵に気が付かなかった。
「○○殿後ろ!」
「覚悟ー」
ああ、今日死ぬなんてな、だがこれも天命というもの。
だが2度目の生があるのなら、今度は戦のない世の中で、ゆっくりと暮らしてみたいものだ。
とある侍がそんなことを考えていると、急に周りが光り、侍は消えた。
魔法を獲得しました。
地獄豪魔の討伐を命じます。
案内として導く者を構築。
これより異世界への転移を開始します。
「ここはどこだ?」
侍はどこかの森の中で、目を覚ました。
「どういうことだ?私は死んだと思っていたのだが。」
そのまま、侍は近くにあった水たまりに顔を近づけた。
「傷もふさがっている。なぜ髪の毛が白いのかわからぬ?
だが夢ではなさそうだ。神が私に二度目の生を与えていただけたということだろうか?
それはありがたい!生きているのなら、また一からやり直していこう。」
そんなことのんきに言っている侍は、嬉しそうに周りを見渡した。
「見たことのない種類の木々が生えているな。月も二つある。どういうことだ?ここは日の本ではないのか?」
そんなことを言っていると、侍はハッと何かに気づく。
「後ろから私に殺気を向けているのは誰だ。
隠れていないで姿を現せ!」
侍がそう言うと、森の中から人のようなものが姿を現した。
「なにっ!」
姿を現したのは、緑色をしたゴブリンであった。
「見たことのない異形の者だ。まずいな、武器のない今の私では、戦いですらままならない。」
(新たな受け継ぐものが現れました。氷魔法の使用を推奨します。)
「なんだ?急に頭の中に声が聞こえてくる。
貴様は誰だ!」
(私はあなたを導く者です。
あなたがこの世界で生き延びられるようにサポートさせていただきます。)
導くものとはどういうことか?
「ほんとにその氷魔法とやらを使えば、こ奴を倒すことができるのか?」
(それはあなた次第であります。この氷魔法はほかの氷魔法と違い、
あなたの転生前の能力に関係します。その力が弱いほど魔法は弱くなりますし、
強いほど魔法も強くなります)
私がその魔法とやらの能力をどれだけ引き出せるかわからぬが、
やらねば殺されるのだ。答えは決まっておる。
「その魔法とやらの使用を承認する。力を貸せ!」
(氷魔法の使用を承認しました。あとはあなた次第であります。
どうかこの魔法を成長させていただけることを祈っております。)
・・・
「何も起こらぬではないか!」
ゴブリンがせまっているなか、侍はどうしようもできずに死ぬかもしれないという怒りから、右足を地面にたたきつけた。
すると右足が凍り、その氷が地面に広がり、中から氷でできたような刀が出てきた。
「なんと地面から刀が出てくるとは、しかも氷でありながら強度も申し分ない。
これならば負けることはない!」
刀を握りしめ、ゴブリンに向かっていった。
「ぐぎゃああ」
大振りに任せた単純な攻撃
「甘い!」
そのまま侍は、ゴブリンの首を斬り落とした。
(神格が上がったことをお知らせいたします。
氷魔法のレベルが上がりました。
スキル:言語習得を獲得しました。
スキル:氷の剣神を獲得しました。)
また頭に言葉が響いた。どうやら私の何かが上がったようだ。
「今はそんなことはどうでもいい。問題はこれからだ、いつまでもここにいるわけにはいかぬ。
早く街に行って人に会わねば。」
そんなことも思っている時、森の奥から声が聞こえた。
「助けてー」
「ん?森の奥から女の声。助けを乞うてるようだ。」
そう言いながら侍は森の奥へ消えた。