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帰り道

作者: 岡池 銀

誤字脱字等あればご指摘ください

 こんな話を知っているでしょうか。

「桜の木の下には死体が埋まっている」

 これは桜の花が綺麗なピンク色をしているのは、桜の木の下に埋められた死体から血を吸って、その血で花びらを染めているから、という都市伝説や迷信が元になり言われるようになったのだと思われます。


 さて、先程の話とは関係のない私の体験談を話したいと思います。

 あれは夏の終わり頃、私が運動不足解消のために会社から家まで歩いて帰った時のことです。

 その日は前日の強い雨風の余波なのか、空には厚い雲がかかり、日も落ちきっていないのに妙に薄暗かったことを覚えています。

 私が家まで最短の道のりで帰ろうとすると、避けては通れない道があるのですが、その道、お寺の前なんですよね。そのお寺には庭があって、その周りを(へい)が囲っており、内側を沿うようにして木が植えられ並んでいるんです。木は高さ三〜四メートルほどあり、枝葉は道路までせり出しています。

 私はせり出した枝葉を見て、色づくのはまだ先だな、と思いながら歩いていると、何やら柔らかなものを踏み潰したような感触が靴から足に伝わってくるではありませんか。しかも、それに加えて幻覚や妄想などではない明らかな異臭がするではないですか。

 どこかで嗅いだことのあるこの臭いに不安を感じながら、恐る恐る視線を下げ足元を見てみると、潰れて中身が飛び出したソレが道路に広がり、黒いアスファルトの上を無造作に塗っていました。

 私は慌てて上を見上げます。上を見上げ、木を見て、枝を見て、葉を見て、そして完全に理解しました。あの特徴的な切れ込みの入った扇型の葉を見紛うはずもありません。

 私は何も見なかったことにして帰ることにしました。靴を擦り付けながら歩き、それでもなお付いてくる臭いを無視しながら……。

サブタイトルを付けるならば「帰り道〜銀杏踏んで臭い〜」ですね

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