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第35話 狂人キャラ好きは安易な性癖(1)

「あぁ! もぅ! 最悪ぅ! アタシの斬撃、遅すぎィ!?」


「ちょっ、ユウキ! これ、どういうことですか!? 治ったんじゃなかったんですか!?」


 ソフィアちゃんが反射的に抜刀して、アイちゃんに応戦しつつ叫んだ。


「治ってると思うよ。言いにくいんだけど、つまり、それが『本当の』アイちゃんだったって事じゃないかな」


 俺の身体もほとんどうずかない。蛭子以上の敵に遭遇すると、俺の中に仕込まれたヤベー遺伝子が反応するはずだが、その感覚がないのだ。少なくとも、デチューンには成功している。


「ほんと余計なことしてくれたわねぇ! 力が落ちてるぅ! これじゃあ、ミジンコ級に毛が生えた程度じゃない! アタシがどんだけ苦労して、蛭子になったと思ってるのぉ! あと少しでヒドラだったのよぉ!?」


 ミジンコ級とは、先のママンとの電話で、プラナリアと言っていたアレである。仮面〇イダーで言う所の、ショッ〇―みたいな立ち位置だ。


 プラナリアとミジンコは別の生き物だが、スキュラではプラナリアクラスの戦士を蔑称としてミジンコと呼ぶ。それでも、もちろん、ヤのつく自由業の方々なら束でかかってきても瞬殺できるくらいの力はあるけどね。


 まあ、この知識は、ほぼくもソラには出てこない。続編の方の範疇だ。


「落ち着いてください! もう、ヒドラを目指す必要なんてないんですよ! 無理しなくても、あんな狂った実験に付き合わなくてもいいんです!」


「はー? チュウ子、何言ってんの? アタシは好きでやってたんですけど? 世界のどこに、スキュラみたいに生身の人間と殺し合えて、強くなれる施設があるっていうのぉ? あんた馬鹿ぁ?」


 ソフィアちゃんの哀切な訴えに、アイちゃんが小首を傾げた。


(あー、やっぱりこっち方面のヒトだったか)


 ファンディスクでは、視点人物がソフィアの場合、バーサーカー状態のアイちゃんに対して、性善説的な解釈をしていた。


 一方、主人公は「悪だか善だかわからないけど、母親の実験の犠牲者でかわいそう」みたいなスタンスを取っていた。


 結論として、作中でアイちゃんがナチュラルボーンでサイコ方面なお人なのか、実験の結果ヤベー奴になっちゃったのかはボカされていたのだが、俺は絶対前者だと思っていた。だって、別作品から察せられるライターの性格を考えたら絶対そっちだもん。


 ちなみに、アイちゃんは『俺より強い奴に会いに行く!』タイプのキャラなので、クソ雑魚ナメクジの俺が襲われる心配はない。


「そ、そんな。アイ、あなたはそんな残酷な人間じゃないでしょう! だって、施設に入りたての頃、髪の色が目立つせいで標的にされていた私を助けてくれたじゃないですか!」


「それはチュウ子がちょうどいい練習相手に育つと思ったからよぉ! あんなところで殺しちゃあ、もったいないじゃないのぉ! 雑魚相手じゃ練習にならないし、金剛なんかとやったら、こっちの身が持たないでしょぉ!」


 アイちゃんが、『何を当たり前のこと言ってんだこいつ』みたいな怪訝な表情で言う。


 ちなみに金剛こと、ダイヤちゃんは続編のヒロインの天才児だゾ!


「では、お嬢様が来た時、私が目に留まるように画策したのは……」


「だから、やる気のない奴に中途半端に居残られたら迷惑だって、ちゃんと言ったでしょぉ?」


「それは、私のことを気遣って、罪悪感を頂かせないためにああ言ったんじゃ?」


「はぁ!? 何言ってるのぉ? アタシがヒドラの治験者の枠に入るために決まってるじゃない! あんたには才能はあるのに、向上心ってものがないからぁ、あれ以上は上に行けないって思ったのよぉ。だから、外に出したんじゃないのぉ。アタシはライバルが減って、ヘタれのあんたは死なずに外に出られて、お互いにウィン・ウィンだったのに、なんでこんな嫌がらせをする訳ぇ!? これが親友に対する仕打ちぃ? 恩を仇で返すのぉ!?」


 アイちゃんの中にも、屈折しているが、一応、友情という概念は存在するらしい。


 まあ、『強敵と書いて友と読む』みたいなタイプの友情っぽいけど。


「そんな、私は、私はただ、アイを助けたかっただけで……」


「何様のつもりぃ!? アタシに一回も勝ったことがない雑魚のくせにぃ! 余計なお世話よぉ!」


 二人の戦いが激しさを増す。放っておいて怪我でもされたら面倒だな。


「まあまあ、二人共その辺にしない? できれば、俺たち三人にとって、メリットのある提案をしたいと思うんだけど」


 俺は頃合を見計らってそう口を挟んだ。



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