表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

215/225

第215話 神域にコドモドラゴンを放て

 空と海が入り混じったような無限に広がる(あお)い空間。


「しゃあっ! りゃぁ! 完勝ぉ! もっと歯ごたえのある奴を出しなさいよぉ」


 アイちゃんがタフな勝鬨を挙げて、「くりやけ」と「てだまつ」の二柱の胸倉を掴み上げる。のみならず、巨大な赤牛の怪物を乗りこなし、堂々と征服者として神域に君臨していた。


 長々と異能バトルすると思った? 


 うん。一瞬で終わりました。


 アイちゃんは最強なんだ。神様は悔しいだろうけど仕方ないんだ。


 ハイライトの消えた目でうなだれる二柱を見ると、罪悪感すら湧いてくる。でも、これも楓ちゃんのため。許してくれ。


「マスター、制圧を完了しました。警戒モードに移行します」


 副隊長の兵士娘ちゃんが冷静に報告する。


「ありがとう。みんな。まだ気は抜けないけど、ひとまずお疲れ様」


 俺は片手を挙げてそれに応える。


 アイちゃんのみならず、部下娘ちゃんたちも大活躍で、俺を守りながら、卵から生まれた三兄弟をボコしてくれました。


 ズタボロで転がる土着神の皆さん。


 俺の短編映画を観ただけのフレンズたちが、今の光景を見たら、急に出て来たなんだかよくわからない卵三兄弟とか赤牛に困惑するだろうけど、スムリャーミャーカでググれば大体分かる!


 安全が確保されたことを確認した俺は、たまちゃんに来てもらって、早速諸々の神様との契約書を作成した。確定申告は税理士。揉め事は弁護士。神様には巫女っていうことで。


 契約書の文言は難解で、色々と迂遠な言い回しだが、要約すると、『俺、成瀬祐樹は二柱を、俺と楓ちゃんの身代わりとして、イザナギ・イザナミへの供物とする。しかし、決しておろそかにはせず、今よりも栄えさせることを約束する』ざっとこんな内容だ。


 俺がやろうとしているのは何も突拍子もない思いつきではなく、人類の歩んできた歴史を踏襲しているに過ぎない。


 すなわち、征服者が、侵略した先の土着神を自らの神話体系に組み入れて、支配を正当化してきたという数多の先例に、一ページを加えるというだけのことだ。


 大体は、被征服者側の神は、征服者側の似たような神様に吸収合併されるか、敵キャラにされるか、部下キャラ(従神)にされるかの三択で、今回、俺は三番目のパターンをやろうとしている。


 まあ、うんちくはいいか。そういうのが好きなら、f〇teをやるか、カンピオー〇でも読めばいいよね。


 とにかく、これでイザナギとイザナミさんへの手土産ができたので、俺としては大満足である。


「ったく、拍子抜けなんだけどぉ。これで神ぃ?」


 アイちゃんが二柱の胸倉から手を離し、物足りなさそうに呟いた。


「イザナギ・イザナミは別物だよ。最も楽観的な想定でも、ざっくり今回の2000倍は強いはず。きっと、異次元の強さだと思う」


 ここの墳墓の信者数を仮に宮古島の住民全員とすると、約5万人。


 対して、日本全体の人口は一億二千万人くらいなので、およそ2000倍以上。


 しかし、実際は今回のスムリャーミャーカは一部の熱心な住民の人が祭ってる状態で、宮古島の住民ですら、知らない人もいるレベルのマイナーな神だ。


 対して、イザナギ・イザナミは、もちろん、信仰心の厚い薄いはあるにしろ、まあ日本人なら名前くらいは聞いたことがあるだろう。総合して考えると、今回の数万倍は強いと考えるのが妥当なラインな気がする。


「それならいいけどぉ? あんまり期待はずれだとぉ、マスターに埋め合わせをしてもらうわよぉ」


 アイちゃんが巨大な赤牛の怪物を手刀で捌きながら呟く。


 まあ、アイちゃんは強い神様と戦えることを期待して俺についてきてくれてる訳だしな。


 報酬がショボけりゃ不満だよね。


「こればっかりは実際に行ってみないと、確かなことは言えないな」


 俺は肩をすくめた。

 

 国生みの二柱が、強くあって欲しいような、弱くあって欲しいような、複雑な気分だ。


 ま、でも、今の所、計画は順調なんだから、ポジティブにいこう。


 ということで、「与えられた祝福はそのままに、嫌な宿題は下請け(マイナー神)に投げちゃえー」という、大企業ムーブがはっじまるよー! びっくりびっくりDONDON!


 ということで、ここ数日、散々宣伝させて頂いたので、もううんざりかとは思いますが、今日でしばらく落ち着くのでどうかご寛恕ください。


 改めまして、本日、2月19日、本作の書籍版『鬱ゲー転生。 知り尽くしたギャルゲに転生したので、鬱フラグ破壊して自由に生きます』が発売となります。


 希望つばめ様の素晴らしいイラストはもちろん、書籍版のみの新規加筆部分もございますので、もしよろしけばお手にとってみてください!


 それでは、どうぞ引き続き、拙作を何卒よろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 面白いです。 良い物語をありがとうございます。
[一言] 急にタフ濃度を上げるのはルールで禁止スよね
[一言] やっぱし強いスね、アイちゃんは
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ