第18話 夏休みはフラグの宝石箱
「イェーい」
こうして、俺は家で兎と祝杯を上げた。
飲み物は子供らしくジュースで、肴は約束通りお取り寄せした鰐鍋と、ぷひ子ママが差し入れてくれたカレーだ。
「どうだ? 美味いか?」
「ぴゅい」
鰐肉を生でヌチャヌチャしゃぶりながら、時空兎が頷く。
「そうか。美味いか……。明日の晩飯はどうしようかな。毎日ぷひ子ママ飯食べてると好感度を積み過ぎちゃうからよ」
「ぴょい?」
時空兎が小首を傾げる。
「まあ、わからねえよな。もし、お前が人化してればもっと話し甲斐もあっただろうけどなー」
「ぴょいー」
兎が適当に相槌を打つ。あっ、こいつ、俺との絡みをめんどくさがってやがる。
ちなみに、時空兎は最終的には人化するが、それはトゥルーエンドルートの攻略途中での話である。残念ながら、ぬばたまの姫を触らぬ神に祟りなしモードで放置すると決め込んだ俺の人生では、こいつは一生、ただの兎のままの予定だ。
それでもチート機能は使えるからね。問題ないね。
「えーっと、これで少年時代・夏のフラグは半分くらい潰したか。でも、まだまだ多いなー」
ギャルゲーと夏はご飯と海苔くらい相性がいいのか、とにかくフラグが立ちまくる。
夏休みは宿題が多くて大変だね。マジで。ギャルゲーのメインの舞台となっている季節として一番多いのはやっぱり夏なのだろうか。俺氏調べでは、春と夏が舞台のギャルゲーは数が多く、その分、玉石混交。秋・冬が舞台のギャルゲーは、春と夏に比べて数は少ないが、玄人好みの名作揃いのイメージだ。
なお、俺の独断と偏見なので保証はできない。
「まあ、結局コツコツ一個ずつトラウマフラグを潰してくしかないんですけどねー」
俺は脳内で効率的なフラグクラッシャーチャートを考えながら、日常の雑事を終わらせて床についた。
ご拝読、まことにありがとうございます。
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