第15話 俺っ娘供養RTA
こうして金を手に入れた俺が真っ先にすべきことはといえば? ――そう。諸悪の根源の封印だよね!
ガチ解呪にはトゥルールート以外ないから、応急処置にしろ、ご神体が安置された忘れられし拝殿を封鎖するのが次善策なんだ。
神社の土地は宗教法人ごと買収済み! ママン経由で口の固い土建屋を割増賃金で手配済み!
変なフラグを建てそうなぷひ子とみかちゃんたちは車で二時間以上かかるイ〇ンモールへとのお出かけを確認済みだ。ぷひ子も「ジャ〇コ行くの!?」とぷひぷひ喜んでいたぜ! これぞ、田舎民が土日に近くのショッピングモールに群れる習性を利用した孔明の罠だ!
「条件は整った! ――行くぜ! 兎! 今夜は鰐鍋だ!」
「ぴょん!」
炎天下、俺はリュックサックを背負い、時空兎を肩に載せて、蝉がよく取れる例の森へと繰り出す。
作業員のムキムキマッチョなお兄さんたちは、時間ぴったりに全員集合していた。
「皆さん、今日は工事の方、よろしくお願いしまーす。環境破壊とか全然気にしなくていいんで、ガンガンやっちゃってください」
「……」
マッチョメンたちが無言で頭を下げて頷いた。さすがママン手配の土建屋だけあって、無駄なことは一切喋らない仕事人だぜ!
あ、なお、俺の肩に乗っかったこの時空兎は、大なり小なりぬばたまの姫の呪いを受け継いでいる奴にしか見えない。つまり、この頼れる工事GUYsたちには見えてないから安心だよ!
チュイイイイイーン! っと唸るチェインソー!
ガガガガガガガガガガガガガ!っと爆走するショベルカー!
樹齢云百年の大木たちが、成す術なくなぎ倒されていく。
それと一緒に、とある勝ち気系なヒロインとのフラグも折れていく。祖父母の家に帰省した小学生の彼女と主人公は、この夏休み、森で虫取りをする途中に出会って急速に仲良くなり、高校時代に再会して、『お前、男だと思ってたのに、実は女だったのか』パターンのやつだ。
(バイバイ、俺っ娘くん。君のルートは、いたいけな青少年プレイヤーに、主にインセクツ関連の特殊性癖を植え付ける、とっても業が深いストーリーだったね)
はい、合掌! バッタ人間やらカマキリ人間やらは仮面〇イダーだけで十分だ! ハリガネムシ系はひ〇らしのパクりって言われるからやめとけばよかったのに!
こうして俺が悲しいお別れを済ませている内に、有能なマッチョメンたちによって、例のうらぶれた社への道が開かれた。
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