表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/9

2話

優しい木漏れ日が俺の目を擽り、土と緑の匂いに俺の意識は覚醒する。

「ッ!!皆っ!!」

そこは谷底ではなく緑豊かな森の中だった。

「はぁっ!?」

思わず予想もしていなかった光景に素っ頓狂な声を上げ、思考が白く染まる。

「いや、ありえないだろう!?」

こんな後景を拝むには数時間かけて電車で移動しなければならないはずだ。少なくとも俺達が住んでいた場所では見られない。

「っ!皆は!?」

あたりを見渡すと三人が俺の横に横たわっていた。

(ケガはっ!?)

考えるよりも先に体が先に動く。手早く三人のケガの有無を調べ、三人とも外傷が無いことを確認する。

(ケガは…していない?あの高さから落ちて?全員?)

そんなことがあり得るのだろうか。そう考えこんでいると。

「皆っ!!」

ヒロが跳ね起きるように起き上がる。

「はっ?え、はぁっ!?」

この森の後景見て。俺と同じような反応をする。

「ヒロ!」

とりあえず呼びかけると。一瞬で振り向いた。

「りゅう!無事だったか!他の皆は!?」

「安心しろ、お前と同じで無傷だ。ほらっ!」

俺の両肩を勢いよく掴んだヒロを落ち着かせるように他の二人を指さす。

「タカ!イッちゃん!無事だったかぁ~。あー良かったぁ…」

一安心したのかその場に崩れ落ちて安堵のため息をつく。するとヒロの大声で目が覚めたのか二人もゆっくりと起き上がる。

「な、なんだこれは!?」

「なに、これ…?」

やはりこの森の風景に圧倒されたのか口を半開きにして二人とも固まっていた。

「タカちゃん!イッちゃん!」

そう言って手を振ると先ほどまでの状況を思い出したのか二人は俺たちへ振り向く。

「とりあえずは全員無事みたいだなぁ」

俺がそう言ったことを口切りにワッと歓声が上がる。

「ぅう、僕のせいで皆死んじゃったと思ったよー」

「ははははっ!まぁいいじゃねーか!それに親友を助けるのは当たり前だろう?」

「ヒロの言うとおりだ。まぁ今回ばっかりは死ぬかと思ったがな」

お互いに無事を笑いあう。俺も死を覚悟するほどやばかった。

「まぁ、無事でよかったが…ここ、どかだ?」

俺の言葉でお祝いムードだった雰囲気は一蹴され、皆それぞれ考える。

「俺らの地元では…ないよな」

「あぁ、そもそも谷底からどうやってここに移動したのか意味不明だ」

「誰かがここに運んだのかなぁ?」

「だとしても普通、病院だろ?どうして森の中なんだ?」

うーんと皆がうなるが具体的な考えが浮かんでこなさそうなので話を打ち切りにする。

「まぁ、ともかく辺りを探してみようぜ」

「ああ、それもそうだな」

「了解だ」

「う、うん」

俺がそう言いながら立ち上がり、あたりを見渡すがやはり目の前に広がるのは緑豊かな森だ。

「うーん。誰かが運んだような形跡はなさそうだな」

「ああ、俺たち以外の靴跡は無さそうだ」

「すげーな!そんなの分かんのかよ!」

「動いたのはお前たち二人だけだからな。そんなに難しいことじゃない。」

いや、すげーよ。盛り上がる二人をよそに俺は草木をかき分ける。すると遠くに少し開けた場所を見つける。

「おーい!向こう側開けてそうだぞー!」

皆を呼び、俺を先頭にして草根をかき分けながら進行する。

「お、本当だ!開けているぅ——?」

言葉が不自然に途切れるのも無理もない。目前に広がるのは地平線が見えるのではないかと思えるほどの草原だった。

「うっそぉ——…」

イッちゃんが思わずそうつぶやいてしまうほど果てしなく広い草原だ。

「ここ、日本か?」

「北海道ならあり得る話だが…。」

そう、地元が北海道ならあり得た話だ。だがあいにくと北海道から地元はかけ離れている。

「じゃー、外国?」

「海を越えて?そんなバカな…」

「異世界?」

「ラノベでもあるまいし、だが…」

そう、否定できないのだ。それほどまでにここまでくると現実離れしすぎて。思考が追いついていかない。ヒロが最近おすすめしてくる小説にこういう展開のものが存在していた。

「あははは…ステータスとか言ったらなんか出てきちゃったりしてー」

「イッちゃん…」

俺が恐る恐るイッちゃんの胸辺りに出てきたソレを指さす。

「本当に出てるっ!?」

何!?全員がイッちゃんのそれを凝視する。あまりにも非現実的すぎる後景に皆、言葉を詰まらせる。

ソレまるで半透明のモニターのようだった。

「なっ、何て書いてあるっ!?」

言葉を失っていたイッちゃんは恐る恐る口を開き、決死の様な表情で言った。

「僕の、それこそゲームの様なステータスだ…」

まさかっ。と、ヒロとタカちゃんが同時にステータスと口にし、自身の前に現れたモニターを絶句しながら凝視している。一歩遅れながら俺もステータスと唱えると目の前にそれが表れた。

簡素だがこれが俺のステータスのようだ。俺は、俺達はあまりにも非現実的後景に言葉を失うしかなかった。


Araki Ryutarou(荒木 竜太郎) 17age


Lv1


HP 980

MP 370


STR 31

VIT 27

DEF 30

DEX19

AGI 14

INT 15

LUK 9


SKILL

 ・仲間思い(ユニーク)

仲間がピンチ時、STRとDEFが上昇(ピンチの度合いによって変動)

MAGIC

 ・(空白)



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ