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プロローグ

「ふー、これは丁度よさそうだな。」

大男だ。程よく焼けた肌と筋肉質な体系と相まって、実年齢を言ってもなかなか日本では信じてはもらえないだろう。

「おっ、これもこれも!」

そう言って、大男は地面に落ちていた枯れ木を一人で拾い、脇に挟む。火をおこすには生木ではなく、こういう乾いた木でないとよく燃えない。最近になってようやく一目で見分けがつくようになってきた。今では自分のちょっとした特技になりつつある。

「そろそろいいかな」

いつの間にか枯れ木で腕から落ちそうなほど一杯になっていた。これだけあっても一晩で使い切ってしまうほど、この時期はまだ夜の気温が落ちてしまうのだ。いくらステータスで体が強化されていたとしても寒いものは寒い。

(ふぅーそろそろ戻るか)

別に疲れたわけではないが一息をつきつつ周囲を見渡す。そこには鬱蒼とした生い茂る森があった。新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込み堪能するが、油断なく辺りを窺う。いくらこのあたりに魔物がいなくて安全だといわれても気にせずにはいられない。勘は元々鋭い方でも索敵スキルは無いのだ。無意識に行きより少し急ぎ足に皆のいる野営地に戻ってしまうのはしょうがなかった。

しばらく歩くと何やら陽気な笑い声が聞こえ始めてくる。こっちの気も知らないでバカな話で盛り上がっているのだろう。

「やれやれ…。おーい!薪持ってきたぞー。飯の支度はできてんだろうなー」

嘆息交じりに草木をかき分けながら辿り着くと、少し開けた場所に大小様々な石を円状に並べた周りに、三人の仲間が和気あいあいと魚を串刺しにしていた。

「おっ!なんだよ。川魚でもとれたのかよ、すごいな」

感心しながらそうつぶやくと今になって気づいたのか。

「りゅうちゃん薪集めおつ~。ほんじゃーさっさと焼こうぜー」

いや、近づいてくるのが分かっていたのか、それほど驚いた様子も無く背中を向けていた痩身の少年が言った。残りの二人はようやく気が付いたらしく満面の笑みで自分達の成果を見せつける。

「どう!?りゅうちゃん!すごい?すごくね!?」

「俺ら二人で8匹だぜっ!快挙だよ快挙っ!」

背が低い美少女っぽい少年と中肉中背の少年がだらしなく頬を緩ませつつ、それぞれの両手に持つ魚を見せる。

「おお…本当にすごいな。でもどうやって…?」

想像以上の収穫に素直に驚く。

「ふっふっーん。それはねぇー」

「いいからさっさと焼こうぜ!腹減ったよ!」

「ぶー!」

美少女風の少年が自慢話のように聞かせようとするが、痩身の少年が我慢できないのか遮る。

「はっはっは!まぁ、食べながら話そうぜ。」

「それもそうだねぇー」

そうして、また陽気な笑い声が始まり、小さな宴は盛り上がっていく。

極々ありふれた日常なのだろう。だが、彼らの装備はとてもアウトドアと呼べるものではなかった。

いや、今現在では最もアウトドアに相応しいのかもしれない。

まず、最初に目につくのが武器だ。現代日本では持つことでさえ違法に問われる大型の剣、弓、ナイフ、メイス、そしてファンタジー世界お馴染みの杖。それぞれの体を覆うマントの下には、金属系の軽装、皮鎧、魔法使いの様なローブ、神官風のローブを身につけていた。更には腰や腕にベルトに括りつけられたポーチやナイフ。これだけみればどこかのコスプレ撮影現場に迷い込んだのかと事情を知らないものから見たらそう思えるのだろう。だが現代日本、いや、現代の世界と大きな違う点がある。

「よーし!木の配置はこんなバランスだろう!火起こしてくれ!」

「あいよー」

中肉中背の少年が器用に薪を組み痩身の少年に火起こしを頼むと痩身の少年は右手を焚火にかざす。

「ファイヤ」

痩身の少年が呟くように唱えると、まるで少年の手から火が出てきたかのように火が薪に燃え移る。たちどころに焚火が燃え始めるが、他の三人は特に驚いた様子も無く串刺しにした魚を焼いていく。

(薪を探すのも魔法でどうにかならんかね)

完全にこの世界に毒されているのか意味のないことを考えてしまう。

(そういえばまだ一か月だよなぁ…。いや、もう一か月か…)

焼けていく魚を眺めながらふと、あの日のことを思い出してみた。

一か月前に起こった、俺たちの人生の転換期を。

俺たち四人で何が何でも生き抜くと誓ったあの日を。


初投稿なので誤字など多々あり、小説の書き方もいまいち分かっていませんが、温かく見守ってください。更新不安定です。。

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