一千年前の爪痕
「クー君流石だねー。略してさすくーだねー。私はあの人と戦っても勝てる気がしないよ」
「畑山、離せ暑苦しい。というかあの人も多少様子見してたからな。本気で戦ってたらどうだか」
最後の攻撃。思考を加速して引き延ばされた時間のなかで同時に攻撃してきていた。四倍だぞ。四倍の時間のなかでどうやったら十個同時に攻撃できるんだ?
「あの強さ、おかしいだろクレルス。お前、何を隠してる⁉」
突っかかって来たのはいわゆるいじめっ子の沢田だ。それに付随して西本と村田も突っかかってくる。面倒なのに絡まれた。
「何を隠してると言われてもな、心当たりがない。そらまぁ少しの隠し事くらいはあるが、強さについては今まで親達に習った技とかが通用しただけだろ」
もちのろんで嘘。真っ赤も真っ赤。トマト投げ合う祭りくらいには真っ赤な嘘だ。種族を誤魔化しているのだから。
「お前だけ何かチートでも貰ったんじゃないのか‼そうじゃないなら何でそんなに差が出るんだ。今日の訓練でレベル2になったやつもいるけどお前は最初からあの強さだっただろ」
「レベル2ごときと一緒にしてくれるな。俺はレベル18だ。比べる方が間違っている」
チートとか一言で人の努力を全て否定して欲しくはないな。というか一日、それも三時間程度でレベル2に上がってるお前らの方がおかしいわ‼
「やっぱりチートだろ。なんで18もあるんだよ。戦争とかもなかったから皆1スタートじゃなかったのかよ!」
「今までの地球での訓練の成果だ。向こうで戦うことがなかったから皆1なだけで格闘技をやってる奴とかはもう経験値が貯まってたのかしらないが2になってる奴が多いだろ」
「それでも2じゃねぇか。18じゃないだろ‼」
「一旦落ち着けって、な、」
御子神が仲裁してくれたのは正直に言って助かる。イケメンで性格もよくて人望があり、運動も勉強もできる。努力を怠っていない人間の身体つきと目をしている。立派で凄い奴だと思う。できればこちらの陣営に引き込みたいな。
「クレルスすまないがステータスを教えてくれないか?勿論、スキルに触れるのはタブーらしいから聞かないが、力とか体力や防御、魔力とかそういった所だけでもな。頼むよ、じゃないと皆納得しないしさ、って聞いてる?」
【思考加速】、【並列思考】【覚醒】からの【限界突破】。時間を六倍に引き延ばす。考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ。
なんで力とかのステータスがあるんだ?俺の所には表示されてない。伝承では一千年程前の先代勇者のときにその時の歴代最強の魔王様とその親戚の人によって力とかのステータスはこの世から存在が消されたはずだ。
「ステータス‼」
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クレルス・ベルク
種族 悪魔、サキュバス、ドラゴニュート、ゴーレム
レベル19
力1150
体力1100
防御力1150
魔力1110
器用1000
知力1110
スキル
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なんでだ。可能性としては神の干渉。勇者をこっちに送るときについでに干渉したか?それにしては時系列が合わない。流石の神も手こずったのか?だとしたらざまぁ見やがれ。勇者を勝手に召喚する奴らだからな。精々苦労しやがれ。
「先生、クレルスが反応しません。どうしますか?」
「ベルク君はたまにそうなります。何か考えごとをしているみたいなのでそっとしてあげてください」
あのーちょっと?もう大丈夫なんですけど?というか佐藤先生俺の扱い酷くないですか?
それからステータスの中身を打ち明けた。逆に奴らのステータスも打ち明けて貰ったが。平均七百だった。というかチートチートうるさい。まぁ親達の力がヤバイから名付けるなら血縁チートとでも言った所か。
しかしこれは要報告事項だな。今日報告するために訓練の休み時間に報告書まとめとくか。ペンと、ノートもいくつかあるからそこに纏めとこう。




