新人歓迎⁉︎
「何も食べていないのだろう。各種族代表との顔合わせついでに夕餉にしよう。何、緊張することはない。新人歓迎の飲み会とでも思ってくれればいい。それに、サーシャの息子だ。皆歓迎するだろう。ほら、皆来たぞ」
「コイツがサーシャの息子?それにしては色々種族混ざりすぎていないか?ドラゴニュートとゴーレムも混じってるぞ」
まぁそらそうか。母さんは悪魔とサキュバスとのハーフなのに他の種族の特徴が見えたら変に見えて当然だろうな。
「目の周辺の魔紋を見なさい。顔の中でも右目にあの形で魔紋があるならサーシャとの血縁者の可能性が高いだろう。私はゴブリンの長をやってる、農林水産大臣のオリビア・クラフトよ」
魔紋というのは悪魔の持つ特徴の一つで、悪魔なら顔に必ず黒い痣のような紋がある。多くの場合、魔紋の位置や形は遺伝する。あとは髪が銀髪なのも悪魔の特徴だ。
「疑ってすまんな坊主、私ゃオーガの族長やってる、紅鬼酒牙だ。なにぶん頭が雑でな、軍務大臣やってんだ。というかオーガは基本軍務省以外に属さん」
剛気な女性のようだ。こういうタイプ、嫌いではないのだが、人の話を聞かない傾向があるからな。オリビアさんに丸投げしておこう。なんか仲良さそうだし。
「俺はコボルトの族長だ。うちの者が世話になったな。名前はフォビオ・ウルフ。厚生労働大臣と外務大臣代理をしてる。困ったことがあったら相談しろ、同胞を助けて貰った礼だ、なんでも言ってくれ」
「私からも礼をいう。シャドウのクライム・パールだ。部下が世話になった。感謝する。魔王補佐官だから顔は広い。人脈を頼りたいときは言ってくれ」
ここで人脈を作れたのはありがたい。特にシャドウの人はまだ新人の俺にとっては強い後ろ盾だ。
「オーク族のアーク・トークだ。名前が被ってるから覚えやすいだろ?国土交通大臣をやってる」
オークのアーク・トークってすごい偶然だな。十回連続で言えと言われたら確実に分からなくなる。なんたらタルト崩壊とか言うやつだな。
「ゴーレムのクライ・スチールよ。法務大臣。私はクライ、あっちのシャドウ族族長がクライムよ。よく間違えられるの。出来れば覚えて欲しいわ。割と切実に」
「儂は運輸大臣のアルフレッド・ノーバルだ。君はドラゴニュートの血が混ざっているだろう。誰が血縁だ?サーシャの血に負けずに体に特徴が出るのは余程の戦士だろう」
「ブブーッッ・・・・・・ゴホッ、ゴホッ」
ダメだお茶噴き出した。アルフレッド・ノーバルって。ダイナマイトの発明者とほぼ一緒の名前か。ノーバルかノーベルか。間違えそうだ。
「祖父がドラゴニュートで、グレン・ベルク・・・って苦し・・*☆$〆<|@〒」
「本当に、本当にグレンなのか。本当にグレンなのか!!!!!!」
「いや・・・£÷々€首っ、締まって・・・ちょ」
ヤバイ呼吸が。【思考加速】【並列思考】考えろどうしたら呼吸が。そうか、空気を直接肺に転移させて肺の中の空気を転移させてを繰り返せば。【転移】【転移】【転移】って、これだと会話ができないし魔力的にジリ貧。ぶん殴るか?
「落ち着けアル爺」
「すみません、魔王様」
「はぁ…どういうことか、説明してやれ」