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集団召喚、だが協力しない  作者: インドア猫
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城内戦・サーシャ

現在、クレルスの戦いの決着を未来の自分に丸投げ中。

「いい加減死になさい、死に損ないのクソ悪魔」

「口が悪いわよ、血塗れ聖女。私がしばらく住んでいた場所では発した言葉は帰ってくるっていう風習があったわよ」


 そんな罵倒の仕合をしながら常人が入れば余波で死ぬような苛烈な戦闘を繰り広げる二人。というか聖女の口が悪すぎる気もしなくもない。


 昔、拳で語り合う聖女とか呪術を使う聖女とかがいたらしいが、それはまた別の話。


 ぶつかり合う大剣と刀。一方は聖剣。もう一方は魔剣。血塗られた歴史を歩んできた武器がぶつかり合う。光を纏う剣と毒の霧を纏う刀。


 そこにあるのは一撃必殺の応酬。聖女の攻撃は神速。かつて騎士団長が見せた技の上位互換。15の刃が襲いかかる。


 一方はまるで流水。15の剣を避け、受け流し、そのまま攻撃へと繋げる。まるで予定調和だと言わんばかりの綺麗な流れで殺意の剣を振るう。


 だが予定を上回ってこその神速。するりと、されど死を招く為に振るわれた袈裟懸けを圧倒的な反応速度と効率で跳ね返す。実はアマゾネスの女帝と馬が合う理由はこれだったりする。


 跳ね返された刀。だが刀がなくとも己が肉体があるといわんばかりに猛蹴を放ち、敵対者の脇腹を穿かんとする。


 それを回転しながら避け、そのまま大剣を振り、その素っ首を叩き切ろうとする一撃が繰り出される。この間五秒も経っていないというのだから目を見張る。


 二人が戦場と成った広い会議室を縦横無尽に他人のことなど気にすることなく駆け巡る。アマゾネスの女帝にもドン引かれる程には自分勝手、自由奔放な暴れっぷりだ。


 クレルスの父と近衛騎士達の戦いを盛大に邪魔してたりするが、当の本人たちは全く全然これっぽっちも気に止めていない。


 近衛騎士が少し涙目になり、国王が荒れ果てた会議室を見て疲れた目をしていても彼女らには関係のない話なのだ。


 そんな暴れまわる二人がこの場において、この場にいる、人間魔族関わりなく、全ての者たちにとっての最悪の感想を述べる。それすなわち、


「「狭いッ‼」」


 かつて戦いの最中に邪魔だとか言って林を丸々焼け野原にしたときの再演が起こる。王国の人間は「あ、死ぬな。死んだわ。自分乙~」みたいな複雑怪奇で珍妙な顔をしている。


 その直後、意見が合致した二人は殺し合いを一時中断し、会議室を破壊した。いや、正確に状況を告げるのならば城の一郭ごと丸々吹き飛ばした。


 奇しくもそれはクレルスとアマゾネスの女帝が本気だす宣言を出した瞬間だった。


 形容し難い轟音が鳴り響き、床は割れ、壁は崩壊し、天井からは日の光りが差し込む。


 アマゾネスの女帝は諦めたように「あーあ、やりやがったなこいつら」と嘆き、クレルスは母親のアホみたいな所業に思わず悪態をつく。


 近衛騎士は……もう哀れだから触れないであげよう。しれっとクレルスの父が落下中の近衛騎士を仕留めにかかっている。崩壊し、落下する瓦礫の上を歩くという、壇之浦八艘飛びを模倣した離れ業で。


 戦場は混沌と化した。


 犯人二人は満足そうに頷いている。

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