自称モブ、学年一の美少女に告白される
なんとなく2作品目です。
こっちの方が自信作かも?
面白いと良いなぁ。
全てが平均。これが俺、佐野明人だ。
勉強と運動は普通。良し悪しはない。本当に普通なのだ。
顔に至っては平均以下な気がする。
………うん、自分で言ってて悲しくなってきた。
取り柄と呼べるような特技も何もなし、さらに友人と呼べるような間柄の人物は二人だけ。そんな教室の背景と言っても過言ではないモブこと俺。
───なのに
「佐野明人くん!私はあなたのことが好きです!」
………これは一体どういうドッキリだ?
◇◇◇
遡ること四時間前の昼休み。今日も俺は机から一歩も動かず一人黙々と弁当を食していた。
そうしていると近づいてきた足音が自分の机の前で止まったのが分かった。
「よぉ明人。相変わらず一人飯は寂しいもんだねぇ」
「うるせぇよ大輝。お前がいるからいつも二人飯だ」
そうだな!とアホっぽそうに掌に拳をぽんと叩いたこいつは松村大輝。学力も運動能力も優秀で、更にイケメンという神様から褒美を与えに与えられまくったやつだ。
勿論滅茶苦茶にモテる。コミュ力もくそ高い。
なんでそんなやつが俺みたいなモブと二人仲良く飯を食ってるかって?
「まぁまぁそう言うなって。折角幼馴染み兼親友が来てやったんだ、ちょっとくらい喜んでも良いんだぜ?」
つまりはそういうことだ。
大輝とは物心つく頃から一緒にいた。腐れ縁というやつではなく、今もこうして二人でいつも飯を食ったり、頻繁に遊びに行ったりするくらいには仲が良い。
「そうだな、わーうれしーなー」
「全然心籠ってねぇなおい!」
目の前で騒ぐ大輝を軽く無視し、ふともう一人がまだ顔を見せていないことに気付く。
「あれ、穂花はどうしたんだ?」
「あぁ、穂花は今日友達と学食行くって言ってたぞ」
「穂花って友達いたんだな………」
「それ一番お前に言われたくない台詞だと思うぞ」
大輝からの正論が心に刺さる。こいつ意外と容赦ないんだよなホント。
因みに穂花とは大輝の彼女のことで、中二の時から付き合っている。俺みたいなモブでも仲良くしてくれているので良いやつなんだと思うし、毎日いろんな意味で胸焼けするくらい大輝と穂花はラブラブだ。
それに高校に入ってからはいつも大輝と穂花は俺の所で昼食をとるので、大輝はともかく、穂花はこんなに彼氏を優先していて友達はできているのだろうかと保護者でもないのに心配していた。
「ま、まぁ穂花にも友達と呼べる人がいるみたいで何よりだな」
「お前もいい加減友達の一人や二人作れよなぁ」
「いやお前と穂花いるし十分なんだが」
「もっと作れよ」
切れ味の良い速度のあるツッコミが飛んで来た。いやはやごもっともでございます。もっと作ります頑張ります。
まぁ、と大輝が続ける。
「お前がまだ人と関わりたくないって思ってるのは分かってるつもりだ。だから無理はするな。でも、俺達より頼りになるやつなんて山ほどいる。だから少し頑張ってくれよ」
大輝がいかに真剣かは、目を見て分かった。こいつは大事な話をするときはいつもキリッとした鋭い目付きから少し穏やかな目付きに変わる。俺をどれだけ心配しているかは、容易に想像できた。
だが、あまりに突然にそんな真面目な話をされて驚いたせいか、「あぁ、ありがとな」くらいしか返せなかった。
そこから大輝も言い過ぎたとでも思ったのか少しの間沈黙が続いた。
それから二人とも口を開くことはなかった。だが、
「おーい明人ー!客人を連れてきたわよ!」
「うぉっなんだ!?」
いきなり教室に駆け込んできたかと思えば入り口で俺の名前を叫びやがった。めっちゃ視線来てます、どうしてくれるんですか穂花さん?
それに俺より先に驚いてどうする大輝。俺が驚くタイミング失くなったぞ?てか客人って誰?
色々ツッコミどころや疑問が浮かぶが落ち着け俺。取り敢えず今一番気になっていることを聞こう。
「でかい声で俺の名前を呼ぶな。それで?俺に客人ってのは誰のことなんだ、穂花?」
「そうそう!私と大輝しか友達がいない明人に客人がいるんですよ!」
「余計な一言だなおい!」
穂花は滅茶苦茶明るい。俺の明るさを全部こいつが奪ってったんじゃないかってくらい。だからこいつと話すといつもの倍は疲れてしまう。いつも俺と穂花にツッコミをしてる大輝の苦労が分かる気がする。
すると穂花の後ろに人がいるのが分かった。ここからじゃ顔が見えないが周りのやつらや大輝の反応から察するに皆が知っているような人なのだろうか。
「まぁまぁ。それより、ほら遥香?目の前にあの明人がいるわよ」
「えっ!?あっ、う、うん、そ、そうだね!」
遥香と呼ばれた後ろの人が慌てて俺の前にやってきた。
とてつもない美少女だった。
明るい茶髪のミディアムヘアーにまるで雪みたいとベタな表現ができるほど白く綺麗な肌。顔はモデルかのように小さく、目はそれと対照的に大きく、睫毛も長い。頬は何故か緊張しているのか紅く染まっている。
何故こんな美少女が俺に?とか、何故緊張している?とか、そもそも誰だこいつとか色んな疑問が浮かぶがどれも直ぐに頭から消え去ってしまう。
思考すら止めてしまうくらいの、そんな美貌だ。
………いやいやいや、なんでこんな美少女が俺相手にこんな緊張してんの?
はっとして直ぐに思考を巡らせる。いかんいかん、つい見惚れてしまいそうになった。
取り敢えず今一番気になっていることをぶつけよう。
「えーと、あなたは誰?」
「「は?」」
「あれ、わ、私のこと、知らない?」
うん?なんで大輝と穂花はそんなゴミを見るかのような目でこっち見てんの?ちょっと怖いよ?
「あ、あぁ、初めまして……だよな?」
「私、天野遥香って言うんだけど……」
名前を聞いてもいまいちピンとこないな………いやしかし、これくらいの美少女だ。たとえクラスが違えど噂にくらいなるし、大輝だって俺に何か言ってくるはずだ。
………ん?天野?美少女?
「あーーーー!!」
急に大声を出してしまったがために周りから注目されてしまった。「すんません」とだけ言い続ける。
「そういえばこの前大輝が天野さんがどーのこーのって言ってたわ」
「あ、私のこと知ってた……!良かった……!」
余程自分の知名度に自信があるらしいのか俺が知っていただけで安堵していた。
これくらいの美少女だ。少しくらいプライドがあるのだろう。
それより、だ。
「なんで天野さんが俺なんかに用事が?」
「あ、あぁ、そのことなんだけどね?話したいことがあるから、放課後屋上まで来てくれない?」
「はい?」
圧倒的★超・展・開。
何故だ。何故俺が屋上に呼ばれる?落ち着け、落ち着くんだ明人。考えるんだ。
…………駄目だわっかんねぇ!全っ然わっかんねぇ!何が目的だ!?
そんなことで頭を悩ませていると昼休み終了のチャイムが鳴った。
「あ、もう昼休み終わりかぁ。じ、じゃあまた放課後!待ってるからね!」
「お、おう……」
結局勢いに任せて返事をしてしまった。
「明人良かったなぁ!これで友達三人目、いや彼女かぁ?」
「いやそんなことはねぇだろ」
明人の冷やかしを受けつつ、パタパタと教室を出ていった学年一の美少女の背中を見続けていた。
◇◇◇
午後の授業はいつもより二倍速く過ぎていったような気がする。
そう感じたのはきっと、これから俺が屋上へと呼ばれるからだろう。
俺は何かを期待しているのか?
ふと、昼休みの終わりに大輝から冷やかしを受けたことを思い出す。
いや、ないな。友達ならあそこで言えばいいし、そもそも告白とかどうして俺なんかにと思う。
自慢ではないが、俺は全てが平均だ。勉強も運動も、顔に関しては最早平均以下だ。
………言ってて悲しくなるし自慢じゃないねこれ。
そんな俺に告白は絶対に有り得ない。本人の俺が言うんだ。絶対にない。
そんなことを思いながら屋上へと続く扉に手をかけ開けると、そこには既に天野遥香の姿があった。
「もう来てたんだな」
「うん、早く言いたくて」
そう言い微笑んだ天野さんに少しドキッとしてしまう。
そしてどこか懐かしいと思ってしまった。
「そっか。それで、俺に何を言いたいんだ?」
きっと人助けの礼とかそんなのだろう。俺はよく人助けをするし、覚えていないだけで、どこかで天野さんを助けていたのかも知れない。
天野さんは緊張しているのか、深呼吸をしている。
そこまで緊張しなくても良いのにな。
だが、俺のそんな淡い期待は次の一言で崩れ去る。
「佐野明人くん!私はあなたのことが好きです!」
「………はっ?」
………どいうことだ?
どうでしたか!?
面白かったですかね!?
あらすじにも明記してある通り毎週水曜日にアルファポリス様と同じ時間帯に投稿させていただきます!それでは!(^_^)/~~