得た者、去った者
『ボスモンスター:コボルトーガ・Fの討伐を確認!』
『最終攻撃者はサンダルクさんです。おめでとうございます!』
『称号:【一種撃破者】が【二種撃破者】に変化しました!』
『称号:【初撃・一種撃破者】が【初撃・二種撃破者】に変化しました!』
『あなたには次の討伐ボーナスが授与されます。【討伐】【初撃破】【MVP】【最終攻撃者】【単独撃破】』
サンダルクのウィンドウにボスモンスターを倒したシステムメッセージが次々と現れる。
光がボスを倒したのはこれで二度目。以前にも似たようなメッセージを見た事があった為、これを見ることで無事倒せたと言う事を実感できた。
「……はぁ、疲れた」
光自身が飛んだり跳ねたりした訳では無い。しかし集中してたせいか疲労感から息を吐くと、思わずその場に座り込んでしまった。
(と言うか名前違ったのか……)
持ってる武器と属性以外一緒と聞いていたため、ずっとコボルトーガと思っていた。だが実際はボスのためか後ろに妙な符号が追加されており、その事実に光は驚きを隠せないでいた。
これは地味に貴重な情報では無いだろうか。【世界樹の図書館】に行けば多めのYPが貰えるかも知れない。
(後はボス撃破報酬とボーナスがあれこれと……)
インベントリを確認すると何やらアクセサリーみたいな物等が色々と入っていた。
とりあえずその辺は後で確認することにし、サンダルクは【重桜無刃】を大太刀状態から十手に戻すとそのまま腰のベルトに挟みこむ。
すると先ほどまで隠れていたファルナが何やら興奮した様子でこちらへとやってきた。
「すごい、すごいです!」
物凄い明るい笑顔を見せる彼女は光に取ってひたすら眩しく映る。
確かにこの性格だとあの二人が良い格好をしたったのも無理もなさそうだなぁ、と内心で苦笑を浮べていると、周囲からもぞろぞろと他のプレイヤーが姿を現した。
あれだけ激しく戦っていたのだから集まるのも無理ないこと。そもそも現在この森にはプレイヤーが溢れるほどにいる場所だ。
そんなところでボスとドンパチしていたら気になって来てしまうだろう。色んな事が楽しい初心者の時期なら尚のことである。
「あの、サンダルクさん。大丈夫ですか?」
「あ、え、その……うん……」
不意に眼前に移ったファルナの顔に反射的に上体を逸らし距離を離しつつ、何とか返事と共にサンダルクは首を縦に振る。
(あの二人ならもっとかっこいいことを言ったりできるんだろうなぁ。早く帰ってこないかな……)
正直なところ、光ではこの状況は息が詰まるので早めにあの二人には帰ってきて欲しかった。
二人のキャラクターが消えてからそこそこ時間は経過している。そろそろ戻ってきても良い頃合いであるが、残念な事に彼らはまだ現れそうにない。
あの二人なら周囲の野次馬プレイヤーを押し退けてでもファルナの所にやってきそうなんだけどなぁと思っていると、笑顔だったファルナが何か不思議なものを見るような表情へと変わっていく。
「あの、サンダルクさん……それ……」
「……?」
おずおずとファルナが指を指すのはサンダルクの腹部あたり。
先ほどの十手でも見たいのかなと手を動かそうとしたその時、何故か腕が動かない事に気がつく。
「あれ……?」
視界に映るステータスに状態異常系の表示は無し。
何事かと光が視線を自身の腹部に向けるといつの間にかロープで簀巻きにされていた。
更に言えば体から伸びるロープを追うとその先には二足歩行の犬のぬいぐるみ……ではなくコボルトの姿。
敵としてのコボルトはもっと薄い青みがかったグレーと白のツートンカラーだが、目の前にいるのは色違いなのか緑色と白のコボルトだった。
つぶらな瞳のコボルトとサンダルクの目が合うこと二秒。
「て……」
「喋っ?!」
「てっしゅー!!」
「さ、サンダルクさーーーーん!!」
緑色のコボルトが叫ぶと同時、草むらに隠れていたのか数匹のコボルトが突如現れサンダルクを担ぎ上げる。
そして有無を言わさず彼を草むらに連れ込むとそのまま姿が見えなくなってしまった。
この間僅か十秒足らずの出来事。
まるで突風が吹いたかのように慌しく物事が進み、そして文字通り消え去る。
後に残ったファルナら初心者プレイヤーたちは一体なんだったんだろうと首を傾げるも、結局誰もその答えを見出すことは出来なかった。
Tips ~称号・討伐ボーナス~
称号は何かを成した際に貰えるプレイヤーキャラクターへの栄誉の証。
戦闘以外でも様々なことで貰える。
なお一番多い称号は『探索者』(取得条件:世界樹の図書館で探索者の本を受け取る)
○種撃破者:
ボスモンスターを討伐した者の証。種は種類の事、○には数字が入る。
トドメを刺す必要は無く、ボスモンスター討伐の際に参加したメンバーが受け取る事が出来る。同じボスを倒したときは受け取れない。
初撃・○種撃破者:
そのボスモンスターに対し、ゲーム内で初めて討伐したメンバーに贈られる称号。○には数字が入る。
殆どのプレイヤーが得ることが出来ない希少な称号。最前線トッププレイヤー達が持っている事が多い。
その為初撃所持者は世界樹の図書館のボスモンスター項目で初討伐メンバーとして記録される。(情報開示には大量YPが必要)
討伐ボーナスは該当のボスモンスター討伐の際に各プレイヤーに付与される。
様々な種類があるが今回はサンダルクが得たものを抜粋。
討伐:
討伐時メンバーが貰える。いわゆる参加賞。
初撃破:
そのボスモンスターに対し初めて討伐した際に貰える。二度目からは無し。
上記の初撃の称号とは別物。
MVP:
その戦闘において最も活躍した者に与えられる。
純粋なダメージで決まるわけではなく、ボスモンスターAIから見て一番厄介だったプレイヤーに贈られる。
その為タンクや支援職のみならず、指示を送ると言ったプレイヤースキルも加味される。
サンダルクはソロ討伐だったので必然的にMVPが貰えた。
最終攻撃者:
ラストアタッカー。高攻撃力のプレイヤーに贈られやすい。
単独撃破者:
ソロでボスを討伐した際に貰える。




