春忘
忘れない内に
メモを取ろうと
通りの休憩所に座る
道沿いの春花は
黄と紫の色香で
出迎えていた
一纏まりの羊のように
太陽に育てられている
見とれている内に
メモを取ろうとした内容を
何処かに忘れた
春のCMは
どんな物より
煌々としている
セクシーであり
爽やかであるから
命が気づくのだろう
少しだけ
馬鹿にされた様な気もして
頭の中に
波線を引いた
立ち上がり
歩き始めると
忘れた物を考える
思い出すのでは無く
考えた方が
芯に近い物が
浮かんだりする
頭を回すと
春香がして
ふと
歩みを辞め
振り返って見る
変わらずにある花の色
ずっと前から
変わらずにある春の色
さて
何を忘れたのだろうか




