表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

30歳の誕生日を異世界で迎えたおっさん

「死んでも美しくない年齢になったな」


30歳になった最初の感想がそれだった。

僕という一人称も、自殺という言葉も、何もかもが相応ではない年齢になった。


家庭や結婚という言葉に憧れて、けれど、一歩踏み出す勇気はなくて。

漫然と過ごしてきた30年だった。


チャンスがあったようには感じないが、チャンスを掴もうともしていなかった。


状況してから出てきて6年経った。年収260万、非正規雇用の30歳になった。

友達も、彼女もいない30歳になった。


いつ死んでも構わないと思ってる。

もしも世の中の役に立って死ねるなら、死にたいと思っている。


「はー、誰も祝ってくれねぇし。神さまが誕生日プレゼントにダンジョンでもくれねぇかな。剣と魔法のファンタジー世界で夢を追って野垂れ死にしてぇよ」


はぁ、馬鹿らしい。

アホなこと言ってないでとっとと寝よ。


そうして、俺はいつも通りベッドに入った。



* * *



目覚めた瞬間、寝坊した感覚があった。

目覚ましが鳴っていない。

窓の外では太陽が昇りきっている。


「やっべ! 遅刻!」


飛び起きて携帯電話で時刻を確認しようとするが、枕元にいつも置いているスマホが見つからない。

脳みそが遅刻していることを知らせて、心臓がバクバク音を立てている。


慌てて窓の外を見て、異変に気がついた。


「あれ、これどこだ?」


窓の外が大自然になっていた。


杉っぽい樹木がたくさん生えている。

端的に言って、森が広がっていた。


よく見ると、部屋も昨日までの自分の部屋ではなかった。

木で作られたログハウス風の部屋……いや、多分これは小屋だ。


簡素な木製ベッドに、机、少し大きめ宝箱のような箱があり、壁には剣や槍がかけられている。

机の上には手紙が置いてあった。


混乱する頭のまま、手紙を手に取る。


『誕生日プレゼントで、ダンジョンを一つプレゼントしました。

 玄関を出てすぐのところにダンジョンはあります。

 最初なのであまり難しいダンジョンにはしていませんが、最深部のボスを倒した際に、より強力なダンジョンを出現させるか、もとの世界に戻るかを選択することが可能です。

 

 小屋の中のものは自由に使って構いません。

 ぜひ、ダンジョンを楽しんでください!

 

 神より』


夢かな……ゲーム脳ここに極まれりって感じだな……あっ、なんか2枚目がある。


『なお、この手紙は3秒後、自動的に消滅します』


お、おう。なんかすごい光の粒子みたいになって手紙が消えてったよ。

爆発じゃなかったから、この神さまはド◯ロベエ様ではないらしいな。


とりあえずどうしよう……目の前に武器類はあるけど、着替えや食事類がないな。

夢じゃなかった場合に備えて、とりあえず所持品の確認でもするか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ