光
あれからだいぶ外の騒がしさも消えた。
何時くらいだろうか、夜の虫も聞こえない。静まりかえる星星の明るさが少年にここでの一番の心地よさをもたらした。
冷たい鉄格子の中、ザラザラとした土の上なのに、何故か少し暖かい。
空気は冷たいのに体が熱く火照る。
皮膚には震えた時のぶつぶつが出ている。
その暖かさに少年は薄着でも過ごせるような心地で横になった。
、、、意識が混濁してくる。
すると、少年になにか眩しいものが照らした。
つぶっていた瞼をさらにぎゅっとした。
そっと目を開けると光る玉が目の前を飛んでいる。
やっぱり夢なのかと思わせるように、それは曖昧なものだった。
ーーーーカチャン
曖昧な視界にはっきりと見えたのは鉄格子の鍵が破られていたことだった。
その時利口な少年は、自分の自体に息を呑む。
凍死と現実に彼は考えることもなく、勢いよくその場から離れた。
しかし、火照る体は予想以上に熱発散していて熱のように視界は歪んでいた。
光の玉に連れられて少年は、ある部屋の前につく。
鉄格子のところから上へと登ってきて、広い通りには出ず、ずっと道なりの廊下を歩き、狭い階段が見えて、不思議な雰囲気がある。
光の玉はそこで消えたが、少年はその階段をのぼった。
そのついた先が、少し古びていてしかし、重々しい歴史を感じる扉のある部屋である。
《Beloved Orion of the room》
そう書かれているように思えた。
見覚えのない言葉である。
少年はそっとドアノブに手をかけ静かに開いた。
古いのかキィと心地よく軋む音と同時に広がったのはまたも心地よい匂いである。
広い部屋の真ん中には大きなベットと机と沢山の本棚があった。
でもほとんど、すっからかんな部屋で、外の光がまぶしいくらいであった。
すると、少年の背後から先ほどの光の玉が飛んできて、別途のふちに消えた途端、その大きさはみるみると変わり、やがて人型になり、その神々しい光が消えていった。
そこにいたのは、綺麗な長めの金髪にスラリとしながらもがっしりとした身体にと少年のように真っ白な肌、琥珀の瞳をしていた。その男性は少年にニコリと笑いかけた。
「だれ…?まだ夢なのかな…」
少年の言葉に優しい顔つきの男性は、苦笑する。
どこか俯き考えてから、少年を再び見つめた。
そして、手を少し上げて手招きをする。
少年はわけがわからずにも少しずつその彼に近寄っていった。