再来
鉄格子に囲まれたなにもない部屋には小さな窓だけが光をくれた。
しかしそれも12の少年の身長では手は届かない。
しかしはっきりと見えたのは、空を飛ぶものだった。
早く夜でもあったためはっきりとした姿は認識できなかったが、空をかける鳥にしろ馬にしろ人にしろおかしいものだった。
「我が一族を迎えに来た!!」
低くでも芯の通ったいい声は、少年のところにもはっきりと聞こえた。
「まさか…やつがなぜ…」
赤き青少年が瞳孔を広げ驚いたものの、一瞬にしてその歳にはふさわしくない大人な顔つきと殺気にみちあふれた。
同じくダンデという大男も、周りにいた部下に武器と叫び、少年の前をさった。
「…夢か」
冷たい感触に少年は何故か自分の心のように思えてならなかった。
鉄格子に寄りかかり座りながら、もやもやした脳と対象に胸にある寒色破片が冷めきっていてどうしようもできない。
なにかを忘れてしまったような感じだ。
なにか大切なものを忘れてそれを思い出そうとしている。
そんな感じであった。
ーーー地の屋敷入口門にてーーー
漆黒の髪がなびき、深い青の瞳、月のような発光した白い肌は、まるで夜である。
しかし、琥珀の翼がなによりも地上にいる物との差を表していた。
「ロクロの王国のものが地の部族にくるとは、もしや、この地を奪いに来たのではないだろうなぁ。」
「ゼハか………お前らに用があるのでない。お前の屋敷にいるのは、点のものであろう。しかも、同胞七彩の子……そう、下弦の月が我らにいる上弦の持ち主に知らせた。」
驚く周りと違いゼハは冷静に判断した。
「……もう、本家に手放してある。」
それを聴いたロクロのものが目を潜めた。
「確かに、妖精の力は感じないな…なるほど、、力がないか…しかし、欠片がある以上、ほっとけはしない。またこよう。」
今度こその一言を添えて、彼らは帰っていった。
その様子を見届けてからゼハはダンテと共に屋敷へと向かった。
《まさか……再び起こるのか…よし、あいつを連れて、一刻もはやく向かわねば…》
少年は再び同じ光景をみていた。
次回、詳しい世界内容があります。