地の部族
鉄の匂いと土の匂いと体の痛み
目覚めは最悪である。
再び目を開けると少年はどうやら鉄格子の中にいた。
これはどうしたものなのだろうか。
まだ12にもなった子供にはわけのわからぬ自体であったが泣くことにはあまりなれない少年であったゆえに、蒼白なかおだけが印象的である。
すると、足音がだんだん近づいてきて、そこにいたのは最初の大男と赤き青少年だ。
「おい、ダンテ。なぜこいつを早く知らせなかった。こんなわかりやすい色をしておいて…」
「いや、祠の近くで倒れていた時は…その。俺らの部のものだと思ったんだが、、目を開けた途端色がこうなっちまって…」
どうやら僕の話なのかと感じた。
相変わらず血が冷めていたが、ようやく少年は口を開く。
「あの…ここ。。僕の家だったはずなんですが…」
青少年は鈍物のような鋭さと、そこに秘めた憎い光を帯びた目で少年を見つめた。
その顔つきを見たダンテと呼ばれていた大男がそわそわしている。
そういえばこの赤き青少年の名前はなんだっけと考える少年はまだ自分の知っているあの世界に違いないと思い込んでいた。
「なにをいっている。ここは分家屋敷、地の部族の土地だ。貴様の家ではない。」
ところで、、と初めたダンテは、お前の母はナナセというものではないのかと聞いてきた。その趣きは期待と不安をどちら持ち合わせていた。
ナナセ…何故か聞き覚えがある。
「いや僕の母の名は、美祉子だよ。」
「美祉子…もう一つの家の名は?」
「…僕の家は………出間だけど…」
にやりとした顔と息を飲んだ顔が目の前にあった。
「どうせ、化物のことだ!我らの目でもえぐって、こんな子供に入れたに違いない!」
「でも、、待て。こんな子供がなぜこんなところにいるんだ?祠の近くに倒れていたなんて、美祉子と同じ部類のものかもしれんぞ?」
「いや、美祉子は確かに黒髪だったが、こんなに濁った目も蒼白な肌もしていない。まぁ…白い肌は…稀にいたが…」
青少年は無表情になる。
それと同時にダンテという男も無表情になった。
少年はわけがわからず話を聞くしかなかった。
「僕は生まれつき顔はこんなだ…この肌も目も僕の両親には似つかないけれど。」
その時、外で騒がしいほど高らかな叫び声が聞こえた。